level.66 “はーどもーど” に へんこう されますた。
遠き【迷いのマの森】から足を運んだ多くの同胞たちが、
途上の街道に詰めておりました。
やはり、このたびの大イベントの成否は【迷いのマの森】支店で
勤務するモノたちにとって、ドキドキワクワクの、
最大の関心事だったのでしょう。
「首尾はいかがでした、おりん様」
「夜幻……」
びゅうびゅう、びゅう、びゅゅゅう。
その巨体を大空に浮かべる〈マのモノ〉が複数名。
“大空の征服者”との異名を取る《鳥人》でございますな。
イチ、ニノ、サンシ――全部で五羽。
五羽の《鳥人》がフォーメーションを組み、バッサバッサと両翼を
羽ばたかせますと、それだけで盛大に土埃が巻き上がります。
群れの中央の、カラダの大きなイケメン《鳥人》は、
トンガリ(すべてを傷つけてしまいそうな)感たっぷりの
いつかの弟でございますな。
なんと勇壮なモチーフなのでしょう。
凱旋する我らを出迎える“大空の征服者”たち……。
これぞグランドフィナーレにふさわしい構図であります!
「誓いの儀式は、無事に終了したのですか?」
「あっけない幕切れだった。心配いらぬ……このように大げさな出迎えもな」
「左様ですか。ならば『契約の証の品』も手に入れたのですね?」
「それを聞いてどうする」
「お答えください、おりん様。これは重要な話なのです。二度でも三度でも申し上げます。〈ニンゲン〉どもがアゲた、あの油っこい『幻の聖なる油アゲ』はお持ちですか?」
「お前の兄が、それを申し付けたのか」
おりんちゃん、いつもよりトンガリ感が百二十%増し。
出迎えを受けてから、ずっとピリピリムードが漂います。
どうして、それほどに警戒しているのでしょう……?
「――あの“陽幻”が、お前たちに言ったのかと聞いておる! どうなのだ、夜幻! お前たちは今、“誰の命令”で動いておるのだ!」
あのイケメン《鳥人》、じっと黙しております。
バッサバッサと巨大な両翼を羽ばたかせる力強い羽音が
周囲に虚しく響きます……。
「そちらに『契約の証の品』はあるのですな?」
「これは『狐一族』にとって意味のあるモノ。お前たちには関係ない、価値のないアイテムだ」
「それだけ確認できれば結構。あなた方こそ【迷いのマの森】に暮らす我らにとって、もはや必要のない、価値のないムダな存在。それどころか状態異常をもたらす、バッドステータスな存在になろうとしている。これは早急な処置が必要だ」
「今の我らは猛っておる。いつも以上に荒ぶっておるぞ。その後の発言次第では、お前らを容赦なく手打ちにする」
「――これよりはムダ。茶番は、互いにもう止めにしましょう。おりん様、ならびに【迷いのマの森】支店を長年支えてきた『狐一族』のお歴々、ここで眠りに就いていただきます」
な、な、なんだこの『超』展開……。
『怒涛の連続☆バトルイベント』が突如として発生ッ!
「せめて苦しまぬよう、一瞬で焼き尽くす。圧倒的な火力を誇る我ら〈火行衆〉が最大の敬意を払い、全力でお相手いたす」
「夜幻、貴様……」
難易度が『勝手にハードモード』に突入しました。
ビギナーの方々は心がヘシ折れる前に、
回れ右してそのままお帰りくださるよう、あらかじめご忠告いたします。
それでも『次へ』進むプロフェッショナルな方々は、
まずは『同意する』ボタンを押していただいて――
「来るぞォ、戦えるモノは残らず武器を持てい! ここを突破して、我らは支店へ帰還する!」
「おおーーーーッ!」
火属性の〈マのモノ〉で編成される妖怪軍団
VS
おりんちゃん率いる〈ニンゲン〉の姿のままの『狐一族』
設定上、なんとも奇妙な構図となりました。
“妖怪退治”の様相を帯びます。
戦闘開始でございます。




