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短編(ジャンルごった煮)

絶世の美形?いやいや、俺達、元の世界では普通です。

作者:港瀬つかさ
美醜の価値観がズレているというお話を読んだので、ちょっと書いてみました。
ただのギャグですので、さらっと読んでいただけたら…。
 美醜の定義ってのは、時代とか場所とかで物凄く変化する。
 俺はそのことを知っている。
 知っていた。
 いやだって、平安時代の美女の定義って、麻呂眉にお歯黒だぞ?
 今で言うおかめ顔が、あの時代では超美人だったんだぞ?
 むしろ、顔が見えないから、美人=美髪って感じだぞ?
 それを考えたら、美醜ってのは変動するっての、解るだろ?


 で、その事実を踏まえた上で、目の前の状況を確認したい。


 この世のモノとは思えないほどにキラキラした美貌の美男美女が勢揃い。
 そんな彼らが、まるで崇め奉る勢いで俺を見ている。
 正確には、俺と、俺の隣にいる、少女を。
 俺達二人の他にあと三人いるんだけど、そっちは無視。
 すっげー勢いでスルー。
 俺達二人のことしか見てないの。
 怖いぐらいに。

「……い、諫早いさはやくん」
「おーけー。俺もこの状況はあり得ないとか思ってるけど、落ち着いて、委員長」
「む、無理だよ…っ。この人達の言ってること、意味、わからない!」
「…あー、うん。俺も正直、意味解らない」

 涙目になりながら俺の腕を掴んでいるのは、同じクラスの学級委員長、片平楓かたひらかえでちゃん。
 背の中頃までの黒髪を首の後ろでくくってる、眼鏡女子。
 典型的な委員長タイプ。
 几帳面すぎず、真面目すぎず、冗談も言うけれど委員長の仕事はしっかりやるような子。
 顔立ちは平凡、普通、モブ顔。
 いや、別にけなしてるわけじゃなくて、本当に、特徴の無い普通のモブ顔なんだよ。
 …俺もだけど。

「勇者様、聖女様、どうか、我が国をお救いください」
「俺ら普通の人間なので、そういうの無理です」
「その神々しいお姿をお持ちの貴方方が、何の力もお持ちで無い筈がありません!」
「何ですか、その外見差別。俺ら普通のモブ顔なんで」

 淡々と返答するが、彼らはご冗談をなんて言っている。
 あと、うっとりした顔で俺達二人を見ている。
 重ねて言おう。
 彼らの視界に入っているのは、俺と、片平さんだけだ。
 あと三人いるんだけど、綺麗にスルー。

 ちらりと俺は視線を、その三人に向けた。
 イケメン二人と美少女だ。
 クラスでも人気者の、チャラ男のイケメンと、爽やかイケメンと、勝ち気系美少女。
 チャラ男の名前が久喜宮亮くぐみやあきらで、爽やかイケメンの名前が日向涼介ひなたりょうすけ
 んでもって、校内人気ナンバーワンの勝ち気系美少女の名前が、各務朝陽かがみあさひ

 さて、学園の人気者トリオと、普通&モブ代表の俺達二人が、何故一緒に居るのか。
 あと、目の前のキラキラした集団は何なのか。
 勇者とか聖女って何のことだよとか。
 言いたいことはたくさんあるんだが、とりあえず。


「…理論的に現状を説明できる人間を呼べ」


 ってことですよね~?
 いやマジで。
 崇め奉る勢いで、勇者様聖女様、神々しいお姿とか言われても、意味解らねーんだよ!
 責任者かつ説明できる人間呼べやぁああああ!



********************************


 で、俺の要求が通ったので。
 そう、何故か、あんな暴言が普通に通ってしまったので。
 つーか、ひれ伏す勢いで速攻伝令が飛ばされましたので。
 俺達は今、貴賓室っぽい部屋で、暢気にお茶を飲んでいた。
 いや、別に暢気じゃねーけど。

「タクト様は、随分と落ち着いておいでですね」
「別に落ち着いてるわけじゃないですけど、慌てても仕方ないなって思って」
「そうしてお話に応じてくださるだけで、私共は大変助かっております」
「それはどうも」

