表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛しのカウンセラー  作者: 高遠リョウ
8/31

8話(ネコおじさん)

前回、私はトパーズに会えなかったことで、ひどく落ち込んでいた。自宅へ帰り着いても『きっと、もうどこかへ行ってしまったに違いない』とか『事故にでも遭ってしまったのかも』など、よからぬ想像をして、いてもたってもいられなかった。

「ダメだ! トパーズの生存確認をしなければ落ち着かない」

そう思い立つと、私は数日後再びお寺へ出かけた。


境内は季節柄、人手が多くにぎやかだった。私はひたすらトパーズを探した。そして意外と人がやってこない穴場の広場へ向かい、『チェッ、チェッ、チェッ、チェッ』と舌先を鳴らし呼んでみる。するとトパーズが奥の茂みからひょっこり顔を出した。

「いたー! 生きていた! 良かった!」

と、私は心の中で大泣きしながらトパーズに飛びついた。

「この間は、どうしたの? 心配したんだよ~」と、会えなかった心の内を切々とトパーズに訴えた。


トパーズの生存確認をした私はすっかりご機嫌になり、しばらく広場のベンチで一緒に過ごす。やがて昼になり、自転車に乗ったオジサンがやってくる。オジサンを見たトパーズは、膝の上から飛びおりると、オジサンの元へ走っていく。

「あっ、トパーズ!」

 私はすぐにトパーズの後を追う。トパーズはオジサンの足元で何かを待っていた。

「今やるから待ってろ」

 そう言うと、オジサンはトイレ棟の裏にネコのえさを置いた。す

すかさずトパーズがそれにありつく。


「こんにちは。あの……ネコちゃんにえさをあげているんですか?」

 私はオジサンのことが気になり声をかける。

「ああ。こいつらにえさをやりにな。それとゴミが落ちているだろう」そう言いながら、オジサンは広場に落ちていたタバコの吸い殻を拾い上げる。オジサンは決してダンディとはいいがたい、メガネをかけた白髪の年配のオジサンだった。

「ほらっ、あそこの茂みにも子猫がいるんだ

そう言ってオジサンは、大きな袋を手に茂みの中へと消えていく。昼ごはんを食べ終えたトパーズは満足そうに舌舐めずりをしていた。 

「ネコおじさんだ……」こうしてネコおじさんとの出会いが始まる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