level.72 “きゅーこーしゃ” が あらはれた!!
【迷いのまの森】・最深層――
【迷いのまの森】支店前。
「ようやく帰ってきたか。皆のモノ、無事であるか?」
「おおー」
「……さすがは『狐一族』である。カラ元気でも心の底から誇らしく思うぞ」
幸いなことに脱落者はおりませぬ。
お稚児部隊は丁重に、お福部隊のたくさんの『らぶぱわー』に守られて、
まだまだ元気いっぱい。
しかし当のお福部隊は、一転して憔悴しきっておりますな。
執拗な《枯草猿》の遠距離攻撃(乾燥しきった、
恐ろしく固い物体を投げる)を完全『しゃっとあうと』した彼女たち。
精も根も尽き果てたように見えます。
ですが、それよりも一族の若衆たちの損耗が、
目も当てられないほど激しいですな。
「おお、《窮鼠》にやられた尻がまだ痛い。俺がなにをしたと言うのだ。滅多に姿を見せない《窮鼠》が六匹同時に出てくるなんて、ありえん。〈にんげん〉だったら泣いて喜ぶ『しちゅえーしょん』だが、俺にとっては泣くに泣けない最悪の『しちゅえーしょん』だぞ」
あれだけ『ちーと』的に強い親友も、やはり無事ではなかった様子。
大きくて堅そうなお尻が《窮鼠》に何度もぎりぎり齧られて、
真っ赤に肥大化しております。おお痛そう。
「アタイもだからね! ゼッタイ忘れないでよッ!」
こちらにも被害者がおりました。
《りとる・うぃっち》が存在感を出すために、
とうとう『かたかな』を自然に使い始めます。とりあえず今は無視で。
「ゴラア、ポチッ! アタイを完全ムシすんな!」
緑が鬱蒼と生い茂る、深遠なる夜の闇が支配する森の中に、
急きょ出現した古びた“旧校舎”――
「きーん、こーん、かーん、こーん」
どこからか流れてくる、いつかのもの悲しい効果音(着ぼいす)が
【迷いまの森】に響き渡ります。月明かりに妖しく照らされて、
がらんとした放課後の旧校舎は、
加速度的にその不気味さを増していきます。
出そうでございます。
「アタイ、こういうのダメ……そこに今なんか居たァ! ポチサマーーー!」
よしよし可愛いやつめ。
なんて、にやけている場合ではありませんぞ。
またまたまたまた、お約束なあの展開――なんとなんとぉ、
目の前にはやっぱり、やっぱりやっぱり(またかよこんちきしょうめ!)
不気味な旧校舎を背景に、たくさんの気配がお出ましだっ!




