魔物交流サングラス Vol. 7 魔物じゃないのに
週末の行き当たりばったり暇つぶし旅行
金曜の夕方に仕事が終わって会社を出たら
一旦、家に帰って作業着というか作業服のような感覚で来ているスーツから
週末に着用しているラフな自分の趣味の服に着替えて出発
飛行機、新幹線、特急最終、鈍行列車、深夜バス、レンタカー
の6項目が書かれたサイコロを振って、今週、出たのは深夜バス
飛び込みでも乗れる、いつもの深夜バスの切符を
思いついた行き先で買って出かける
土曜の朝に見るのは、今まで来た事が無いけど
国内じゃ良く見かける国道を走って、良く見かける風景に整備された街
しいて言えば、深夜バスが停まるバス停の近くが港湾地区で
港の朝市をやっていて観光客やら、それ目当ての店やら
港で働く魚の仲買人とかが土曜日の早朝から働いている
んで朝食は、その港内から少し離れた所にある
観光客向けじゃない港湾労働者の皆様が休憩しているような定食屋
観光客向けの御店のボッタクリ値段が半端無い金額なのに驚いて探した店だ
そこで朝ごはんを食べて、食休みしていると
なんか今まで感じた事の無い空気を感じたので
試しに魔物交流サングラスをかけてみる
そうすると、近くに座っている人の頭上にナニカが浮かんでいた
でも、今まで見かけた欲望の魔物じゃない・・・
なんで魔物じゃないのに見えているんだろうな?
不思議に想っていると、あっちから話しかけてきた
「私は欲望の魔物じゃありまっせんよ」
え? 考えただけなのに? おわかりで?
「はい、貴方が私を見えているのもね」
欲望の魔物じゃないとすると何なんですか?
「そうだねー、君達の言葉で・・
”無償の奉仕”を司る存在という表現になるのかな」
無償の 奉仕・・つまり欲望じゃなくて
自分に利益とかメリットとかが何も無いし
時間とか労力とか我慢とか、色んなものを
そのためだけに使って生きていきたいって?
そういう自己陶酔っていうか、そういう願望を司っているって事ですか?
「いや、違うよ。なんの見返りも賛美も名誉も金も手に入らないけど
何ものにも代えがたい愛とか
友人とか、家族のための無償の想いやりとか
地域や国のための寄付とか
自分以外の誰かの為に意味のある事をしたいって言う気持ち、あるでしょう?」
いっやー、無いんですよねー。なんていうか・・・
昔は、想いやりを持って声を掛け合いましょうって人づきあいだったのが
何かの拍子に歯車が狂って
自分が悪口とかを言われたくなくて、差別される側に成りたくなくて
自分以外の誰かの事を言って、一緒に差別する側だよねと
一緒に差別主義活動をする人づきあい
ってのに変化していくのとかを嫌というほど見てきたんで・・・
なんともね・・・友愛とか、無償の奉仕とか言う言葉が
甘い考えの世間知らずを騙す詐欺師の常套句のような呪文にしか聞こえなくて・・
「うっわー、人として終わってるねー
駄目だよー、いくら、その欲望の魔物も見えるサングラスを手に入れたからって
人が損得や利害だけで動く生き物だって思いこんじゃ
それ以外の感情を、やる気の源にしている人もいるんだからー」
とは言っても、欲望と、それによる思惑が衝突しての悪意や敵意が渦巻く
競争世界で生きているんで、なんともね・・・
特に無償の奉仕なんてものは、今まで見た事が無いんで
国のためって言って、もっと税収を増やすためのルールを作っている偉い人にしても
国の税収が増えれば、偉い自分にメリットがあるからでしょ?
集められた税金が自分みたいな底辺国民に還元される事なんて無くても
法律だから仕方無く払わざるを得ないからで
よっぽど余裕のある金持ちでも無いかぎり
無意味に何かを収奪されるみたいで嫌でしょ?
まあ、仕方無い。しょうがないで無関心な人は、どうでもいいんだろうけど
「うーむ、なんていうのかなぁ・・・
それでも、自分が所属している我々の中で必要な存在として
同じ所属の集団の皆様に信用され認められたいって感情あるよね」
あー、承認欲求ってヤツっすか、そりゃありますよ
「いや、なんで、そう、なんでも欲な事に、してしまうんだろうなあ」
承認欲求と何かは紙一重ですよねー
いつ悪意に引っ繰り返って、
”我々の事では無い。貴様の個人の事だ
貴様だけが名指しで非難されるべき事だ。貴様が、なんとかしろ”
とか、悪目立ちしたガキが名指しで公開説教されるような事になるとか
あ、そういう時も、
周囲への配慮とかあ想いやりというものが無い
愚か者への我々による制裁だ
とか言う言い訳で鬱憤晴らしに晒し物にするのすらいる世界の住人なんで
なんともね。どうにもね。
無償の奉仕って言葉が嘘くさくて、胡散くさくて・・・
「そうかー、どうにも警戒心からの拒絶反応しか
心の中から出てこないって、わけなのか、ふむ
じゃ、君から見て、その胡散くさい嘘くさい言葉、”無償の奉仕”
を司る私が魔物に見えるという事なのかな?」
はい、だから、この魔物交流サングラスで見えていて
交流できているんだと想いますが
・・・
などなとと店員さんからは、食後のコーヒーを飲みながら
ボーっと考え事をしているかのように見える状態で、土曜の午前中が終わった。




