level.76 “にゅーすきる” の おひろめだっ!!!
「ブウウウウ」
さあさあさあ――絶体絶命のピンチの幕開け。
逃げ場はどこにもありません。誰の助けもこない危機的状況。
「ブウウウウ」
「ひゃあ」
ひっきりなしに木槌がブウン。そして壁や床がバリンバリン。
なんつうグレートハンマー……。
かすっただけで、私の場合は倒れます。守備力はペーパーですので。
「ブウウウウ」
「さすがにマズイ。武器……どこかに武器はないものか。ブヒブキブヒッ」
そこでピキーン!
私の最大の武器は、この知能でありました。この窮地の中、閃け閃けェ。
「……ピーン。分かりました。あなたの行動パターンはすべて見切った! このタイマン勝負、私の読み勝ちッ」
「ブウウウウ」
違うようです。確認しないで飛び出すところでした。
あぶっ、危なァ。だがまだまだ!
閃け、閃けェ自分――プリーズ・ナイスアイディア!
「……ピキーン。そこか弱点! ブタの鼻っぽい、顔の真ん中へ捨て身の特攻を! これでゼッタイ勝つるッ」
「ブウウウウ」
また違うようです。
出会いがしらの衝突を、ギリギリのところで回避しました。ネクストゥ!
「……ピキーン。あなたは本当は戦いたくない? ゆっくり家で寝ていたい、でしょ?」
「ブウ」
やっぱり違いますか。
仕事ですからね。スキとかキライとか言ってられません。
しかし、律儀に答えてくれるところを見ると、
目の前の彼は悪いモノではないのかも……?
「ブウウウウ」
さすが〈魔物〉。我ら〈マのモノ〉と一緒にするな、と
強力に主張している気がします。
「ピンポン」
なんかムカついてきました。正解して、ちょっと嬉しい自分が居ます。
お遊びはここまで。
「この逃げ場のないシチュエーションに、卒業を控えて大汗をかいた、ほろ苦い青春の日々を思い出します。――と、なぜか胸の動悸が止まらない! はわあ! ……お待たせました。気を取り直して、うおっほん。さあ、かかってきなさい! でもその前にぃ……まだですぞ。コラア、下がれ下がれェ! ニュースキルのお披露目であるぞッ! だから木槌を振るのをやめなさい」
絶対にして唯一の存在である、我らが〈新悪代官サマ〉より以前、
授けられたチート的な『超』ヒキョースキル――
設定を変えてしまう『コントロール・S(設定のイニシャルS)』は、
ハッキリ申し上げて使えません。
ソレを安易にしちゃうと世界が簡単に壊れてしまいます。
しかし、しかァし!
そんな心のボヤキが通じたのか、このたび〈新悪代官サマ〉はこの私に、
“ニュースキル”をお与えくださりました(拍手・特大ッ)!!!!
「効果のほどは、まだ未知数。ですが、大活躍の予感がビンビンいたします。時間が押しておりますのでチャッチャと終わらせますぞ。くらあ、コレが私のニュースキル――『リセット・S(設定のイニシャルS)』の発動だ!」
「ブウウウ」
「いえコレが正解ッ! もう一度くらえ、私のニュースキル――『リセット・S』を発動ォォォォ!」
「ブウ、ブウブウ……」
「文句を垂れるところが怪しい。さあさあ最後の一押しですなあ! 『リセット・S』を発動だあ!」
「ブブブウ、ブブウ、ブウブウ! やっぱりピンポン」
心が高揚してしまうほどの、
圧倒的な暗黒のオーラを漂わせていた目の前の巨体は、
見る見るカワイイ子豚ちゃんにクラスチェーーーーンジ!
両手に抱える木槌まで極小サイズにチェーンジ!
さすがは我らが〈新悪代官サマ〉、丁寧な仕事をしてくれますな。
いつも頭が下がります。
「やったあ! 掟破りの〈魔物〉から、ようこそあなたも〈マのモノ〉へ! 気のイイ連中に囲まれて、これで楽しくお仕事できますよ。生まれ変わった気分はどうですか?」
「ぴんぽん、ぴんぽん」
喜んでおりますな。ええ、ええ、きっとそうでしょう。
無害そうなので『次の話』ボタンを皆でクリック!
いつもより『巻き』でお送りしています。