 俺の目の前に座っているのは、めっちゃ美形の魔導士さんだ。
 魔導士。
 れっつごーファンタジーですよ。
 宮廷魔導士長とかいうめちゃくちゃ偉い人らしい。
 んで、俺の目から見て、「やっべー、これスーパーモデルレベルだわ」な美形のお兄さんだ。




 が、このスーパー美形のお兄さん、この世界で言うところの「不細工」らしい。



 いや、色々と説明は聞いた。
 いわゆる異世界転移系のラノベのお約束な?
 魔王を倒すために勇者が召喚されて、みたいなアレ。
 俺らの場合、魔王を倒すためじゃなくて、世界樹の魔力枯渇を補うために召喚されたらしいんだけど。
 あと、ちゃんと世界樹に魔力補充したら、送還できるらしいけど。

 で、召喚された男性は勇者で、女性は聖女と呼ばれるらしい。
 もうそこ、全部統一して神子でよくね?とか思うんだけど。
 そう言ったら、神子も巫女もいるんだとか。
 だから、それらと区別するために、特別な存在の呼び名が、勇者と聖女。

 そういう異世界テンプレの説明は、サブカルに馴染んだ俺らにはわかりやすかった。
 唯一、そういうオタク趣味の素養が低かった片平さんだけが、首を捻ってたけど。
 …彼女、本は好きだけど、文学系ばっかり読んでたもんな。
 他の三人は、何だかんだで流行のラノベやアニメ押さえてたもんな。
 え?
 何でそんなこと知ってるかって?
 いや俺、図書委員なんで。
 図書室にラノベ含めて色んな流行の新刊放り込むの俺の仕事だし。

 それよりも、俺を含めて全員が理解出来ないのは、この世界の美的センスだ。
 美的センス。
 違う、間違えた。
 美的センスは間違ってない。
 服とか髪型とか調度品とか、自然とか動物とかに対する美的センスは同じだ。
 こちらの美しいモノは俺達にとっても美しい。



 ただし、人間に対する美的感覚が狂いすぎてて、笑うしか無い。



 色々と話を聞いて、俺達は理解した。
 理解出来ないけど、情報としては認識した。
 この世界において、美形と称される条件。
 それは、俺や片平さんのような、モブ顔だ。
 普通の顔が絶世の美形なのだ。
 フツメンでモブ顔で、没個性とまで言われた俺が、絶世の美男子とか言われてる。
 ナニソレ、怖い。

 片平さんも同じくで、何の特徴も無いモブ顔女子だった彼女が、絶世の美少女。
 それも、傾国の美女レベルらしい。
 当人は真っ青になりながら「そんなことないです!」と全力否定していた。
 当たり前だ。
 俺達の感覚でいう美形は、久喜宮とか日向とか各務さんとかだ。
 断じて、俺や片平さんのような普通顔が美形であるわけがない。

 ところがどっこい、俺達が美形と証明する事実が、出てしまった。
 この世界において、俺達のような普通顔のモブを美形と呼ぶ。
 その根拠は、「美形は魔力含有量が多い」というものだ。
 この世界でも、彼ら基準の美形(俺達基準のモブ)は魔力が物凄く多いらしい。
 で、その法則に則って、俺達も魔力を計測された。
 というかまぁ、そもそもが、世界樹に魔力を補充する要員として呼ばれたんだから、計測して普通だけど。



 で、俺と片平さんが、やらかした。



 そもそもが、召喚者ってのは魔力がこちらの世界の人より多いらしい。
 眼前の魔導士長さんも、こちらの世界ではそこそこ魔力が高いそうだけど、俺らのが上。
 なお、彼は顔面偏差値が俺ら基準でめっちゃ高いのに魔力がそこそこ高い。
 元々の魔力を、血の滲むような努力で鍛えた結果らしい。
 なので、「外見はさえませんが、魔力には少々自信があります」とはにかんだように笑っていた。

 いやいやいや!
 全然さえない外見じゃねぇですけどね!?
 俺達全員が、眼福レベルで見惚れるような、完璧美男子ですけどね!?
 5人全員でツッコミ入れたけど、信じて貰えなかった。
 勇者と聖女は心優しいみたいなニュアンスで受け取られた。
 解せぬ!

