襲撃
自由党議員 黒田清子は日本初の女性総理大臣に1番近い議員と言われている。
きっかけは、日本を攻撃する材料として捏造された、K国少女像の撤去を求める声明と、日本の国防費の増額と憲法改正をメディアを通じて訴え続ける、その姿勢にある。
自国の資金が無くなると、日本に資金を出させる為に、慰安婦の強制連行をでっち上げたり、合意文書にサインしているに個別に賠償しろと判決を出したK国裁判所。
日本国内のK国に対する感情は既に絶対零度にまで冷え切っていた。
そんな中での黒田議員の発言は、日本国民の大多数の同意を得て、K国や朝鮮の親玉でもある中華連邦に近い、現在の日本の首相を次の総選挙で追い落とす勢いで日本国民の賛同を得ていた。
「本日もお疲れ様でした、黒田議員」
黒塗りのトヨタセンチュリーの後部座席に護衛対象の議員を乗せると、藤堂 晶も素早く乗り込んでドアを閉める。
藤堂 晶は警視庁警護課の女性警察官だ、黒田議員専属として任務に付いている。
運転席の同僚に合図すると車は滑るように動き出した。
「議員お疲れ様でした、このままホテルに直行します」
助手席に座る秘書がそう言いながら、スケジュール帳を取り出すと明日の予定を読み上げる。
黒田は3日間の予定で大阪まで足を運んでいた、目的は大阪での自由党の票を集める事。
大阪は与党である自由党よりも、野党である維新党の勢力が大きく、毎回選挙で負ける鬼門の地である。
それもそのはずで、維新党は大阪から生まれた政党でその最大の目標は、東京からの独立にある。
大阪都心構想による地元独自の政策を推し進め、東京からの脱却をスローガンに掲げる維新党は人気が高い。
その為、自由党のテコ入れとして最近人気の上がった黒田を大阪の外遊に当てた。
今日は、次の国際博覧会の会場になる大阪北港区、舞洲の会場建設予定地の視察が最後でそのまま夕食でも懇談会になった為に時間も深夜になってしまった。
弁天町のホテルに向かう途中に国道43号線がある、片側4車線の立派な国道なのに何故か40キロ制限のためセンチュリーは1番左の車線をゆるゆると走っていた。
「すいません議員」
運転席の警護がそう言うと黒田が微笑みながら。
「お巡りさんが違反する訳にも行かないじゃない」
そう言いながら隣の晶に。
「週刊誌のネタになるよりずっとマシ」
そう言った瞬間、右隣を走っていた10トンダンプカーがいきなりハンドルを左に切ってぶつけてきた!
センチュリーがガードレールとダンプカーの間に挟まれながら、ミシミシと悲鳴をあげる!
ガードレールとの摩擦熱で焦げ臭い臭いが車内に入り込むと同時に、左右のガラスに白いヒビが入る!
黒田と秘書の悲鳴が車内に響き渡る中、晶は反射的に黒田をシートにうつ伏せにさせると、自らも覆い被さる!
その瞬間、ダンプカーがセンチュリーの右前から塞ぐ様に前に出る!
ダンプカーの左側面に前から衝突したセンチュリーがタイヤに前をめり込ませながら止まると、ダンプカーの運転席側のドアが開いた!
黒い戦闘服に目出し帽を被った大男が飛び降りて来た、身長は180センチを軽くオーバーしたその男は手に軍用小銃を構えるとセンチュリーのエンジンルームに銃撃を浴びせる!
パァン!パァン!っと300BLACK OUT弾のくぐもった音が深夜の国道に響き渡る!
キィン!キィン!っと空薬莢がアスファルトに落ちる度に、ボンネットに穴を開けた銃弾がエンジンルームに吸い込まれる!
前のタイヤとエンジンルームに十数発撃ち込むと、白い2トントラックがセンチュリーの後ろに停車する!
中から同じ黒い戦闘服を着た目出し帽の男が軍用小銃を手に降りてくると、センチュリーのトランクと後部タイヤを撃ちだした!
タイヤとトランクを穴だらけにしながらも、後部座席には被弾し無い様に気を付けると合図を送る!
ダンプカーから大ハンマーを持って来た大男がセンチュリーのリアのガラスを破壊し出した!
パラパラと音をたてながらガラスを取り除くと、センチュリーのトランクに登って両手を後部座席に入れると、黒田議員に被さっていた晶を掴んで外に放り出した!
ドサッ!っと肉がアスファルトに叩きつけられる音がすると同時に、うめき声がする!
アスファルトの上でもがいていた晶はそれでも腰のホルスターに入っていた拳銃を引き抜くと、議員に手を伸ばしてした大男に銃口を向ける!
その瞬間、晶は胸と腹に衝撃を受けた、まるで格闘家に殴られたかの様に重たい衝撃が来ると、ミシッっと鈍い音が身体の中から聞こえてくる!
受け身も取れずに、頭から倒れる瞬間に見た光景は、いつの間にか消音器付きの拳銃に持ち替えた襲撃者と、センチュリーから引き出される議員の悲鳴を最後に意識を手放した。




