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悪代官サマ と ユカイな仲マたち  作者: 中田 春
【 迷いのマの森 】 編
51/82

level.50 すにーきんぐ みっしょん.セック!!!!…ろく。


「ささッ、これを《リトル・ウィッチ》殿。そちらの未来の『花婿』さんに」

「アイアイサー! ハイ、挙式の日取りでーす! 大安(たいあん)ですよ、ああ羨ましいッ! こんな素敵過ぎるオネエサマは世界のどこを見渡したってゼッタイ存在しません。この幸せモノが! できることなら私が代わってあげたいよッ」


「挙式の日取りが……そんな、“明日”になっているじゃないか! 待ってくれ! 会っていきなり、そんな急に……だって、そちらのご両親に挨拶もまだ」

「ああッ」


 

 《リトル・ウィッチ》、泣きます。



「オネエサマの“おかん様”は、既にこの世には……」

「そう、なのか?」



 誰が見てもウソ泣き。ペロリと裏で舌を出す、ねこ娘。

 (かぶ)っております。



「その前にひと目、ひと目でイイから見せたかったなこの美しい『花嫁』姿ァ。ほら、オネエサマもご一緒に。“被ります”よ、ねこ」

「ね、ねこ? 私は狐だが」



 ズッ(こける、ところだった私とウチのねこ娘)。

 あぶッ、危なァ!



「費用の心配ナシ。即日挙式は手配済み。なにより『花嫁』が最ッ高! これ以上、あなたはなにを望むのですか? 明日になれば、あなたは世界イチの幸せ〈ニンゲン〉ですぞ! さあさあ決断の時、待ったはナシ。今しないで、あなたはいつ結婚する?」

「そりゃ明日でしょ!」

「でもオイラには、心に固く誓った女性が……アッ」


 ん? なんだか雲行きが。



   「君は……まさか、あの時の……」



 な! 

 一寸先の闇を見ていたはずの若者の狭い視野は、おりんちゃんという目の前に突然現れた眩い輝きを放つ宝石に魅入られるも我ら〈マのモノ〉全体を照らす太陽のようなナイス人型長身バディの『超』クールな“絶対的存在”には、やはり敵わないのか――はあはあ。



「荒みきったオイラの心を、緑豊かな大地へと一瞬で変えてしまう美しい君が、どうして今、オイラの目の前に……まさか、夢を見ているのか?」



 ヤバイ。ヤツの食いつきの度合いがハンパない。

 おりんちゃんの時とまるで違います。



「オイラの本当の望みは、君と……」

「《猫男(どらのすけ)》ェ!! その“女王”――っぽい〈ニンゲン〉を、はやく向こうへ連れて行くのです! このままでは作戦が大失敗に終わりますよ!」



 するとキンニク大男、《???(巨大粘液)》をサッと小脇に抱えると、

 まるで山賊のようにフェードアウトして行きますな。

 誘拐事件発生であります。



「ま、待ってくれ! 貴様、どこへ彼女を連れて行くッ! 絶対にこのオイラが――“うッ”!!!!」



 え。


 お、おりんちゃん。

 な……なにを。



「キャアアアア!!!! そんな……そんな、オネエサマ……?」

「ええーっ」

「イヤ……やっぱり……そんなのイヤァァァァ!!!!!!!!!!」

「そうですそうです。いくらなんでも、そォこまでしなくてもォ」



 ショック! 『超』ショック! 

 ウチのお気楽ねこ娘も、ガツンと落ち込んでおります! 

 これ以上、カメラを向けることはできません。


 けしかけておいてなんですが、やっぱり理屈ではなく、キモチの問題なんです。

 この恐ろしく“ラブな状況”……中学生には、まだ早い。



    「他のことを考えるな。今は私だけを見ろ」



 あの若者、目がとろん。焦点がまったく定まっておりません。

 もぞもぞ絡み合ったまま、

 ここにはないどこかにある至高の桃源郷をフラフラ……。




      「これで心は、私のモノだ」





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