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悪代官サマ と ユカイな仲マたち  作者: 中田 春
【 迷いのマの森 】 編
67/82

level.66 “はーどもーど” に へんこう されますた。

 遠き【迷いのマの森】から足を運んだ多くの同胞たちが、

 途上の街道に詰めておりました。

 やはり、このたびの大イベントの成否は【迷いのマの森】支店で

 勤務するモノたちにとって、ドキドキワクワクの、

 最大の関心事だったのでしょう。



「首尾はいかがでした、おりん様」

夜幻(やげん)……」



 びゅうびゅう、びゅう、びゅゅゅう。



 その巨体を大空に浮かべる〈マのモノ〉が複数名。

 “大空の征服者”との異名を取る《鳥人(ウィメン)》でございますな。

 イチ、ニノ、サンシ――全部で五羽。

 五羽の《鳥人》がフォーメーションを組み、バッサバッサと両翼を

 羽ばたかせますと、それだけで盛大に土埃が巻き上がります。


 群れの中央の、カラダの大きなイケメン《鳥人(ウィメン)》は、

 トンガリ(すべてを傷つけてしまいそうな)感たっぷりの

 いつかの弟でございますな。




 なんと勇壮なモチーフなのでしょう。

 凱旋する我らを出迎える“大空の征服者”たち……。

 これぞグランドフィナーレにふさわしい構図であります!




「誓いの儀式は、無事に終了したのですか?」

「あっけない幕切れだった。心配いらぬ……このように大げさな出迎えもな」

「左様ですか。ならば『契約の証の品』も手に入れたのですね?」

「それを聞いてどうする」




「お答えください、おりん様。これは重要な話なのです。二度でも三度でも申し上げます。〈ニンゲン〉どもがアゲた、あの油っこい『幻の聖なる油アゲ』はお持ちですか?」


「お前の兄が、それを申し付けたのか」




 おりんちゃん、いつもよりトンガリ感が百二十%増し。

 出迎えを受けてから、ずっとピリピリムードが漂います。

 どうして、それほどに警戒しているのでしょう……?




「――あの“陽幻(ひげん)”が、お前たちに言ったのかと聞いておる! どうなのだ、夜幻! お前たちは今、“誰の命令”で動いておるのだ!」



 あのイケメン《鳥人》、じっと黙しております。

 バッサバッサと巨大な両翼を羽ばたかせる力強い羽音が

 周囲に虚しく響きます……。



「そちらに『契約の証の品』はあるのですな?」

「これは『狐一族』にとって意味のあるモノ。お前たちには関係ない、価値のないアイテムだ」


「それだけ確認できれば結構。あなた方こそ【迷いのマの森】に暮らす我らにとって、もはや必要のない、価値のないムダな存在。それどころか状態異常をもたらす、バッドステータスな存在になろうとしている。これは早急な処置が必要だ」

「今の我らは猛っておる。いつも以上に荒ぶっておるぞ。その後の発言次第では、お前らを容赦なく手打ちにする」

「――これよりはムダ。茶番は、互いにもう止めにしましょう。おりん様、ならびに【迷いのマの森】支店を長年支えてきた『狐一族』のお歴々、ここで眠りに就いていただきます」




 な、な、なんだこの『超』展開……。

 『怒涛の連続☆バトルイベント』が突如として発生ッ!




「せめて苦しまぬよう、一瞬で焼き尽くす。圧倒的な火力を誇る我ら〈火行衆(かこうしゅう)〉が最大の敬意を払い、全力でお相手いたす」

「夜幻、貴様……」




 難易度が『勝手にハードモード』に突入しました。

 ビギナーの方々は心がヘシ折れる前に、

 回れ右してそのままお帰りくださるよう、あらかじめご忠告いたします。

 

 それでも『次へ』進むプロフェッショナルな方々は、

 まずは『同意する』ボタンを押していただいて――



「来るぞォ、戦えるモノは残らず武器を持てい! ここを突破して、我らは支店へ帰還する!」

「おおーーーーッ!」



 火属性の〈マのモノ〉で編成される妖怪軍団

   VS

 おりんちゃん率いる〈ニンゲン〉の姿のままの『狐一族』



 設定上、なんとも奇妙な構図となりました。

 “妖怪退治”の様相を帯びます。





 戦闘開始でございます。





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