 話を戻そう。
 魔力含有量を計測したら、俺と片平さんのそれが、歴代勇者&聖女をぶっちぎってトップだったらしい。
 2人でワンツートップ。
 他三人は、この世界の人たちよりは高い、召喚者の平均レベルだそうな。
 ゆえに、この世界の人々にとって、美形=俺と片平さん。
 何その図式。
 いらない。

「皆様には無理を申していると承知の上ですが、どうぞ世界樹を救うためにお力をお貸しください」
「…まぁ、そうしないと戻れないなら、やるだけやります。…で、良いよな?」

 振り返って俺が四人に確認したら、頷かれた。
 なお、何で俺が代表者みたいな感じになってるかというと。
 ……向こうが勝手に、絶世の美男子認定した俺を、リーダーだと決めつけて話してきたからです。
 あと、パニックが一番少なかったのか、開き直ってしまってたのか、一番普通に会話しちゃったからです。

 うぁぁ-。
 各務さんの視線が超痛い。
 勝ち気系美少女の各務さんにとって、さえないモブの俺がちやほやされるのが許せないのだろう。
 安心してくれ、各務さん。
 俺も理解不能だし、俺の自己認識はモブのフツメンだ。
 だから、頼むから久喜宮も俺を睨むな。
 俺は悪くないんだ。
 イケメンチャラ男のお前の活躍を奪うつもりなんてなかったんだよ!

 ぶっちゃけよう。
 俺達はラノベやサブカルに慣れ親しんだ、現役高校生である。
 それが異世界召喚されて、勇者や聖女と言われたら、どう考える?
 誰だって、自分がちやほやされたいと思うんじゃないか?
 …少なくとも、通常人気者である彼ら二人は、そう考えた。
 なお、元来モブ気質の俺と片平さんは、そのお付きAとBで十分だったんだ。
 …………日向は、…あいつは普通に善人過ぎて、困ってる人を助けようオーラしか出てないな。

 そんなわけで、本来なら勇者様&聖女様としてちやほやされる筈のイケメンチャラ男と勝ち気系美少女は、ご立腹である。
 普通の展開なら、クラスで人気者の彼らがちやほやされるターンだ。
 何が哀しくて、教室の隅でいつも本を読んでるモブの俺がちやほやされんの。
 地味すぎて号令の時しか存在に気づけないとか言われてる、片平さんが女神のごとく扱われてんの。
 価値観が違いすぎて、色々ぶっ飛んでて、怖い。

「それでは、本日は皆様の歓迎会を用意しております。お時間になりましたらお呼びしますので、どうぞごゆっくりおくつろぎください」

 思わず見惚れるしか無い笑顔を残して(この世界基準だと不細工のキモ顔らしい)、魔導士長さんは去って行った。
 各務さんがうっとりした顔で見てるのも、片平さんが顔を真っ赤にしてるのも、無理は無い。
 俺達男三人だって、あの顔はヤバイと思った。
 スーパーモデルの微笑みなんて見たら、同性でもドキドキするぞ?


 …さて、現状把握はおk。どうするよ?


 ちらりと視線を向けたら、全員とりあえず、示し合わせたように紅茶を飲んだ。
 一口。
 こくりと音をさせて紅茶を飲んで、カップを置いた。
 息を吐いたのは誰だったか。
 そして、各務さんが口を開く。

「召喚されたとか、世界樹を救ってくれとか、もうこの際、それはどうでも良いわ」
「良いのかよ」
「良いのよ!それより、この世界の美形に関する認識、おかしくない!?」
「そうだそうだ!何で俺や各務が不細工で、お前らが美形なんだよ!?」
「そんなん俺に言われても困る」
「私に言われても困ります…ッ」

 怒髪天って感じの各務さんの発言に、久喜宮が乗った。
 いや、言うと思ったけどね?
 お前ら本当に、モテキャラのテンプレだろ。
 自分たちが美形だって解ってるから、モテないのおかしいっていうアレ。
 言いたいことはわかるし、俺らもそう思ってるから、怒るのやめれ。

 ただ一人会話に入らなかった日向はといえば、魔導士長が置いていった、この世界の成り立ちの本を読んでいた。
 物凄く真剣な顔で読んでいた。
 …日向、お前の適応能力の高さ、凄いな。
 あと、お前は自分をイケメンだと思ってないから、モブとか不細工扱いされても気にしてないんだな。
 さすが、無自覚天然系爽やかイケメンは色々おかしい。

