level.70 “ぼっこーしゅう” が あらはれた!!
【迷いのまの森】・第三層――
木属性〈まのもの〉担当警備区域。
「うっききききき」
あ、あなた……。
「ききききき」
「《花草猿》……あなたは《花草猿》じゃないですかっ! どうしてそんな恐ろしい顔をしてるんですか? 【あんぞるごんのあ大灯台】支店で見かけたあなたは、もっともっと元気で、とっても能天気な〈まのもの〉だったじゃないですか! あんなに頭の上の草花を楽しげに揺らして――ああ、すっかり乾燥しちゃって。そんな《花草猿》は《花草猿》じゃないっ」
「ぎゃぎゃぎゃ、ギギギィ」
ええーっ! こわっ。
おどろおどろしい姿だけでなく、性格もかけ離れていた《花草猿》。
あとで『うぃき』にて確認したところ
やっぱり彼は《枯草猿》という、
まったく別ものだそうな。
「ギギッ、ギギッギギッ(お前を乾燥ポプリにしてやろうか!)」
「ひ、ひえええええ」
「――こっちだ相棒、さあ俺のところへ来いっ」
「びええええん! は、はやく助けてくれい親友ぅぅぅ」
「ぎゃああああ、ぎゃんぎゃん~! いたッちッ」
おっと親友の“天敵”が、がっぶり食らいついておりますな。
しかし《窮鼠》、そんなにお尻が好きなのか?
するとやはり、うちのも……?
「痛ったあああ! マジでェ、痛ったあああ!」
またも『えすけーぷ中』だった、地味なうちのねこ娘。
こちらは正真正銘のねこ。
このたび開眼した、発動すれば誰にも気づかれない
ある意味最強の特殊技能も、
この《窮鼠》だけは見破る仕様となっております。
って、そんなん今どうでもええ。
とりあえず無視で。
「ゴラア、ポチィ! アタイを完全ムシすんな!」
「な……なんとしても倒れる訳にはいきません。『所持あいてむ』が消失してしまいます。《猫男》ぇ、お預かりした『幻の聖なる油揚げ』を信頼出来る、あなたに『ぱぁぁぁぁす』!」
「ぎゃんぎゃん、ぎゃーん! だがしかし、確かに俺が受け取ったっ! 相棒、“しかばね”になって良しっ!」
な、なんて恐ろしいことを……。
ようやく『きゃら』が確立されてきたところなのに
容姿変更なんて冗談ではありません。
家庭崩壊がさらに加速しますぞ。
「ああーっ、前ですぞ前っ。《猫男》ぇ、前方に《食人木》があ」
「な、なにーーー!」
すってんころりんさあ大変。
ごっちんと恐ろしい速度で《食人木》に《猫男》が衝突いたします。
ぶっとい幹に人型の跡。こりゃ大事故ですな。
それを見て、私の心がちょっぴり晴れやかに……。
って、言ってる場合じゃない。
「立てぇ、立つんだ親友ぅぅ! そこで倒れたら、おりんちゃんの『くらすちぇーんじ・あいてむ』がっ。だから立てぇ、立つんだ親友ぅぅ!」
「分かってるぅ、だがしかし……ばたり」
「おお親友、死んでしまうとはなさけない。これで私たちの苦労が、すべて水の泡に……とほほ」
「どっこいしょーーーーっ!」
ええーーーっ。
なんじゃそりゃ。
倒れてない、俺は絶対に倒れてない。ただ“転んだだけ”。
なんつう力技……さすが親友。
「ぎゃぎゃぎゃ、ギギギィ」
げ。すっかり忘れてました。
やっと私の『たーん』が回ってきたようです。
「ギギッ、ギギッギギッ(お前を乾燥ポプリにしてやろうか!)」
「ひ、ひえええええ!」




