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かっこいい悪役を探して  作者: 中山恵一
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魔物交流サングラス Vol. 2 戦魔

暇な土曜日、魔物交流サングラスをかけて歩いていると、

通りすがりの男の背後に化け物が浮かんでいるのが見えた

しばらく眺めていると、その化け物が話しかけてくる



『なんだ、御前? この吾輩が見えるのか?』



小さな独り言を言うように言い返してみる



(ああ、見えるよ。ところで君は何者?)



『我等は戦鬼とか闘魔とか呼ばれているらしい


 だがの戦いの神と呼んで崇められておる同胞もいる』



(そう、ちなみに、その男に

 いつから何故とりついていているの?)



『好奇心とかいうヤツか? そんな事を知りたがるものなのか・・


 まあ、よかろう語ってやる


 憑りついたのは、この男が14歳くらいの時じゃ

 この男自体がワシに憑りつかれる事を望んだ


 というか、自分が強くなって暴力で勝つために


”どんな事でもするから願いを叶えて”


 というような事を祈るように考えた


 普通は勝利の女神とかに祈って

 勝ち負けとかがわかる勝負事を司る神によって

 成されているような事を

 何故か、この男はワシに向かって祈った


”自分が勝って良い想いをできれば

 他の事は、どうなろうが どうでもいい”


 という願望をこめての


 まあ、何故かは、この男の外見を見れば わかるであろう』



(外見?、そういえば14歳くらいのガキの頃に

 内輪のヤクザとか呼んでいたヤツみたいだなぁ


 プロレスラーみたいな体格に、脅しのきく威嚇が可能な怖い顔

 近寄りがたい強さと怖さ全開って感じの外見だね)



『この世界で売れて賛美されている物語

 良心に呼び掛けて、善意に近い感情が善意を呼ぶようにする

 こいつは、そんな物語の登場人物じゃない


 悪意が悪意を呼んで、心の中に眠る悪魔を叩き起こし

 互いに自分こそが正しく相手が悪だと信じて憎み合い

 暴力をもって殴り合って勝った方が正しいとされる物語の登場人物


 その戦いの観客は


 自分以外の、”誰かの死”や、”誰かの社会的な死”

 とかだけが娯楽な悪意が服を着て歩いているの人間


 あるのは ”自分が、なんとかして生き残りたい”


 その願望を叶えるための損得勘定と利害関係だけ


 物心ついた時から、そういう世界だけに馴染んできたのだから


”自分さえ良けりゃいい。自分と同じ戦う兵隊に勝てばイイ”


 そういう発想が心に入れ墨のように刻まれるものだ』




(ふーん、てことは・・・その最初、この男が勝ちたかった男は?)



『この男の兄弟じゃったの、地元密着型同業者団体で有名な会社経営者な親から

 比べられ続けて毎日、兄弟喧嘩


 親が同じ事をやっている人間に勝たねばならぬ

 負け犬は淘汰されるのだという教育方針での


 ワシが強くなる方法を教えて完全勝利。

 大人になるまでに、比較対象を地元から叩きだした


 今頃、弱い負け犬となるのに慣れた人生を送っておるのであろう』



(何も追い出さないで、生かさぬよう殺さぬように

 子分にしていれば良かったのに、なんで追い出したのさ?)



『というか負けた本人が勝ったコイツに従う事を拒絶した』



(は? そんな馬鹿な、自分も一緒に働きたがったんでしょ?

 その親が経営する会社で)



『うむ、最初はの、男二人兄弟で競いあいながら一緒に働こうとか

 子供が家族を尊重するような感情を抱えておったのだろうがの


 親とか一族の人間は勝った方だけが必要で

 負け犬がいても邪魔という発想じゃった


 いわゆる支配欲とでもいう欲望に憑りつかれたのであろう


”自分の兵隊として、敵兵を倒す事だけを考えて

 上官である自分の命令なら、なんでも聴く

 強い勝てる兵隊として生きて欲しい”


 というような欲じゃの


 で願望通りに勝つためだけに人生を過ごしたワケじゃ』



(ところで、貴方の好物は何?)



『競争する人間が互いに憎み合って

 自分が偉くなったら社会的に殺してやると考える憎悪


 決着がついた時の負けた方の絶望


 自分だけが良い想いをするための悪意


 共通の利害が無い人間への憤怒


 心の中で膨らませたドロドロした醜い感情


 それらが とても オ イ シ イ』



(・・・・いっやー・・・・魔物らしいね・・・)


『そうだろ 同じ魔物に 魔物の中の魔物と尊敬されておる』



そんな交流をしていると、自分だけが儲けたいって感じの

腹黒さ全開なオッサンが男に近寄ってきて話しかける

もちろん魔物に憑りつかれた人間の皮を被った化け物という事には気づかずに

世間話をしながら雑踏の中へと消えていった。



数週間後、地元ゴシップ・サイトに小さな記事が書きこまれていた

あの時の腹黒さ全開なオッサンの顔写真や個人情報と一緒に


 地元名士の闇の顔 企業舎弟社長は脱税王だった


というようなタイトルで、社会的に殺すつもりになったようだ。

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