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悪代官サマ と ユカイな仲マたち  作者: 中田 春
【 迷いのマの森 】 編
77/82

level.76 “にゅーすきる” の おひろめだっ!!!

「ブウウウウ」



 さあさあさあ――絶体絶命のピンチの幕開け。

 逃げ場はどこにもありません。誰の助けもこない危機的状況。


「ブウウウウ」

「ひゃあ」


 ひっきりなしに木槌がブウン。そして壁や床がバリンバリン。

 なんつうグレートハンマー……。

 かすっただけで、私の場合は倒れます。守備力はペーパーですので。



「ブウウウウ」

「さすがにマズイ。武器……どこかに武器はないものか。ブヒブキブヒッ」



 そこでピキーン!

 私の最大の武器は、この知能でありました。この窮地の中、閃け閃けェ。



「……ピーン。分かりました。あなたの行動パターンはすべて見切った! このタイマン勝負、私の読み勝ちッ」

「ブウウウウ」



 違うようです。確認しないで飛び出すところでした。

 あぶっ、危なァ。だがまだまだ!


 閃け、閃けェ自分――プリーズ・ナイスアイディア!



「……ピキーン。そこか弱点! ブタの鼻っぽい、顔の真ん中へ捨て身の特攻を! これでゼッタイ勝つるッ」

「ブウウウウ」



 また違うようです。

 出会いがしらの衝突を、ギリギリのところで回避しました。ネクストゥ!


「……ピキーン。あなたは本当は戦いたくない? ゆっくり家で寝ていたい、でしょ?」

「ブウ」


 やっぱり違いますか。

 仕事ですからね。スキとかキライとか言ってられません。

 しかし、律儀に答えてくれるところを見ると、

 目の前の彼は悪いモノではないのかも……?


「ブウウウウ」


 さすが〈魔物〉。我ら〈マのモノ〉と一緒にするな、と

 強力に主張している気がします。


「ピンポン」


 なんかムカついてきました。正解して、ちょっと嬉しい自分が居ます。

 お遊びはここまで。



「この逃げ場のないシチュエーションに、卒業を控えて大汗をかいた、ほろ苦い青春の日々を思い出します。――と、なぜか胸の動悸が止まらない! はわあ! ……お待たせました。気を取り直して、うおっほん。さあ、かかってきなさい! でもその前にぃ……まだですぞ。コラア、下がれ下がれェ! ニュースキルのお披露目であるぞッ! だから木槌を振るのをやめなさい」



 絶対にして唯一の存在である、我らが〈新悪代官サマ〉より以前、

 授けられたチート的な『超』ヒキョースキル――

 設定を変えてしまう『コントロール・S(設定のイニシャルS)』は、

 ハッキリ申し上げて使えません。

 ソレを安易にしちゃうと世界が簡単に壊れてしまいます。



 しかし、しかァし! 

 そんな心のボヤキが通じたのか、このたび〈新悪代官サマ〉はこの私に、

 “ニュースキル”をお与えくださりました(拍手・特大ッ)!!!!



「効果のほどは、まだ未知数。ですが、大活躍の予感がビンビンいたします。時間が押しておりますのでチャッチャと終わらせますぞ。くらあ、コレが私のニュースキル――『リセット・S(設定のイニシャルS)』の発動だ!」



「ブウウウ」

「いえコレが正解ッ! もう一度くらえ、私のニュースキル――『リセット・S』を発動ォォォォ!」


「ブウ、ブウブウ……」

「文句を垂れるところが怪しい。さあさあ最後の一押しですなあ! 『リセット・S』を発動だあ!」



「ブブブウ、ブブウ、ブウブウ! やっぱりピンポン」



 心が高揚してしまうほどの、

 圧倒的な暗黒のオーラを漂わせていた目の前の巨体は、

 見る見るカワイイ子豚ちゃんにクラスチェーーーーンジ!

 両手に抱える木槌まで極小サイズにチェーンジ!

 さすがは我らが〈新悪代官サマ〉、丁寧な仕事をしてくれますな。

 いつも頭が下がります。



「やったあ! 掟破りの〈魔物〉から、ようこそあなたも〈マのモノ〉へ! 気のイイ連中に囲まれて、これで楽しくお仕事できますよ。生まれ変わった気分はどうですか?」

「ぴんぽん、ぴんぽん」



 喜んでおりますな。ええ、ええ、きっとそうでしょう。

 無害そうなので『次の話』ボタンを皆でクリック! 

 いつもより『巻き』でお送りしています。




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