正国 vol. 2 元正義の味方、社長になる
経営者の一人となって
大株主オーナー取締役となった正義の味方は
取締役会の決定で子会社の社長になる事となった
その会社の名前は”おばはんライダー販売”といい
若い頃、魔法少女として悪人を
月に代わってオシオキしたのとか
5人組の正義の味方戦隊の紅一点として
5人がかりで悪の怪人を嬲り者にしてたのとかが
高齢になって職場結婚したりして
魔法少女や正義の味方戦隊をやめ
子育てに専念していたのが
子供が学校に通うくらいに大きくなったから
何か仕事をしたいと言いだした人々を
販売員として雇っている会社だった
最初の仕事は、その販売会社の朝の朝礼で流れる
社内放送番組の収録
番組の冒頭に社歌の今月の替え歌
”レッツGO-おばはんライダー”が流れる
曲と最後のサビは同じなのだが、
毎月、社内公募で歌詞を変えて歌われているのだ
”せまるー他者、恐怖の軍団ー
我が社の客を狙う 腹黒い影ー
我等の収入源を守るためー
GO GO レッツGO-
勝って生き抜くぞー
おばはーん キック
おばはーん パンチ
おばはんライダー おばはんライダー
おばはーん おばはーん”
後は2番、3番と自分で歌って自分に言い聞かせて
販売意欲というか、仕事への意欲を湧きあがらせるような歌詞が続く
んで、今月最初の全国の営業所の朝礼で流れる番組で
就任の挨拶をしてくださいと番組プロデューサーは言う
「このたび、この歴史ある販売会社の社長に就任いたしました
長年、正義の味方として、国のため、国民の皆様のため
我が国、いや世界平和のために
様々な悪の組織の戦闘員を退治し
悪の組織を壊滅させる活動を仲間とともにしたまいりました
私が、この販売会社の社長となったからには
同業他社を全て駆逐、もしくは併合し
まずは国内での販売シェア、ナンバーワンを成し遂げてみせましょう
ただ、天から業績が降ってくるワケではありません
勤勉で優秀な我が社の社員の皆様の
強靭な肉体と、鍛錬された話術や交渉術のレベルアップ
日々の努力によって国内で一番の販売会社という栄誉を
手に入れ、我が社の繁栄と、その一員である名誉を
皆さんが手に入れる事ができるのです
数人の販売現場にいる人々と会いました
会った客に、もう一度、会ってみたい
いや、一生、関わりたいと感じさせるような素晴らしい接客態度
客の事を客自身より考えているから
客に何が必要なのかを理解している商品説明
素晴らしく優秀な人々でした。
さあ、今日も一日、頑張りましょう。」
とりあえず、さわりの言葉を思いつくままに話した後
番組プロデューサーに言う
「どう? こんな感じで?」
「いやー、素晴らしい。素晴らしいんですけど・・・
そうですねー、こちらに番組構成作家が書いた演説原稿もあるので
これも参考にしてみてもらえますかぁ?
我が社の社風というか、プライドある元魔法少女や元戦隊戦士の
ママ社員さんに、うけるセリフを盛り込んでありますんでぇ」
「なんだ。そんなのがあるんだったら言えよ
それを、そのまま言うからさ
これでも少し頭を使って何を言うか考えたんだよ?」
「ですよねー、でも、これを言えって感じで言ったら
気分を害するかと思いましてー
元正義の味方の皆様は、みんなプライドが高くて
言われた事に何も考えずに従うという事に抵抗があるようですのでぇ
へへへへ」
「今まで何か、あったのか」
「いやー、たとえば元魔法少女の優秀営業成績者に番組に出演していただいた時とか
悪の怪人と間違われて魔法で永遠に話せなくなってしまったスタッフとかが
発生しましたのでー、やはり元正義の味方の皆様のプライドとかには
忖度するといいますか、気を使いますよ。デヘヘヘヘ」
そして、その日は、来月度初日、来月度最終日の番組、来月各週週初めの番組の
挨拶が用意されていて、それを威厳のある感じで
俺様が偉大なボスなのだからなという演出で読み上げ
同じ番組出演者と接する内に一日が終わった。




