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note ダンジョン (1)その始まり

 ダンジョン。(お役所の書類的には、日本(にほん)ダンジョン)

 最大の謎だ。

 一言で言えば、異空間。

 その出現は今から約50年前のこととなる。ある日突然に、富士山が入れ替わったのだ。

 円柱と。

 その直径、20km。その高さ、400km。材質はクリスタル……としか表現しようがない物質。屈折率はゼロに等しく、向こう側がくっきり見える驚嘆すべき透明度。完全断熱で、強度、硬度は測定不能。弾丸は楽々弾き返し、エナジービームは際限なしに全吸収された。微量の試料すら削り取れなかった。

 放射能はない。メッセージもない。

 意味不明、正体不明。そこにただ立っているだけだった。人々は次第に平静を取り戻す。とりあえず、市民(われら)の平和を乱されることはない。()()は何者かが無断で建立した、記念碑みたいな物なのだろう、と解釈し始めたのだ。むろん「何者か」とは、神クラスの存在であることに変わりなかったのだが――

 淡い期待というものだった。神が人なぞ気に掛けるはずなかったのだ。

 ある日いきなり稼働した。

 その日の深夜、0時00分00秒に、クリスタル材質の円柱内部に、光球が出現したのだ。

 光球の直径は、大体だが、100mくらい。それが、天井の下10km地点に、始めから欠ける所ない真球としてパッと出現。出現したと同時に落下し始めたのだった。

 光球が円柱の黒い底面に衝突する際は、出現時と様相が異なった。球の形を、平面の向こう側に欠き消して行くように、黒い床面に沈み込むように消えて行ったのだった。

 そしてしばらくすると、また天井部に出現する。これの繰り返し……。

 光球の落下は、初期は安定しなかった。地球重力の影響を受けてか、加速度的に落ちたかと思えば、エンストを起こしたようにつんのめりながら落ちることもあった。真っ直ぐ落ちず、カーブが掛かって、途中で円柱外に飛び出ることも度々発生した。その時はひどかったという。まさにビーンボールというやつで、落下地域が蒸発した、と記録されている。

 安定するのに二月(ふたつき)ほどかかった。

 深夜0時00分00秒に光球が出現。

 一定速度で降下し、06秒で底面に消滅する。

 そして、0時01分00秒に、再び天井部に光球を出現させるのだ。繰り返し、繰り返し……。


 これは、()()()()()()()()()()()()9()()。つまり、俺たち含む、()10()()()()()()()()()()と推量させられ、そしてそれが正鵠を射ていた、ということだった。


 神の恣意か、俺らの世界が00秒の先頭であったため、のちの()()()()()で、我々の世界はα(アルファ)と呼称されることに決まったのである。

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