第3話 ラッキーカラーが無いと不安
ランチタイム。
机を寄せて昼食をとるやみこと友人。
「いいなぁ、やみこ。いつも弁当つくってもらえて」
「……咲は、今日もコンビニ弁当」
「まあね。うちの親、とも働きだから。あっ、すごーい、やみこ。キャラ弁じゃん」
「…………ダメだ」
「えっ、どこがダメなの? 全然いいじゃん。ふなっしーでしょ? すごくよくできてるよ」
「ダメだ……もうダメだ……」
頭を抱えてうなり始めるやみこ。
「やみこ、ちょっと……だ、だいじょうぶ? なにがダメなの」
「ラッキーカラーが入ってない」
「えっ」
「今日の私のラッキーカラー『ブラッディレッド』だったのに、それっぽい色の食べ物、ひとつもない」
「いや、ラッキーカラーが入ってなくても、十分りっぱなキャラ弁だからいいじゃん。っていうか、ラッキーカラーが血の色って、どんな占いみたの」
「よくない。この弁当を食べたとたん、私の今日の運気は急降下するの。五時間目の授業、体育でバドミントンだから、だれかがネットを張ろうとするんだけど、その人が手を滑らせて、勢いで飛んできたネットのひもが私の顔にあたって、びっくりした私がのけぞったところにネットの柱があって、そこに私は後頭部をぶつけてしまうの。意識を失った私が目覚めたときには、すべての記憶を失ってしまっていて――」
「や、やみこ、考えすぎにもほどがあるよ?」
「もうダメ。帰る」
「あっ、帰っちゃダメだって!」