level.56 よめ が さらに さらに “ばか” します。
しゃん。しゃんしゃん。
ようやく主役を乗せる車がメイン会場にイン――よッ、待ってましたァ。
もちろん、まだまだ引っ張りますぞ。
列の最後方がようやく合流。
正装した男衆に担がれる“豪奢な大篭”は、やはり中の様子を
覗き見ることは叶いません。
そのような不届きモノが現れた時は、姫君を守護する“一族の若衆”が
腰に提げる大太刀を持ち、その命を懸けて撃退されることでしょう。
「おう相棒」
その声は、毛むくじゃらのキンニク大男・なう、の親友ではありませんか。
「無事に進行しているようだな」
「今のところはバレてないようです。《猫男》、そちらはどうですか?」
「おうよ。『花婿』殿は式場でお待ちだ。しかし夢見心地のようで、こちらの言葉が一切届いていないようだ。昨日は“どんなこと”が『花婿』殿の身に起きたのだ?」
“ナイス人型長身バディ”の《???》を小脇に抱えた《猫男》は
山賊フェードアウト中で、“まさかの信じられないあの行為”を
目撃しなかったのですな。
「な……相棒!」
「あはん」
「すっかり顔がスケベエになって。しっかりしろ。お前まで変になってどうする」
はっと我に返ります。
昨日のできごとを、ちょっと想像しただけで強制的に、
桃源郷にイクところでした。大勢のモノの前で、それはイケません。
常識あるオトナとして、それはダメ。
朱色に塗られた鳥居の前へ進み出ます。
“お稚児たち”はどこへやら?
“お福”の姿もございません。
既に秩序はゴッチャゴチャ。
それぞれが勝手気ままな人生を謳歌している最中、
真正直に先頭を歩きます私と《リトル・ウィッチ》と《猫男》の
すぐ後ろには最後方に居たはずの“豪奢な大篭”が控えます。
「――頼もォう、頼ォ~もォ~ぞォ~! 幾千里もの遥かなる遠き土地より『花嫁』のォ~、我らが『狐の花嫁』様のォ~、ああッ、ごォ到ォ着ゥ~であるぞォ~! そちらの迎えのモノを、ああッサッサと! ああサッサとォ~! ああッ、寄ォ越ォしィたァまァへ~!」
ありったけの声を振り絞る《猫男》
満を持して、このエピソードのクライマックスを力いっぱい呼び込みますな。
それからしばらく待たされて、ようやく朱色の鳥居の向こうから
白き衣を纏った〈ニンゲン〉が威厳たっぷりに出てまいります。
「そォれェはァ、そォれェはァ、ああッ遠方よりィ~、ご苦労! ああッご苦労! ああッ、ごォ苦ゥ労ォ~でェあったァ~! さあさあ入られたしィ~!」
「ほら行くぞ」
「え! あの古風なヤツは、やらなくていいのですか?」
「いちいちメンドクサイだろ。ああ疲れた」
するとキンニク大男、後ろで控える猛々しい“若衆”に向けて、
無言で合図を送ります。
まさに山賊。“カチ込み”はこれから――といった
異様な状況を呈しております。
この場を目撃した誰かに通報されませんよう必死に祈るばかり。
“お福”、そして“お稚児たち”どこへ行ったッ!
しゃんしゃん。




