調整
AR15の調整はYouTubeから。
Twitterのフォロワー様の協力を頂きました
AR15にはガスブロックと呼ばれる部分があり、弾を発射した後の加圧ガスをボルトに運ぶチューブが銃身に付属されている。
このガスが不足するとボルト閉鎖が上手く行かず作動不良の原因になるのだ。
ヤンが高圧コンプレッサーのスイッチを入れると甲高い音が周りに響き渡る。
ある程度タンクが満たされて音が止むと、釘打ち機でベニヤに適当に打ち出した。
タン!タン!タン!タン!っと規則正しい音が聞こえ出すと、俺はハンドガードを外したAR15を標的紙に向けた。
麻袋に土を詰めた弾溜めの前にベニヤに貼った標的紙が見える。
銃の右側にあるボルト閉鎖レバーを軽く押し込むと、銃を構えて引き金を絞る。
タンッ!っと軽い音と衝撃が右肩にくるが、ボルトが中途半端に閉鎖されて途中で止まってしまう。
銃口を上に向けてガスチューブのガスの量を少し増やすと、もう一度同じ手順で標的を狙う。
タンッ!っと音がして空薬莢が綺麗に飛んだ、ボルトも閉鎖されているのを確認すると続けて連射してみる。
タンッ!タンッ!タンッ!っと3発連射して問題が無いのを確認すると、ドットサイトの調整に入る。
ハンドガードを取り付けて調整が終わる頃にマーのスマホが鳴った。
AR15を仕舞えと身振りでジェスチャーするマーに頷くと、ストックを折り畳んでディバッグに仕舞う。
マーが中から出入り口のシャッターを開けると、白い2トントラックが中に滑り込む様に倉庫に入り込む。
中に入るのを確認するとマーがシャッターを下ろした。
薄暗い倉庫の中で、2トン車の運転席側から男が降りてきた。
なんの特徴も無い、街ですれ違っても数分で忘れ去られる顔をした男は、今回の仕事のリーダー。
泉商事の社長、泉 健一。
国籍は日本だが、幼少期から朝鮮で暮らし、軍隊生活で技能を積んだ後に日本に帰国した。
当時の部下のヤンとマーと共に輸入会社を立ち上げるが、それは表向きで、軍のコネを使って武器や麻薬を日本国内に持ち込んでいる。
今回の仕事は裏の仕事の元請けから頼まれた、内容は杉本のバックアップ。
必要な資材の仕入れと逃走手段の確保、その一環としてこのトラックを仕入れて来た。
泉はマーの方を見ると2トントラックの後ろを開けながら。
「アルミ箔と接着剤は仕入れてきた、この中を目張りしてからベニヤ板で補強する」
トラック自体のGPSは取り外して、ナンバーも3Dプリンターで作った架空のナンバーと取り替えてあった。
「襲撃してから荷物をこの中に押し込んでそのまま移動する、一応スマホは取り上げるが」
当日のプランを確認する3人の側にあるホワイトボードにポスターが貼ってあった。
最近、メディアに取り上げられている与党、自由党の議員。
日本初の女性総理大臣に1番近い議員と呼ばれる女傑の姿がそこにあった。




