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悪代官サマ と ユカイな仲マたち  作者: 中田 春
【 迷いのマの森 】 編
57/82

level.56 よめ が さらに さらに “ばか” します。




       しゃん。しゃんしゃん。




 ようやく主役を乗せる車がメイン会場にイン――よッ、待ってましたァ。

 もちろん、まだまだ引っ張りますぞ。

 列の最後方がようやく合流。

 正装した男衆に担がれる“豪奢な大篭”は、やはり中の様子を

 覗き見ることは叶いません。

 そのような不届きモノが現れた時は、姫君を守護する“一族の若衆”が

 腰に提げる大太刀を持ち、その命を懸けて撃退されることでしょう。



「おう相棒」


 その声は、毛むくじゃらのキンニク大男・なう、の親友ではありませんか。


「無事に進行しているようだな」

「今のところはバレてないようです。《猫男(どらのすけ)》、そちらはどうですか?」

「おうよ。『花婿』殿は式場でお待ちだ。しかし夢見心地のようで、こちらの言葉が一切届いていないようだ。昨日は“どんなこと”が『花婿』殿の身に起きたのだ?」



 “ナイス人型長身バディ”の《???》を小脇に抱えた《猫男》は

 山賊フェードアウト中で、“まさかの信じられないあの行為”を

 目撃しなかったのですな。



「な……相棒!」

「あはん」

「すっかり顔がスケベエになって。しっかりしろ。お前まで変になってどうする」



 はっと我に返ります。

 昨日のできごとを、ちょっと想像しただけで強制的に、

 桃源郷にイクところでした。大勢のモノの前で、それはイケません。

 常識あるオトナとして、それはダメ。







 朱色に塗られた鳥居の前へ進み出ます。


 “お稚児たち”はどこへやら?

 “お福”の姿もございません。

 既に秩序はゴッチャゴチャ。

 それぞれが勝手気ままな人生を謳歌している最中、

 真正直に先頭を歩きます私と《リトル・ウィッチ》と《猫男(どらのすけ)》の

 すぐ後ろには最後方に居たはずの“豪奢な大篭”が控えます。





「――頼もォう、頼ォ~もォ~ぞォ~! 幾千里もの遥かなる遠き土地より『花嫁』のォ~、我らが『狐の花嫁』様のォ~、ああッ、ごォ到ォ着ゥ~であるぞォ~! そちらの迎えのモノを、ああッサッサと! ああサッサとォ~! ああッ、寄ォ越ォしィたァまァへ~!」




 ありったけの声を振り絞る《猫男(どらのすけ)

 満を持して、このエピソードのクライマックスを力いっぱい呼び込みますな。



 それからしばらく待たされて、ようやく朱色の鳥居の向こうから

 白き衣を纏った〈ニンゲン〉が威厳たっぷりに出てまいります。



「そォれェはァ、そォれェはァ、ああッ遠方よりィ~、ご苦労! ああッご苦労! ああッ、ごォ苦ゥ労ォ~でェあったァ~! さあさあ入られたしィ~!」

「ほら行くぞ」

「え! あの古風なヤツは、やらなくていいのですか?」

「いちいちメンドクサイだろ。ああ疲れた」



 するとキンニク大男、後ろで控える猛々しい“若衆”に向けて、

 無言で合図を送ります。

 まさに山賊。“カチ込み”はこれから――といった

 異様な状況を呈しております。

 この場を目撃した誰かに通報されませんよう必死に祈るばかり。



 “お福”、そして“お稚児たち”どこへ行ったッ!







       しゃんしゃん。




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