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かっこいい悪役を探して  作者: 中山恵一
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正国 vol. 12 平凡な労働者の終活

そして、いつのまにか年月は過ぎていき

我が国の平均寿命の80歳になった


80歳になると誰もが同じ手続きをする事になっている


人生を労働者として過ごしてきた自分の経験を

AIの知識ベースや経験推論トリガーに組み込んで

自分が死んでも、自分の労働者人生の経験が

データなどの形式でAIの中で

永遠に残るようにするかどうかの手続きだ


79歳になった誕生日に

AIへ登録許可をするかどうかの選択をして

書類を提出するように連絡が来た



まあ、手続きしたとしても

同じような仕事のための専門用語などの知識を得て

同じような仕事をして同じような状況判断が必要だった

人々は自分以外にも大勢いるので


自分だけが経験していないから

新しく経験推論トリガーに設定されるような

状況判断や状況予測推論があるわけでもないし


自分だけしか知らないから

新しく知識ベースに格納されるような

知識データなどがあるわけでもないのだろうが


もし、何か自分が労働者として生きてきた中で

AIの中で永遠に生き続けるような何かがるならと

AIへの登録手続きを許可する申請書類を提出した



・・・・



老齢労働者としての日常は淡々と過ぎていき

AIへの登録手続きをしてから1年が経過して


毎日のデイリー作業、毎週のウイークリー作業

毎月のマンスリー作業などのルーチンワークから

1週間だけ離れるように指示書が送られてきた


その指示書に指示された部屋へと行くと

VRゴーグルをかけて椅子に座るように

指示アナウンスがされ、指示通りに座る



VR、仮想現実とは思えないような

自分の今までの労働者としての経験が映る


常駐監視サーバーに永久保存された事象が

色んな監視カメラで撮影された映像と音声を元にして

AIが映像編集した経験が再生される


自分でも昔の事すぎて忘れていたような光景が

全て蘇って目の前で再現されている


これが国の国家統治システムにとって

再び再現する事があったら

何がなんでも対処しなくてはならない事象なようだ


その当時に対処した関係者の職務把握能力や職務遂行能力や

その担当職務の状況再現頻度なども

テレビの字幕放送のように映し出される


能力が表示されているのを見て

意外な人の職務把握能力の高さにも気づき


 へー そうだったんだ などと今になって気づく


その臨時対処だった担当職務が再び必要とされる可能性は

40年に1度あるかないかのものと表示されている


まあ、毎年のように必要なレベルのものだったら

とっくに誰かの経験などで登録されているのだろう


40年に1度、20年に1度、10年に一度と

頻度が低いものから再現され

最期に確認メッセージが表示される


 この事象について登録してかまいませんね?


その確認メッセージに、はいと答えていく


・・・・・



そんなに大した登録量では無かったようだった

登録作業は、すぐに終わった


なんか、自分の今までの人生が


AIの知識ベースと経験推論トリガーの動作確認をして

欠落している欠点を探すためだったような


 ”念には念を入れたデバッグをしないと”


とか言っていたデバッグ専門、システム構造欠陥捜し専門の

プログラマーのような人生だったような


気すらしてきて、変な感覚が抜けなかった



ある年齢を超えてからは、若い頃のように


 自分だけにしか出来ないような経験をしてみたい


というような願望は無くなっていたのだが


長い人生なので、平凡に同じ事の繰り返しの中を生きてきた

自分のような労働者にも、自分だけしか経験しなかった事が

少しは、あったのだなと想うと、不思議な感じがする。


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