「っていうかね?あたしが納得いかないのは、あんた達が美形扱いされてるのもそうだけど、ブスと同列に扱われてるってことなのよ!」
「そうそう!お前らが美形扱いなのは百歩譲るわ!何で、俺らがあんな不細工と同じ扱いなんだよ!?」
「……いや、俺に聞くなよ。俺も聞きたいわ」
「私もそう思います…。というか、私たちの認識で不細工な人たちは、こちらでも不細工なんですね?」
「言われてみりゃ確かにそうだな」

 力説する各務さんと久喜宮。
 不思議そうに呟く片平さん。
 …と、相変わらず真剣に本を読んでいる日向。(もうこいつは好きにさせておこう)
 俺も三人の発言には同意見だったので、真剣に悩んだ。

 そう、この世界、美形に関する認識がズレてるくせに、俺ら基準で不細工は不細工なのだ。
 ブスはブス。
 デブはデブ。
 ハゲはハゲ。
 不細工は不細工。
 その認識はまったく同じで、こちらで不細工と認識される人たちは、俺達から見ても、申し訳ないが、不細工だった。
 正直、近くにいたくないと思う感じでブスとか不細工とかだった。
 なのに、彼らにとっては、俺達から見てハイパーイケメンでも、スーパー美女でも、不細工。
 マジで理解不能だ。

「正と負なんじゃない?」
「「…は?」」
「だから、正と負の感じで、不細工認定」

 それまで本を読んでいた日向が、顔を上げて呟いた。
 お前、俺達の話聞いてたんだ?
 めっちゃ真剣に本を読んでたから、聞いてないと思ったよ。

「僕、割と人の話聞くの得意だから。五人ぐらい同時に喋ってくれても理解出来るよ」
「「お前はどこの聖徳太子だ!」」
「えー?家族多いから、必然的に身についただけだよ~」

 思わずハモって突っ込んだ俺と久喜宮に、日向はにへーっと笑っていた。
 …あぁ、こいつこういうキャラだったんだ?
 爽やかイケメンだと思ってたら、天然要素がちらっとあるのは知ってたけど。
 俺が視線で問いかけたら、久喜宮が疲れたように頷いた。
 お前も大変だなぁ…。
 これとイケメンの二枚看板でセット販売扱いだから、この天然のフォロー大変だったんじゃね?
 各務さんが同情的に久喜宮を見ているので、多分、俺の認識は間違ってない。


 天然ってのは、悪気が無いだけにこっちが疲れるんだよな!


 で、その天然様。
 首を捻ってる俺達を相手に、だからね?と笑って説明を続行。
 カップを一つ引き寄せると、コレが中心ね?と笑う。

「中心?」
「この世界で言うところの、最上級の美形の判定。僕たち基準で、普通の顔の人たちが、ここ」
「おう。俺や委員長だな?」
「うん。それで、各務さんとか久喜宮くんが、こっち。僕たち基準で、不細工ってなる人たちが、こっち」

 俺達を普通のモブ顔を示すカップを中心に、左右にカップを置いた。
 方や、俺達基準の美形。
 方や、俺達でもこの世界でも不細工と認定される人々。
 中心から等間隔に並べて、日向はへらりとまた、笑った。


「つまるところ、中心点から離れているのは、全部、不細工」


「…ぁ、あーあーあー!そういう考え方か!確かにそれなら納得した!」
「プラスだろうがマイナスだろうが、離れる距離は同じってことか?!」
「そういう認識なの?!普通から離れてるってだけで、美形すら不細工認定なの!?」
「日向くん、凄いですね。とてもわかりやすかったです」
「って言っても、僕の憶測だけどね。多分、間違ってないと思うよ?」

 なるほど。
 物凄い勢いで納得できた。
 俺達普通を基準点に、それを絶世の美形と判断しているのなら、そこから外れるのは全部不細工と。
 俺達の、目立たない、普通の、モブ顔のパーツ配置を神の采配と呼ぶならば、それ以外はアウトと。
 だから、俺達基準の美形も、不細工も、この世界では全部不細工と。
 ……何か色々理不尽だなぁ、ヲイ!

