魔物交流サングラス Vol. 4 所有魔
とある地方都市に旅行へ行って、全国チェーンのファミレスで休憩
女二人兄弟らしき二人組が口論を繰り広げている
ためしに魔物交流サングラスをかけてみると、やっぱり、いた
『そうそう自分のものだから渡したくないと言い張れ
あの男を、あんたに渡すのだけは嫌だ
別に好きでも嫌いでもないけど
自分のものにしたいと想って争え
どちらかのものとして所有者が決定したら
二度と自分のものには、ならないんだからな
あの時、あんたは手放したじゃないと一生、言われる
言いなおしや、やり直しの声は掻き消され黙殺される
今、自分のものだと主張して相手に認めさせないと駄目だ
そう想うだろ? 御前等? 大きな声で叫べ
自分が所有したいという願望のままに強く語れ』
(煽ってんねー、なんで? そんな事してんの?)
『ん? なんだ御前は?
一つしかないモノを二人の人間が欲しがったら
自分が勝って、欲しいものを手に入れたいという想いを抱え
なんで同じ物を欲しがるのだと憎み合い
御前は諦めろと言いあい、争うのが当たりまえだろ? 違うか?
こいつらは自分が所有したいという所有欲という欲望が
他の何の欲より強い生き物なのだから
その欲望を満たしてやっておるのだ。』
(てか、あんた誰? 何の魔物?)
『所有欲を司る魔物だが。それが何か?』
(この女二人姉妹に憑いてんの?)
『うむ、今の所はの
この姉妹の両親が大地主と親しくての?
その息子に気に入られ嫁入りした方に
両家の全財産を所有させてやると言ったのだ
まあ、そう言わせたのは、ワシなんじゃがな
勝った方が全てを手に入れ
負けた方は何も手に入らない
家のためと言われ、親と協力してきた時間、労力
親密な地主との家と家の信用関係を維持するためには我慢だと
色んな意味での努力が全て無駄に終わり
全てを失ってゼロから、やり直しになる
それは嫌だから何がなんでも自分が勝ちたい
二人仲良く分け合う事は許さなかった
何故か? それは、分け合って取り分が少なかった方に
恨みや辛みが残って悪意が一族内に発生するであろう?
それなら勝者総取りで敗者は文句を言えないくらいに
何もかもを失って呆然自失に残りの余生を生きて貰った方が
一族のためだと思いこませたからの、このワシが
まあ、決着がついたら、その後の展開は、いつもと同じ
とっとと、こいつらからは離れるつもりじゃ』
(ふーん、じゃ この女二人姉妹に憑く前にも同じ事やったんだ?)
『男二人の自分だけが先祖代々、受け継がれてきた財産を
自分だけが引き継いで手に入れたい
という願望を抱え争っていた二人兄弟に憑いておったの』
(ちなみに、その二人の決着てのは?)
『勝った内輪の王という存在となった方が全てを手に入れ
負けた方は・・・ 今、どうなっておるのかは知らん
負け犬の人生なんて、ただ生きているだけの
死ぬまで続く暇つぶし時間つぶしがダラダラと続く
生きているんだか死んでいるんだか本人もわからないような人生
本人以外の人間にとっちゃ墓の下へ行った死人と同じような存在
どうせ、そんなもんで、面白くないものだろうからの』
(いっやー、そうなんだー 冷ややかだねー 流石は魔物様
欲望を丸出しに醜く争う姿が見たいだけなんだー)
『当たり前じゃ、自分の我欲だけを丸出しに
その欲を満たすためだけに醜く獣のような性を剥き出しに
そうした姿、そして互いに醜い姿を曝け出して争う醜悪な心
そういった情念などがワシのエネルギー源なのだから
デーッヘッヘッヘ。ンゲーッヘッヘ』
・・・・
数年後、再び同じ地方都市へと出かけた
勝った方が地元で講演会をすると宣伝されていたので
講演を聴くついでに、再び同じ魔物と交流してみたくなったからだ
再び交流して知った結果は、
講演会に集まった人々・・
身の程をわきまえて己の分を知り
自分は目立たないようにしている
という感じの大地主夫婦を賛美する人々によっても語られていた
女二人姉妹の勝った方が
大地主一族の女王として君臨して賞賛されていての独演会
負けた方は、存在自体を忘れ去られていた。
再び見かけた魔物が、勝者となった奥様、大地主一族の女王となった女の
二人の息子兄弟の後ろに憑いて、あれこれと唆していた
所有欲が巨大になるように誘導するために




