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かっこいい悪役を探して  作者: 中山恵一
25/51

正国 vol. 3  ある日、突然、正義の味方


ある日、突然 ”正義の味方”が出現した


「我等は正義の味方、おのれ悪の組織


 そして改造された悪の改造人間どもめ


 我等が正義のため、世界平和のために退治してくれる」


いきなり歌舞伎役者の口上のようなセリフを

リーダーらしき人間が語った後


乱入してきた ”正義の味方”が

会社で働く社員に銃を乱射したり日本刀で切りつけたり

爆弾を投げつけたりして大量殺戮行為を始めた


社内は、パニック状態だ


「誰か警察に電話しろお」


「電話線や連絡設備が全て破壊されています」


「社外に逃げろお 避難しろお」


「逃げようにも出入口に正義の味方が待ち受けていて

 避難しようとした社員が銃で狙い撃ちされて

 皆殺しにされていますうう」


建物の中には悲鳴が鳴り響く



地震が発生した時の避難訓練などはしていたが


テロリストが出現して殺戮行為をしようとする事を

想定しての訓練や準備などはしていなかった


たまたま運良く社内を秘密の内に監視する

常駐監視サーバーのある地下監視室にいたから

襲撃してきた ”正義の味方”に殺されなくてすんだが


モニター越に繰り広げられる大量殺戮行為を見ているだけしかできない


「いつ、 ”正義の味方”が、この部屋の存在に気づいて

 突入してきても不思議ではない。

 どうします、どうすればいいんですか」


この部屋にいる中で一番、社内格付が上の俺に聞いてくる


「もう、しょうがないんじゃないですか

 どうにも、なりませんよ


 正義の味方の皆様が、悪の組織を壊滅させて

 悪の改造人間を全て退治したから

 気がすんだら引き揚げてくれるでしょうから


 見つからないように、ここで隠れているしかないでしょう


 逆に反撃しようとして、ここが見つかったら

 ここにいる全員が皆殺しにされます


 この施設内で生き残っている社員は全員、そうしてますよ

 そうですよね?」


一番、発言力が部署内で大きい年配の社員が語り

思わず、それに答える。


「そうだな・・・・そうするしかないか

 侵入してきたテロリストに反撃するような装備は

 社内のどこにも無いからな・・・


 まさか、こんな事があるなら

 警備費用というか自衛費用を無駄だからと完全削除しなければ良かった


 今更、何を言っても、どうにもならないが」


あっというまに建物内にいる社員が皆殺しにされ


「思い知ったか悪の組織め、正義は必ず勝つ」


誰に言っているんだというような正義の勝利を大声でリーダーが叫び

我社の人間にとってはテロリストにしか見えない

”正義の味方”を名乗る集団は去っていった。



・・・・



かろうじて生き残った数人の社員が警察に通報

”正義の味方”を名乗る大量殺戮集団の捜索が開始


 隣接する内戦が続く紛争地帯国家で活動するテロ組織の犯行で


 軍需産業関連の下請けとして

 ミサイル誘導装置の基幹部品を製造している我社を

 ”悪の組織”と認定したのが攻撃理由だった


という攻撃理由が捕獲した ”正義の味方”の一員の証言により判明したが

紛争地帯国家に分散潜伏する人々によって存在していたので


”悪の組織”の ”悪の改造人間"として

突然、”正義の味方”に殺害されるというテロ行為は無くならず


”正義の味方”に殺された ”悪の改造人間"の遺族や

壊滅状態にさせられた ”悪の組織”の関係者の心の中に


憎悪、憤怒、敵意や悪意だけが増幅されていった。




だが今日も、”自分達の正義”を信じる ”正義の味方”は

”悪の組織”の存在を暴き出して、”悪の改造人間"を退治する


彼等の”正義”によれば、”悪の組織”は全て壊滅させるべきだし

”悪の改造人間"は全員、死刑にするべきと考えているから


それが客観的には非人道的と言われるものでも彼等には関係ない。

何故なら自分達の正義を守る事こそが彼等にとって人生の全てだから


世の中で一番怖いのは

自分は正しいから、正しい自分は何をやってもかまわない

と思い込んでいる狂人なのかもしれない。

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