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悪代官サマ と ユカイな仲マたち  作者: 中田 春
【 アンゾルゴンのア大灯台 】 編
9/82

level.8 きんにく は げんき いっぱいだ!!


 ぜえはあ。


 い、息を切らしております。

 ヒットポイントは残りイチ。まず初期設定が極限状態。

 回復アイテムを探すところから、本日はスタートであります。



 つ……遂に……遂に着きました。

 流れナガレに流されて、辿り着いたよこの島に。

 これほど肉体を酷使したのは、かれこれ二百年ぶり。

 “ツマと原因不明の大ゲンカ”をして以来にございます。



 ああ過ぎ去った遠い日々。

 あんなこともあったし、こんなこともあったよな?

 まるで走馬灯のように只今、リカバリー中の私の脳内を巡っております。

 もう海水は飲めません。



「ぷはーっ。イイ運動やったァ」



 なぜか溢れ出してくる、原因不明のしょっぱいナミダ。

 意識が次第に遠退く中で、

 先ほどからウザいくらいにチラチラするのは波打ち際で遊ぶキンニク。



「シュッシュ!」



 いよいよシャドーボクシングを始めました。

 こりゃ完全に浸っております。

 海水に濡れ、太陽にさんさんと輝く筋骨隆々の肉体美を、

 白い砂浜と青い大空を背景に“ルバロバ支店長”はさらにストイックに、

 すごく楽しそうにイジめます。




 誰もがビビる絶好のロケーション、ってヤツですな。

 これ以上ないくらいに『爽快』でございます。

 とりあえずブログ用にパシャリ。

 ソッチ系が好きなモノは、たぶん究極に好きだと思います。

 じゃあ念のためにもう一枚。



 この“禁断の素材”を使用した場合、

  なにか大切なモノを失う気がします。



「シュッシュ――シュシュ、シャアッ!」



 酔っております、自分に酔っております《ウルフバック》。

 さすがは一頭一頭が“荒野の狩人”。

 ハンターとは孤高の存在。

 理解に苦しむようなモノと大筋で決まっております。

 すると支店長、手鏡を取り出しまして入念に確認するのは左の上腕二頭筋。

 なるほどボディチェックですな。

 ええ分かります分かります。


 ご心配なさらずとも、あなたは今日も健康ですぞ。



「あのぅ、よろしいでしょうか?」

「シュシュシュ」

「ルバロバ殿!」

「なんじゃいシュシュシュ! 大声出さんでも聞こえちょる。オイの耳はバツグンじゃけェ」



 まるで水を得た魚類のようにルバロバ支店長、

 真上に輝く眩しい太陽の『↓』で、元気いっぱいにハシャギます。

 寄せては返す波のように、延々と同じ動作を繰り返しますな。



 今のあなたは、一体どなたと戦っておられるのでしょうか?



「なんじゃいシュシュシュ! 今のオイは、大事なトレーニング中じゃ。見て分からんか」

「どこか日陰に、涼しいところへまいりましょう。このように日差しのキツイ場所では、トロトロに溶けてしまいそう」

「これだから本社勤務の〈マのモノ〉はいかん。おまんらが居る『第四の大陸』は、ひとつも太陽が当たらんけェ、軟弱モノの集まりになるんじゃ。こうしてオイと一緒に太陽の『↓』でトレーニングに励まんかいシュシュシュ」

「ルバロバ殿は、このように過酷な場所でも元気いっぱいですな。はあ、さすが。とても私には真似できそうにありません」


「そうじゃろそうじゃろ、羨ましいじゃろシュシュシュ」

 えっ。

「おまんもオイのようになりたいか?」


 どうしても答えなくてはなりませんか……。


「このキンニク」

 いいえ。

「分けてやらんぞ」

 いりません。

「羨ましいじゃろ、ほら見てみんかい」

 しつこいですね。



「まあ、おまんも疲れたじゃろ。『第四の大陸』からここまで泳いでくる、っちゅうことは本社勤務の〈マのモノ〉は、まずやらんじゃろうから」


 フツウしません。魚類だけです。


「しょうがなか。エエ加減で帰るか。ウチの若いモンが、くたくたに待ちくたびれちょるき。おまんも来い。【アンゾルゴンのア大灯台】支店じゃ」




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