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坂道 終わりのない道 いつか あなた 雑感

「坂道」 6・9・28                             71


子どもたちは難しい算数の問題に頭を抱え嘆息する

若者達は足を引きずりながら、薄笑いを浮かべさまよっている

妻は灰色の顔で夕食をつくる

老人は自分で右手を傷付け、血を流している

僕はといえば

重くなった頭を精一杯の力で支えながら

わけもわからず、1日を消費する

みんなフラフラして

なんとか自分自身をつかもうと頑張っているのだけれど


僕が自分自身であることが

どうしてこんなに難しいのだろう?

君が君自身であるために

何が必要なのだろうか


1+1が2でなければならず

すべては白と黒しかない

時間と空間は限定され

僕たちは閉じ込められている


あまりにも多くのことを知らされると

頭は細かく分断されるし

使い捨てのモノばかり溢れていると

僕のこの手には何も残らない

お金があっても面白くないし

誰かと話をしたって意味もない


坂道が続く

夕焼けの街並みを歩いているのは

まぎれもなく僕自身だったのは

いつだったのだろうか


「終わりのない道」 6・9・30                        72


僕たちは終わりのない道を歩いている

僕たちはなぜ生まれて死んでいくのか

生れ落ちてすぐ死んでいく人もいれば

100年を超える時を生きる人もいる

虐げられ蔑まされ、いいことなど数えるほどしかない人生もあれば

幸福に包まれた人生もある


全ての人生に意味があるのか

僕たちの生存はいったい何につながっているのか?

時の始まりから常に

僕たちは罪を背負ってきた

動物たちを殺し

草花の実りを奪い

大地を削り取り

空を海を汚してきた

人々は殺し合い、支配を繰り返し

神の言葉は欺瞞となる

無機質な建造物が世界を埋め尽くそうとしている


なぜだろう?

それでも、それでも

僕たちは光を信じ

胸のうちに新しい歴史の扉を開ける

1人また1人と

新しい時を刻むのだ

僕たちは

終わりのない道を歩いている


「いつか」 6・10・3                            73


いつか

すべてが

無に帰す時が来ても

僕たちは

確かに

ここにいたと確認しよう

宇宙が

光速で

拡散しようとも

永遠の時を刻もうとしても

ひとつの始まりには

ひとつの終わりがある


僕たちは

宇宙から生まれ

宇宙へ帰って行く

僕たち1人ひとりが

存在した証は

物語として語り継がれるはずだ


宇宙開闢からの記憶は

僕たちの遺伝子の中にあり

広がりゆく宇宙は

僕たちの意識と同調する・・・・・・


「あなた」 6・10・4                           74


あなたが逝って

何度春の風が吹いたことでしょう

あたたかい風は

生命の息吹を伝えてくれるけれど

あなたがいたということを想い起こし

私は涙にくれるのです


だけど

広い野原に寝転がり

180度の青空を見ていると

あなたが、どこかにいるような気がします

あなたは

あの青い空の向こうにあるひとつの星なのでしょうか

私を優しく包む風なのでしょうか

私をいつも支えてくれる土の一粒?

それとも痛んだ胸を少しずつ癒してくれる静かな闇なのでしょうか?

私の頭の隅には、いつもあなたが笑っています

私の胸には、2人で行った海岸の潮の香りが今も残っています

私の指や手や腕は、今も誰かを求めています


時が経っても

悲しみの深さはそのままで

体の奥まで深くえぐっています

だけどあなたとの思い出は

楽しいこと、嬉しいこと、素敵なことばかりで

困ったことや悲しいこと苦しんだことは、ひとつもなかったような気がします

(それはたぶん嘘なのでしょうけど・・・・・・)


私はいい加減な現実主義者で

1日1日をちゃんとこなして暮らしています

だけど私は信じています

また、いつか、あなたと会えることを

きっときっと会えることを

私が涙でくしゃくしゃになっても

あなたは涼しい笑顔を浮かべて

私を見つけてくれると信じています


私は

いつか

きっと

あなたと

再び

会えると

信じています


「雑感」 6・10・6                             75


人生は不平等だ

日の光すら差別している

運命の意味すら役に立たない

悪いことだらけの人生

嬉しかったことは人生で数えるくらいしかない

虐げられ

辱められ

打ちのめされ

虫けらのように扱われ

なぜ生きる?

薄れゆく意識の中

初めての安息が訪れる

永遠の安らぎ?

それでいいのか?

そんなことが許されるのか?

すべての人間は生きていくわけで

生存しているわけではない!

僕らはあまりにも不平等すぎて

目を覆っている

カン高い笑い声がこの国を埋め尽くし

無限の色が商品となって目をくらます

人々は常に移動し、おしゃべりをして、うそぶく

いたるところに地獄が口を開けている

一度足を踏み外すと

みんな大笑いをして喜ぶ



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