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悪代官サマ と ユカイな仲マたち  作者: 中田 春
【 迷いのマの森 】 編
65/82

level.64 “びくとりー ろーど” が あらわれた!!




「おりん様、ご無事でしたか!」



 脇目も振らずスタコラ逃げる我々を、

 抜き身の巨剣を担ぐキンニク大男が迎えます。



「戦況はどうだ?」

「このままお進みください。退路は確保しております」

「――よし。皆のモノ、ここより先は〈ニンゲン〉どもの居住区。しゃんと背筋を伸ばして、堂々とまいろうではないか。これがイベントのグランドフィナーレだ、ビシッと決めるぞ」



 さすが、おりんちゃん。

 この“戦略的撤退”は我らの敗北を示すのか――

 

 (いな)ッ! であります!

 終わりよければすべて良し。ちょっとくらいのハプニングは

 大目に見てもらえますぞ。



「よくやってくれたな《猫男(どらのすけ)》。さすがの手並み。腕は落ちておらんようだ」

「それが……私ではなく、お稚児部隊とお福部隊がやってくれました」

「なに? お稚児とお福が?」



 おお。

 あちこちから黄色い歓声と野太い掛け声が、

 うるさいくらいに我らを讃えます。いつの間にか沿道は村人・Aや、

 村人・BやらCの、危険度は限りなく低そうな〈ニンゲン〉どもで

 溢れかえっておりました。




「おお。ようやくお出でになられた」

「あれが『狐の花嫁』様……なんという美しさ……やっぱり、俺にもお守りをおくれッ!」


「もちろんでございます。どちらの毛にいたしましょうか? アッチもソッチもございます」


「本当に“あの美少女”の……その……抜け毛なのか? はあはあ。ソッチの毛は、間違いなく本物だろうなあ!」

「そ、それはもちろんでございます。でもDNA鑑定はしないでください。そんなことをしたら、ありがたい幸福が逃げていきますよ。ああッ、もったいない!」

「キャアアア『狐の花嫁』様よォォォ! こっち向いてェ! ああクラリ。あの美は犯罪だわ……」



 なんですか、このカオスは。

 すると、どこからか集まってくる子供たち。ようやく“お稚児部隊”が

 合流。おりんちゃんの周囲で、楽しそうに駆け回る子供たち。

 なんという、ここは天国。



「ひゃは」

「よしよし。あとで、たっぷり遊んでやる。今は、メッだぞメッ」



 『ダ』抜きですな。ダメッ、でございます。

 なぜならここは、まだアウェーの地。

 ホームに帰るまでが『狐の花嫁』イベントでござい。





  「待て待てェ! そこの妖しい集団、止まれェ!」




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