つながる 進化 君は? 終焉 モーツァルト
「つながる」 5・5・23 41
世界と何処かでつながっているかと訊かれ
ある人はパソコンでつながっていると言い
ある人は神に祈りを捧げているときと言う
また
ある人は白いボールを追いかけているときと言い
ある人は愛する人を抱きしめて、エクスタシーを感じているときと言う
またまた
ある人は
ピアノの鍵盤をたたいて、美しい音が流れ出るときと言い
ある人は本の中で、自分自身を見つけたときと言った
世界とつながるということは
自分自身があるということ
自分自身があるということは
意識を垂直に立て
地面としっかりつなげること
「進化」 5・6・7 42
僕らは
150億年の到達点なのだ
永遠と思われる
時を経て
進化の頂点に立つ者よ
宇宙開闢から
この星が生まれ
数限りない
生き物が
試行錯誤し
ついに僕たちが生まれた
海も
大地も
空も
風も
僕たちを知っている
だから
僕たちは思い出さなければならない
世界は偉大な母であり
僕たちを祝福していることを
「君は?」 5・6・15 43
君は幸せか?
胸がときめいているか?
恋する人はいるか?
愛する人はいるか?
無邪気な子どもたちがいるか?
美しい音楽を聴いているか?
そのメロディを聴いていると
知らずに涙が流れているか?
喜びをともにする友人がいるか?
裏切ることのない仕事仲間がいるか?
一日をしっかり区切って生きているか?
青くどこまでも青い空を見上げることがあるか?
雨が空から降っていると感じているか?
そして川となり、海につながっていると思うか?
大地を抱きしめたいと思うか?
君はこの時を生きているか?
「終焉」 5・6・25 44
世界は
もう
とっくに
終わってしまった
遺伝子操作で
あらゆる生物のクローンを創り出し
太陽を凌駕するエネルギーを創り出し
半永久的に空間を狂わす放射能を撒き散らし
情報は操作され
唯一の価値が地球を駆け巡る
黄金の塔に住む人たちは
億万の屍に気づくことはない
貧しき者は声を発することもなく
闇の中に立ちつくす
朝日が昇り
風が流れ
大地が熱され
雨が降り
雲が動く
空は光を失い
無数の星が現れても
その風景は永遠に静止している
「モーツァルト」 5・6・30 45
神の御使いが
天上の音楽を奏でる
その調べは
いつも
空中を
自由に飛びまわり
僕から肉体の重みを消し去る
ああ
軽やかに
力強く
奔放に動きまわる
しかし
時が満ち
肉体が朽ち果てる時
その調べは
初めて地上に降り立ち
天に向かい咆哮する
神の御使いが人間にもどる時
土こそが
大地こそが
必要なのだ
そして大地に抱かれ
安らかに眠ることができるのだ
鎮魂の歌は
この大地から発せられる