level.62 よめ を まもるのは…わたし!!
「おおーッ。居た居た。ガハハハ! あれが『狐の花嫁』かあ」
「ケケケーッ。だから“本物”だって言ったろ、ビックな兄貴! この俺様に行かせてくれ! ソッコーで片づけてくるぜ! ケケッ」
「なあんて美人ちゃんなんだあ。本当に〈魔物〉なのかあ? ガハハハ! マズイ顔の人間はゴロゴロ居るってのに。お前が熱を上げるのも、うなずけるなあ、チューの弟よお。ガハハ!」
「……手を付けることは許さん。俺が先だ。そう言ったはず、ショーの弟」
「ケケケーッ。忘れたワケじゃねえ! だがチューの兄貴は、あの女狐に痛い目に遭わされてるだろ! ケッケッケー。だから大人しくそこでケッケッケー」
や、やっぱりな。
次から次へと重なる新たなハプニング……。
この一方的な展開は「最後まで続く」と、ここで私が断言します!
その『超』展開によって、犠牲になるモノの悲哀を、
このストーリーテラーは恐ろしいことに
まったく気にする素振りすら見せないッ!
この混沌とした状況を前にして、その〈ニンゲン〉たちもまた、
気にする素振りがありません。
きっとヤツらも、なにかを超越しちゃったモノ、なのでございますな。
中学二年生っぽい、かなり痛いヤロウです。
私にメラメラと闘争心が。
「おりんちゃん、もっとラブパワーをください!」
「な、なにを言ってる……気でも狂ったのか? それとも私が、ポチ殿のクビを締め過ぎたのか」
「いいえ、マジですぞ。マジマジ! あなたの精いっぱいのラブパワーを、どうか私にィ!」
「ちょ、ちょっとダメ……ダメですポチ殿……こんなところで……だから本当にダメだって!」
「アダァ」
おりんちゃん、しつこい私に思い切りグー。
そして例に漏れず、いつものように視界が徐々にブラックアウト……
しなーーい! うひょひょひょ。
これが愛、容赦のない愛のムチ!
そういうことにしましょう。
おかげで、たくさんのラブパワーが私に注入されましたァ。
「ケケッケーッケ。お前が『狐一族』の頭領だな! この麗しい女狐が! ケーッケッケ。俺様が喜んで相手してやるぜ! そして、兄貴たちより先にお楽しみだ……ケケッ」
「ポチ殿、漫才をしている場合ではない。あのショーな男からフツウじゃない波動を感じる。――聞けェ皆のモノ、私がヤツらを引きつける!」
と、信じられないスピードで距離を詰め、我々の前に立ちはだかるのは、
あの小さな〈ニンゲン〉のショーひとり。
奥で腕組みをする上背のある大男は、こっちを見てニヤニヤ。
そのとなりの隻眼の男は、厳しい表情をこちらに――
いえ、おりんちゃんに向けております。
「おりん様、お下がりください。これより先は命に代えても通しません」
「いらぬ。コイツらはフツウの〈ニンゲン〉ではない。下がれ」
「我らを信用なさらないのですか! 刺し違えてもお守りいたす!」
「いらぬ!」
「おりん様!」
「ケケッ。そうだそうだ、邪魔モノはどっか行け! 俺様が欲しいのは『狐の花嫁』だけ、経験値など不要ッ! ケケケーッ」
「弱いモノほど、本当によく吠えますなあ。はっはっは」




