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悪代官サマ と ユカイな仲マたち  作者: 中田 春
【 迷いのマの森 】 編
61/82

level.60 “わたし の よめ” → “みんな の よめ”



 〈ニンゲン〉どもが入り乱れ、

 あちこちで互いに切り結んでおります。

 もちろん対峙する〈ニンゲン〉の片方は『狐一族』の若衆が変化した姿です。



「これは……どういうことだ……《猫男(どらのすけ)》ッ!」



 相手が振り下ろす剣を力任せに弾き返し、

 毛むくじゃらのキンニク大男が、はっと気付いたように顔を向けます。



「……おりん様? 誓いの儀式は済んだのですか!」

「ああ。それより、この状況はなんだ。なぜ〈ニンゲン〉と争っておる」

「どうもこうも、ありません。いきなり、あらぬインネンを付けられて――」



 取って返して切りつけてきた〈ニンゲン〉を規格外の巨剣で受け止め、

 またも《猫男》が力任せに相手を向こうへ弾き上げます。

 なんつうグレートソード……私には無理ぃ。



「ひとつも話を聞きやしない。傍若無人の〈ニンゲン〉どもめ。我らが露払いをいたします。おりん様はその間に撤退してください」

「余計な心配をするな、自分の身は自分で守る。――ポチ殿、この『契約の証の品』をあなたに預ける」



 そう言って、スッと差し出されたのは、あのギトギトに輝く『物体X』。

 コレ……なんでしょう? 

 〈ニンゲン〉のイヤガラセでしょうか?



 そして握りしめていた、おりんちゃんの綺麗な色白の手が

 動物性の油でギトギトに。ゆ、許せん〈ニンゲン〉ども……。

 とりあえずエチケットペーパーを、おりんちゃんに渡しておきますね。

 『皮脂汚れ』の状態異常はコレ一枚でオッケー!




「退路は私が確保する。その時が来たら、あなたは決して振り返らず、入り口まで走れ」



 ヤバイ、おりんちゃん男前過ぎ……。

 これは誰だって惚れるッ! 

 私のステータス備考欄は『❤』が少なくとも三、四個並んでいるはず! 

 シチュエーションが真逆なのが、もどかしい。




「――皆のモノ、古き契約は更新された。もはやこの地に用はない。戦略的撤退を開始する!」



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