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note ダンジョン (2)おおまかな全体像

 ダンジョン。

 その特異スペースが発見されたのは偶然、いや必然というものだろう。

 円柱が安定稼働を開始してほどなく。不特定多数の人間が、消滅し始めたのだから。


 海岸の波打ち際から内陸へ歩いていた人が、ぐるりと囲む衆目のなか、まるで透明な空気の壁の向こう側に隠れるように、欠き消えたのだった。


 これが、日本人限定で、日本国土全域で発生した。

 日本、いや地球中がパニックに襲われたのは当然だろう。

 政府は対策本部を立ち上げ――

 犠牲者の中からは生還を果たした者も現れ、事態は急速に解明されていく。

 ダンジョン――異空間の発見だった。

 そのおおまかな全体像は、こうだ。


 仮に、太平洋の渚から、日本海の渚まで、一直線の舗装道路を敷いたとしよう。そしてその距離を、400kmとするのだ。(100%)

 すると、道路の幅は20kmになる。(5%……広いね)

 出発して、10km地点で、異空間に突入だ。(2.5%)

 異空間突入後、思い直して太平洋に引き返せば、渚にて“現世(元の世界)”に帰還できる。

 そのまま日本海にゴールしても、現世に帰還できる。

 ただし、舗装道路から外に飛び出してしまったらアウト。自力では現世に帰還できなくなる。

 

 ――というものだった。

『舗装道路』は物の例えだから誤解のないように。

 付け加えて、上空へ飛び出てしまってもアウトだから注意。つまりセーフなのは、おおまかに、半円のトンネル状の空間内だけ、とイメージしてくれたらいい。(残りの半円は地中なので無視)


 スタート地、ゴール地の設定はどこでも(渚である限り)自由だ。その際、直線距離が変わると思うが、等比で各数字を修正してくれたらいい。

 なお直線距離とは、地球を真球と考えたときの大円航路の距離のことであり、現実の山河による凸凹は考慮されない。


 異空間を解析して、これが10の平行世界の、それぞれの“要素”が混合して造られた共通空間であることは早々に理解された。

 ただ混合したのではない。融合、混ざり合ったモノ同士がさらにくっつき合い、まったく新しいモノを生み出していたのだった。


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