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かっこいい悪役を探して  作者: 中山恵一
31/51

正国 vol. 9  ドキュバラ 或る現地ガイド

俺は、この地域に君臨するマフィアを支配する一族で

今の所、ボスになっている男の一人息子


一応、一般人と同じように学校に行っているが


国が決めた義務教育が終わったら、

親父の後を引き継いで偉大なボスになるために

ボスの椅子に座っている人間が出来て当たり前な事が

できるようになるために、親父の仕事を手伝う予定だ



この義務教育学校にいる生徒にしても


親父のマフィア組織の企業舎弟の経営者や従業員が集まった

地域密着型の同業者団体に所属する親をもつ子供だけだ


なので、たまに何かの間違いで転入してくる転校生以外は皆、組織一員の子供

PTAや町内会も親や爺さん婆さんの代から

同じマフィア組織の一員として活動している人間ばかりだ


この義務教育の学校区が親父がボスなマフィアの

縄張りにあるので当たり前といえば当たり前なのだが

対立組織の縄張りにある義務教育学校の人間とは仲が悪い


義務教育の卒業シーズンには


 義務教育で一緒にいなけりゃならない

 義務が無くなったから、もう関係ない


と、ヨソモノ対立組織の仲間になって

なめた真似をするのが発生する


そういうのが増殖すると邪魔なので

マフィアの各支部で見せしめに殺したりするので

卒業シーズンの新聞やテレビには、


”御前等も、なめた真似したら、こうなるからな”


とメッセージを送っているかのような


こんな死に方はしたくないと誰もが思うような惨殺死体で発見されたり、


一人暮らしの部屋で断食自殺してミイラで発見された

仕事が無くなって金が無くなった誰にも相手にされなくなった死体が

発見されたニュースが報道される


見せしめに殺したのを知らしめるためにマフィアがスポンサーな

”今日の死体”というテレビ番組で毎日、放送されているくらいだ


まあ、そんなワケで、この国じゃ命の値段は安い


というか弱くて負けてマフィア組織にとってマイナスな人間の命は

マフィアにとってマイナスな人間なのだから一円の価値も無い



ヨソの国には警察とかいうものがあって

地元の組織を統治しているという話だが

この国には警察は無い


国自体が軍がクーデターを起こして成立した

一番偉いのが強い兵隊の中で一番偉い軍人な国なので

軍が戦車と武装車両で各地のマフィアから税金を集金しにきていて

税金を払うために住民を使えという事だけを言っているだけだ


よその国では暴力組織じゃない会社というのが

住民を労働者を雇って働かせて税金を集金しているそうだが


この国ではマフィアが治安維持をする自警団で警察であって

住民に仕事を与える会社であって、マフィアの掟が唯一の法律だ。



そんな我が国を取材しに、外国のテレビ局がやってきた

結構な額の金を払ってくれるので取材許可を出したという事だった


親父に外国の人間について知るのは良い事だと言われ

撮影する人々のガイドをする事になった




学校に来て俺らの当たり前な日常を撮影して不思議がる


 弱い者は早く死ぬべきだと誰もが想っているので

 体が大きくて強い体力のある人間が生き残る

 体が小さくて弱かったり体力が無い者は

 病気になったり、弱さを思い知らされて自殺したり

 強い者が強さを誇示するために殺したりするので

 義務教育が終わるまでに生徒の半分が死ぬのが当たり前


 死にたくなければ強くなって弱いのを殺す側になる事を学べ


そういった校訓を聞くと驚きの表情で何かをアレコレと言っている


 運、悪く 体が小さく弱く生まれてしまって

 生きていても強いマフィアの一員として生きていけないのだから

 組織のためにならない無駄な食費や人件費がかかるだけの

 無駄な人間は、必要無いから若い内に、この世から淘汰して当たり前


そういったこの地域の常識を言うと

何か見た事も無いような謎の物体を見るかのような眼で見てくる



撮影中、突然、撮影している人の内がインタビューしてくる


「あのー、ちなみに我々の目の前で同じクラスの人間全員に

 殴り殺された、あの子供は? 何をしたんですか?」


格闘術の授業で、掟破りをした生徒に死ななかったら許してやる

という制裁対戦が行われたのを見て撮影クルーが聞いてくる


格闘術で鍛え上げられて

見事に内臓破裂を誘う急所への的確な蹴りや

脳の血管を破裂させるほどの頭への素晴らしい打撃を

素晴らしいと褒めたたえるのかと想っていたのに


唯一の決まりごとである我々マフィアの掟を破って

生きているのが許せない存在になったから殺した使えない奴を

何故、殺したのかと聞いてくる


内心は、”そんな事は言わなくても わかるだろ”

とは想うものの、この地域に住んでいる人間なら当たり前だから

普通は理解できる事が理解できないようだったので説明してやる


「え? 見てわからねえのか?


 弱いから、惨めな人生を送っていて掟破りをしてしまうような

 誰にとっても意味の無い存在は

 早く殺して、この世から消して淘汰する事は


 本人のため、無意味な馬鹿を育てなくていい親のため

 しいては、もし生きていたら

 死ぬまで面倒みないといけないマフィアのため


 そうでしょう? ここじゃ、これが当たり前。」


顔に全く理解できないと書いてある

というか格闘術の授業すら不思議そうに見ながら


”殺し合いが娯楽な野蛮人が”


というような事や


この野蛮人の殺し合いを娯楽としてテレビで放送すれば

自分の国の素晴らしさを国民に再認識させられるだろう


というような事をベラベラと大声で自分の国の言葉で話している

どうせ、御前等には我が国の言葉は理解できないだろうと言わんばかりだ。


というか通訳兼ガイドの俺には筒抜けなのに何故かと想っていたら

そのテレビ屋の内輪で偉いオッサンは、現地の人間が

どれが誰だか見分けが一切ついていないようだった



数日間、取材をした後、そのドキュメント・バラエティ・テレビ

とかいう名前のテレビ・スタッフ達は帰国して

同じ国で同じマフィア組織ファミリーに所属する人間だけの世界に戻った

いつも通り、今まで通りの光景だ


 (弱みを握ったり脅迫したりして)安く買い付けた色んな物品を

 自分達の縄張りで高く売りつける輸入品販売業を営む

 企業舎弟で働く親を持つ子供の内輪の職業訓練


 他の地域の同業者団体の会社の依頼を受けて

 同業他社の経営者などを社会的に抹殺する

 広告宣伝、メディア業という名目の

 企業舎弟で働く親を持つ子供の内輪の職業訓練


義務教育で国が全国民に教育しているのは

共通語とか、我が国の歴史とか、金勘定の基本とか

実際に企業舎弟の会社の社員として使うようになったら

そんな事が出来たから、なんだっていうような事ばかり



そういえば、テレビ局の奴等がいる間、国際世論を刺激しないためだ

とか言って、親父が数人の人間を学校に来させなかったし

数人の人間が住んでいる居住区を案内するなと言っていた。何故だろう?


奴等は我々組織のために、外国人だろうがなんだろうが

必要無い人間を、この世から消しているだけなのに


まあ、いいか。また来年、来るので宜しくとか言っていたから

その時までに、あの国が、どういう国なのか調べておけば。



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