正国 vol. 7 ドキュバラ 或る清算屋
どうやったら、金を払わなくてすむか
会社の都合としては、客に金を払わせて
客や従業員に金を払わなければ会社に金が残る
なので俺らみたいなのが、ひたすら金を払わなくてすむ方法を考える
ただ、それだけで仕事として成立している
最初、この仕事を始めた頃不思議だったが、最近は慣れて当たり前になってきた
会社の色んな契約書には小さな文字で
理解しにくい専門用語や法律用語でルールが書かれている。
このルールを破ったら金を払いません
このルールを破ったら違約金を払ってもらいます
このルールを破ったらサービスを受けられません
などなど、
会社の都合からしたら、金を払うだけ払って
一円も金もサービスも受け取らない常態な
”多額の御布施”を、”会社教団”のために払ってくれる
信者を増やして、誰も疑問に思わず飼いならすのが
一番、会社として利益が発生する
実際の所、どこの会社にしても
会社と会社の取引にしても
会社と一般消費者の取引にしても、それは同じ
こんな腐れ仕事を誰もやりたがらないし
こんな関わった人間、全てに嫌われる支払い踏み倒し業務
どこの会社も、やりたがらない
なので、ウチラの会社に依頼がくる。
今日、依頼をしてきたのは、映画とかの放映権取引をしている会社だった
長年、高値取引ができる映像コンテンツを作ってきてくれた
千両役者と、その仲間がいて、今までは潤っていたのだが
そのコンテンツが時代遅れになって金にならなくなった
でも今までの功績で、元千両役者と仲間に結構な金を払わないとならない
このままじゃ赤字が膨れて、どうにも、ならないので
千両役者にスキャンダルを起こして貰って
大々的にゴシップ雑誌やワイドショーで取り上げてもらい
千両役者に放映権取引が出来なくなった違約金として
今まで稼いだ金を吐き出してもらって契約解除
全部、綺麗に清算して、次の金になる千両役者を探す事にしたい
放映権取引会社も、今まで千両役者をマネージメントしてきた事務所も
全て、それが一致した意見だという事だった
・・・
そして数ヵ月後、長年、内輪の王様として
不思議の国の国王として、不思議な私法で小さな国を統治していた
元千両役者な王様が、国の定めた公法違反を犯した犯罪者な事が報道され
全財産を違約金として没収され永久追放になって社会的に殺された事が
ゴシップ雑誌やワイドショーに取り上げられ
元千両役者が貯めこんでいた没収財産の何割かが
ウチラの会社に支払われた。
最後の仕上げ作業をしている頃、
どこだかのテレビ局のドキュメント・バラエティ番組スタッフだかが来た
そいつらに、依頼主の都合が満載の刺激的な物語
調子にのった馬鹿な役者が自己破滅な誰もに批判される事をして社会的に抹殺
その後始末をした善意の第三者な関係企業や事務所
を売り渡し、それがドキュバラ番組として放映された頃に全てが終わった。




