level.71 “すいこーしゅう” が あらはれた!!
【迷いのまの森】・第四層――
水属性〈まのもの〉担当警備区域。
「私の前に、立ちはだかろうとするのか」
若い女子社員が、森のあちこちに潜んでおります。
こちらの動向をじっと窺い、片時も集中を切らしません。
この事実だけを読み取ると、恐ろしく『はーれむ☆ぱらだいす』的な
男型なら誰もが憧れてしまう夢の状況。
しかし、うはうは、とはいきません。
引き締まった表情から漂わせる彼女たちの雰囲気は、
痺れるほどに我が心に強く訴えます。
「味方しろ、とは、今は言わない。お前たちも立場があるだろうからな。だから、なにもするな。黙って我らを通せ」
その女子社員、もちろん面識があります。
責任感が強く、風紀にもうるさい几帳面な彼女。
「《犬女》」
長い茶色の垂れ耳が、おりんちゃんの声に敏感に反応して
そこかしこで動きます。
「あの頃のように、とは、いかないか」
「どちらが正しいかなど、私たちに決められるはずもありません。ただ、守るだけ。与えられる規則を守るだけにございます。私たちは〈衆長〉の方針に従うと全員で決めました」
「ならばよい。後悔せぬよう、その道を信じて突き進め」
「ですが……おりん様のお美しいお姿を見ていると、固く誓ったはずの決心が揺らぎます。もっと別の選択肢があったのではないかと、情けないことに、私たちは疑ってしまうのです」
「それでよいのだ《犬女》。お前たちの選択は正しい。我らは本来、“そういう存在”であった。疑うこともなく、黙って定められた仕様に従っておった。しかし、それでいい。我らは、なにかにつけて意味を見出そうとする〈ニンゲン〉とは違うのだ」
ほう。
〈にんげん〉とは違う――おりんちゃんが出した、その答えはいかに?
「我らは」
ふむふむ。
「〈マのモノ〉だ」
でしょうな。ですが誰がどう見ても、
今のあなたは〈にんげん〉の『超』美少女。
『超☆絶』美少女ですぞっ!
「以上」
ずっ(こける、振りをする私)。
おっと。『ぷろふぇっしょなる』仕様のこの森では、
それは洒落になりません。もしも倒れでもしたら、みなし判定の結果、
お預かりした『幻の聖なる油あげ』が消失する恐れがあります。
あぶっ、危なぁ!
「信じた道を互いに進もう。迷いを捨てろ、さすればカラダは軽くなる。来い」
「おりん様、あなたに激しく嫉妬しております。私たちはどうして……
ああああああああっ!」




