魔物交流サングラス Vol. 1 淫魔
ある日、サングラスを拾った。誰かの忘れ物というか落とし物だ。
面白半分にかけて歩いていると、
通りすがりの女の背後に化け物が浮かんでいるのが見えた
しばらく眺めていると、その化け物が話しかけてくる
『なんだ、御前? ワシが見えるのか?』
小さな独り言を言うように言い返してみる
「ああ、見えるよ。ところで君は何者?」
『御前等、人間がサキュバスとか淫魔とか呼んでいる魔物じゃ
ああ、それからの語り掛けるように考えるだけでよい
実際に口から言葉を出さんででも、わかる』
(そう、ちなみに、その女の人に
いつから何故とりついていているの?)
『好奇心とかいうヤツか? そんな事を知りたがるものなのか・・
まあ、よかろう語ってやる
憑りついたのは、この女が14歳くらいの時じゃ
この女自体がワシに憑りつかれる事を望んだ
というか、好きになった男と関わるために
”どんな事でもする、誰でもいいから願いを叶えて”
というような事を祈るように考えた
普通は神とかに祈って、人間の出会いとか別れとか恋愛とかを
司る神によって成されるような事を
何故か、この女はワシに向かって祈った
まあ、何故かは、この女の外見を見れば わかろう』
(外見?、そういえば14歳くらいのガキの頃に
ナイス・ボディ・アタック・ウーマンとか言っていた
出る所が出ていて色気たっぷりな、フェロモン お化け
って感じの外見だね)
『普通、人間の男は、こういう外見の女と誰もいない所で
二人きりになったら色欲に憑りつかれてしまうのであろう?
その欲望というか生命エネルギーをワシが食べるワケじゃ』
(ふーん、てことは・・・その最初、この女が関わりたかった男は?)
『ワシが生命エネルギーを吸い尽くした。20代前半で死ぬまで』
(怖ッ、てか何も殺さないで、生かさぬよう殺さぬように
細々と吸えば良かったのに、なんで一挙に殺すまで吸い尽くしたのさ?)
『それが不思議な事にな、この女が、それを願った』
(は? そんな馬鹿な、好きだったんでしょ? その男を)
『うむ、最初はの、この女も好きとか一緒にいたいとか
子供が父親に甘えるような感情を抱えておったのだろうがの
男の方が抱えて女に向けていたのは欲望だけじゃった
数年が経過する頃には便所で用を足すような感覚で
”出すだけ出してスッキリしたから、どうでもいい”
というような事すら実際に口にするようにすらなった
そうするとな、可愛さ余って憎さ百倍とかいう言葉の通りにな
自分の男として、自分だけが相手にして
看守の自分だけが相手にする独房の囚人のような常態にして
死ぬまで自分だけの虜にしたがりだした
いわゆる独占欲とかいう奴に憑りつかれた
”これは、アタシのなんだから、誰にも渡さないし一生逃がさない”
というような欲じゃの
で願望通りに生命エネルギーを吸い尽くして殺すまで
ほぼ毎晩のように二人きりの時間を過ごしたワケじゃ』
(でも、そうすると・・貴方が今まで通りに、”食事”が出来なくなるのでは?)
『いや、この外見じゃぞ、いっくらでも、やりたがるだけの下手くそな男から
百戦錬磨のスケコマシまで、ひっきりなしに寄ってきて食べまくれておる
今も、ほれ』
そういうと、やりたい盛りって感じの若い男が女に近寄って話しかける
もちろん淫魔に憑りつかれた毒婦という事には気づかずに
女に語って自分に言い聞かせるように二人きりで素敵な夜を過ごそうと語り
二人組になって雑踏の中へと消えていった。
数週間後、地元の地方新聞朝刊の三面記事に小さな記事が載っていた
あの時の男の顔写真と一緒に、こんな記事が書かれていた
アパートで謎の餓死死体、ミイラのような常態で発見。断食自殺か?
あっという間に吸い尽くして殺したようだ。




