level.38 よめ(?) が かなしんでいる…。
奥の暗がりから現れる、四つの影。
「お……お……〈衆長〉たちだっ」
その姿を見た途端、歓喜の抱擁はすぐにも止み、
すぐに社員たちはその場に深くひれ伏します。
「どういうことだ……なぜ各宗派の〈衆長〉が出てくる……?」
「〈金行衆〉抜きで決めさせてもらった。お前に伝えず、すまないと思っておる」
「すまない、だと? 私の了解も得ないまま、なぜ勝手に決めた! 私は……私は“この支店を任されるトップ”だぞ! あの大殿から、この重要拠点を任される私を差し置いてなぜだッ!」
「反対するのは〈金行衆〉だけである。我らは皆、同じ結論に達した」
「お前らは“ヴェロンというバケモノ”を知らないのだ。我々が持っていない――いや、“我々が決して持っているはずのない”、ヤツには『恐ろしいパラメータ』が存在する!」
「おりん、この森は大きな変革を求めておる。我らに存在しないものを持っているのなら、なおのこと。『狐一族』が支配する【迷いのまの森】は時世に合わぬ」
「お前たちがすべてを決めてきた悠久の歴史の中で、我らはなにを得た? なにもない。むなしさだけだ。だから変えなければ。それは今を置いて他にない」
「時代は変わったのだ、おりん」
痛々しさが、伝わってまいります。
計り知れない彼女の心の悲しみが。
「なにが……なにが変革か。“母上”がご存命だった頃は波風ひとつ立たせず、ひたすら従順だったお前らがッ! 私が跡目を継いだとたん、このように手のひらを返すのかッ!」
「我らは、元に戻そうと言っているだけだ。権力が、ひとところに集中しないように。陽幻、ここに居る皆に報告をせい」
「はっ」
そして陽幻殿は優雅に立ち上がると、なんとあろうことか――
おりんちゃんに背を向け、現れた〈衆長〉たちに向き直って再度膝を着き、
深々と頭を垂れました。
「この地を通行・探索する〈ニンゲン〉、そして急増する“盗掘常習犯”を完全に“駆逐”するため、【無人のムの野】支店を統括するヴェロン支店長は、今まで以上の密な連携を約束し、その証明として今回、ヴェロン支店長がもっとも信頼する配下の〈マのモノ〉たちを当支店に派遣してくださいました。それではご紹介いたします――出でよッ!!!!」