「じゃあ、何で出迎え勢は全員キラキラ美形だったんだ?」
「それ、この本に答えっぽいの書いてあったよ」
「マジで!?」

 ぱらり、と本のページを見せてくれる日向。
 そこには、俺達基準でのキラキラ美形、こちらの世界での不細工さんの絵姿。
 美形=魔力含有量が多いのが基本で、不細工の中で多少まともに魔力を持ってるのが、俺達基準のキラキラ美形人種、と書かれていた。
 …待て。
 それってつまり、俺達基準の不細工は、こちら基準でも不細工で、何も良い点が見当たりませんが?
 神様、苛めじゃね?

 んでもって、俺達を出迎える召喚の儀式は、そのキラキラ美形集団が担当するらしい。
 主に、魔力含有量の関係で。
 …あと、この世界に、俺達のような普通顔、モブ顔はほぼ存在しない。
 存在しないからこそ、召喚で呼び寄せた勇者や聖女の中にそれを発見して、ヒャッハーするらしい。

「あと、召喚した勇者や聖女がこっちに残ったり、こちらに血筋を残した場合、相手が僕たち基準の美形が多いって」
「そりゃそうでしょ」
「そりゃそうだろ」

 本を読み込んでた日向の発言に、各務さんと久喜宮が速攻答えた。
 俺もそう思います。
 片平さんも頷いていた。
 だって、この世界では不細工と言われてたって、俺達基準だとキラキラ美形だ。
 どうせ選ぶなら、自分の美的センスに則って、美形を選びたい。

 …ってことは、キラキラ美形の方が魔力含有量が多いのも、その関係か?
 キラキラ美形の遺伝子に、普通顔、モブ顔の召喚者の遺伝子が混ざってんじゃね?
 この世界においてはどっちも不細工らしいが、俺達が選ぶなら、俺達基準の美形だよな。
 え?
 人間顔じゃ無くて中身が大事?
 阿呆。
 それは確かに事実だが、どうせなら自分の好みの外見の方が嬉しいわ。

「…この世界の美形に関する認識だけは、どうにもなじめる気がしない」
「同感よ。あたしがブスってどういうことよ」
「俺も平和にモブとして生きていたかった…」
「私もです…」

 色々検討した結果、俺達四人が出した結論は同じだった。
 原動力になってる感情は違っても、結論は同じ。
 この世界あり得ない。
 モブ顔が絶世の美形とか、頭オカシイわ。
 各務さんと久喜宮は、自分たちが美形と認められない世界が許せないらしい。
 俺と片平さんは、モブらしく静かに生きて行きたいのに許されなくて辛い。

「でも、とりあえず世界樹を救えば良いんだよね?」
「…日向…、お前ちょっと色々考えよう?」
「考えてるよ?だって、世界樹を救ったら、戻れるんだろう?だったら、頑張れば良いだけだし」
「確かにそうだけど、もうちょっと考え…、ああ、お前自分がイケメンじゃ無いとか思ってるもんな!?」
「あはは、イケメンっていうのは、久喜宮くんのことを言うんだって」
「「……うわぁ」」

 爽やかな笑顔で言い切った、無自覚天然爽やかイケメン。
 こいつ罪深いわ、と俺は思った。
 こいつはこいつで、別の意味で認識がオカシイんだな。
 基本的な美形への認識は間違ってないのに、自己認識だけオカシイ。
 誰だ、こいつに自分はイケメンじゃないなんて思わせたの。
 ちゃんと自覚させておけよ。

 まぁでも、言ってることは間違いじゃ無い。
 こんなヘンテコな世界からは、さっさとおさらばしよう。
 幸い、俺と片平さんの魔力は桁違いらしい。
 それなら、世界樹への魔力補充作業とやらも、さっさと終わるだろう。
 終わらせて、元の世界に戻して貰おう。
 俺達モブには、モブの生き方があるのだ。




 結局、世界樹に魔力補充して元の世界に戻して貰えるまでに、頭が痛くなるほどに宴に招かれて、絶世の美形ともてはやされて、俺と片平さんのメンタルは多大なダメージを受けるのだった。



FIN
なお、過去に召喚された勇者や聖女の中には、モブ顔だったおかげでモテモテになり、凄く喜んだ人もいます。
そういう人たちがこちらに定住して、子孫がいたりもします。
が、残念ながら諫早拓人と片平楓はモブ人生を満喫したいようです。
なので彼らは、迷うこと無く帰還の道を選ぶタイプでした。
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