生まれ変わった自分
「う、ここは…」
俺は見覚えのない天井で目が覚めた。いや、俺はそもそも生きていたのか。そんな風に俺の頭は混乱する。
いやいや、俺は何言ってんだ?なんで、俺はそんな疑問を抱く。
ああ、頭が痛い。
俺は頭痛を感じ、頭を抱えた。だが、
「は?」
頭を抱えようとした瞬間、コンっと音がした。まるで、金属と金属がぶつかり合うような音だった。
「は?」
俺はもう一度言う。
何度、同じ事を繰り返しても、聞こえるのは同じ音。
その理解不能な感触に、俺は自身の姿を嘘偽りなく映す魔法の家具を一生懸命探す。
だが、俺の本能が映りだす光景にこう訴えかける。
「なにこれ?」
ここは確かに俺の部屋だ。何せ、ベットの横には、秋葉原でしか販売されていない。数量限定、アニメフィギュア、《ぐらたん》があるのだから、あ、ちなみに、食べ物の《グラタン》ではない。
『魔法少女グラクラ』訳して、《ぐらたん》だ。え?呼びづらいって、…だってしょうがないじゃん、先輩達が言うんだもん。
だって、そもそも、俺はオタクではないし…。アニメグッズだって、これしか持ってないし…。
まあ、いい!とにかく。そのフィギュアがあるから、ここは俺の家で間違いない。
だが、おかしい。簡潔に言えば、俺が寝ていたベットが石になっている。いや、石と言うよりは、化石か?
あ、そんな事はどうでもいい?
と、声が聞こえた気がした。
とにかく、俺の部屋が石化している。これは、日本に起こった自然災害か?それとも、宇宙人の侵略者か?など、高校生が好きそうな妄想を俺はする。
だが、残念な事に、バタバタとはしゃぐ俺の元に、
「おい!うるせぇぞ!」
と、隣人が怒鳴る。
「す、すみません」
俺は、母さんに絞られてばかりの気弱な高校生な為、しょんぼりとする。いや、決して、普段は気弱ではないんだけど…。
だが、隣人はいた。これは、人間が絶滅したとは考えられない。だが、この状況はどう説明する。
ああ、駄目だ。万年オール3の俺には分からん。
だから、俺は鏡を探す。
鏡があれば、洗面所もあるからだ。ひとまず、顔を洗ってから考えよう。これは、基本である。
……。
だが、笑わらずにいられない。
「なん、なんだよ、これ…」
鏡から映った自分の姿は、一言で表すならば、鋼鉄。
俺の両腕と両脚は、鋼鉄へと変わり、顔の斜め半分は鋼鉄となっている。
「は、は、は」
俺は感情が籠っていない笑みを浮かべる。
これが笑わずにいられるか?笑えねぇ…。
なんだよ。どうしたんだよ。
「俺の身体に、何が起きてる!」
俺はそこから意識が無い。あまりにありえない状況で考える事が嫌になった。
そうして、俺は鉄の様に固い床に、倒れていった。だが、痛みは感じない。