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君を 空 欲望 邂逅 道

「君を」 5・11・22                            56


美しい調べが鳴っていると

君に口づけする


星が凍りつくように輝いていると

君を抱きしめる


夜が静かに深くなると

君を確かめる


風が目覚めのときを告げると

君の肩を抱いて歩く


僕は心が動くと

君を見る


「空」 6・4・27                              57


遠いところから

「タスケテクレ、タスケテクレ、タスケテクレ」

僕は立ち上がり

白っぽい空を見上げる


同じ星にいることはわかっている

僕は君を助けたいのだけど

「タスケタイ タスケタイ タスケタイ」


だけど

僕は

もう

とっくに

絶望しているのかも

しれない


なんとなく

息をしているだけなんだ

無様に生きている


「欲望」 6・6・20                             58


うるさい

頭が痛い

どこへ行っても

つきまとってくるやつ

電車に乗っても

自動車を運転していても

家にいても

レストランで食事をしていても

ベッドで寝ていても

そいつはやってくる

「あのことはどうなったか、知っていますか?」

問いかけてくる

「世界中の誰もが興味津々なのに、あなただけ無関心を装っていますね」

「うるさい!」

俺はそいつから逃れるために

心臓が破裂して口から血を吐きながら走った

「あなただけですよ。全世界の中で、ただ一人知らん顔しているのは」

そいつは不思議そうな顔で俺を見た

嘘つきめ!

すべての人間がお前のことだけ考えているはずない

「あなただけですよ」

そいつは俺の耳元でささやく

俺は人差し指を思い切り耳に突っ込んでやった

そして

雄たけびを上げながら逃げるのだ


「邂逅」 6・6・23                             59


僕らは

生まれ変わり

再びめぐり会えるのだろうか


無数の星が流れ

風が巡り

花は散り

音が止み

光はその輝きを失ったとしても


僕らはめぐり会えるだろうか


世界が終局に向かっていても

すべてが死につつあったとしても

そして蒼い闇がすべてを覆ったとしても

僕らはめぐり会い

この宇宙で再生することができるだろうか

死してなお

再生することができるだろうか?


「道」 6・7・7                               60


長く細い道を

君と歩く

その道は石ころがいっぱいあり

水たまりもあり

雑草も生えている


風が吹く

君の茶色に輝く髪が揺れる

夕暮れは

天空の半分を薄いオレンジ色に包み

僕らを悲しくさせる


また風が吹く

草原は波をつくり

僕らを飲み込もうとする


いつの間にか

蒼く深い闇に覆われ

僕らは

僅かな街灯の光をたよりに歩いている


どこに行くのだろう?

僕は誰に言うともなしに訊く

君はやさしく笑い返し

僕の右手をあたたかく

意外と力強く

握り返す


長く細い道を

君を二人で歩く・・・・・・



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