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note ζ(ゼータ)の世界(2100.5)

 ζの世界について記そう。

 一言で言えば、“エスパーの世界”である。さらに一つ、正確な言葉を付け加えたならば、“疑似エスパーの世界”である。

 そう、そのとおり! ミラクルテクノロジー。“高度に発達しすぎた科学技術”が彩る世界なのだ。あのβの世界が天然の魔法の世界ならば、ζはそれを科学力で実現させてしまった、人工の魔法の世界なのであった。


 実際に科学レベルは、全世界の中に比べられる相手がいない。生み出された製品の例をあげたらきりがないのだ。

 ひとつだけ紹介するが、それが――彼らの最大の発明品、彼らの世界を象徴する代表的科学技術の結晶であるところの――“ヴェール”と呼ばれる微粒子なのであった。

 簡単に言うと、ナノマシンだ。ζの人たちは、これを地球大気の中に無尽蔵にバラまいたのである。ちょうど金星を覆い尽くす雲の大気のように。(いやイメージだ。あんなに恐ろしくないし、無色透明だし)

 で、このヴェールで何ができるのかというと、コミュニケーションギアとして最高のパフォーマンスを発揮した。ちょうど俺らのパムホと同等、そして超越する現象を起こすことができたのだった。


 ()()()()で、特定の個人、あるいは周囲の人に、考えを(一方的に)“通信”することができた。(逆に無理に他人の思考を読むことはできない)

 これなんかもろ、テレパシー、念話だよな。ヴェールの粒子幕が続く限り、ゼータ人同士なら、どんな遠距離でも通話できた。

 他世界人はヴェールの利用はほとんどできないが、パムホを通じてなら彼らと通信することはできた。


 応用技として、遠く離れた場所でヴェールが見た映像を、脳裏に“見る(思い描く)”ことができた。透視能力(クレアボヤンス)だ。


 思い出やデータを際限なくヴェールのメモリーに残せたし、とくにコンピュータの基本、“計算”機能なんかは、自分の脳のごとく自然に利用できた。これなんかシミュレーションに使えるから、予知能力(プレコグニション)の範疇だろう。


 さらに――


 自分の体に、それこそヴェールのように暖気を(逆に冷気も)纏わせることができたし、強制的に気圧差を作り出し、風を起こしたりすることもできた。念力(サイコキネシス)だな。

 ウイルスに対する防壁にもなったし、究極の技として、雷を誘導して武器とすることもできた。


 あとは、超能力ではないかもしれんが、“拒絶”。いわゆるバリヤーだ。

 排泄も生殖もオープンな彼らにとっても、ときに隠し事をしなければならないこともあるだろう。また、他世界人の“プライバシー”という概念も理解している。その必要を認めた場合に使用する能力だな。通信含む、あらゆるヴェール的干渉を拒絶する。


 瞬間移動(テレポーテーション)だけ残っちまったが、これはさすがにムリ。やや強引かもしれんが、ヴェールの濃度を上げることによって空気中に立体像を表示させることができたので、これで瞬間移動のマジックショウを演じることができるかもしれない。


 ……まあ、それほどのものなのである。


 そしてこんなやつらがダンジョンでは、第2位の勢力をほこるのだ。

 このζ世界がダンジョンに与えた影響、コミュニケーションギア・要素“ヴェール”が、どれほどの作用を及ぼしてしまったか、もう想像つくだろう。独立していた有形無形、各世界の要素同士を連結させ、有機的に発展させてしまったのだった。今のダンジョンの姿を造ったのは、彼らと言っても過言ではない。


 では、ヴェールの使い手として、つまりエスパーとして、エマはどれほどのレベルにあるのだろうか?


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