level.36 どらのすけ 「どやっ!!」
「なにか、お前も言いたそうだな、夜幻」
ずっと沈黙していた、おりんちゃん。
名札付きで用意された学級机に着かず、【視聴覚室】の壁にもたれたままの
そちらの派手な男型の『いけめん』社員に鋭い視線を向けます。
「このたびの不祥事、お前たちの“管理エリア”で起きた事実が、この場でさほど問題になっていないようだ。納得のいく説明を、お前の口から聞かせてくれないか?」
支給された『だんじょん・まっぷ(GPS機能付き)』を手元に寄せます。
確認中――しばらくお待ちください――
となりの席の《猫男》も資料を引き寄せて
気だるそうに眺めております。
「お前の兄の“陽幻”はどうした? この場に居ないようだが」
急いで確認したところ、この森は“五つの管理区画”に分かれておりました。
今ここで我々が会議中の【迷いのまの森】支店は
もっとも最深の“第五層”に位置し
入り口に向かって第四・第三・第二・第一層と
警備責任者と警備班が変わります。
「よほど忙しいようだな。このところ、ヤツの姿を一度も見かけない」
しーん。
「あっつぅ」
こら。あっさり破るな破るなっ。
お前はもっと空気を読めっ。
……あっ、おりんちゃん。ええーーっ!
冷たい目で、じいと彼女は私を見ております!!!!
そんなぁ、違う違うっ。ぼやいたのは私じゃなくて
となりの席の《猫男》だっ!
「ぬるくなっちゃった。先生、ちょっと『こおりみず』入れ替えてきまーす」
なんて恐ろしい《猫男》……。
鈍感過ぎて、さすがにちょっと引きました。
――おいっ、どや顔でこっち見んな!
たぶん誘っているんでしょうが、私は一緒に行きませんぞっ!
「我々――〈火行衆〉が信用できない、と?」
途端に静まります。
空気が読めない愚か者は、既に退場しておりますので。
「そう聞こえたのか。どうしてだろうな? やましいところでもあるのか」
「回りくどいですね。この際はっきりと申したらどうです? おりん様が信頼を寄せるのは“同族のみ”。つまり――おりん様が〈衆長〉を務める〈金行衆〉だけだ、とね」
しーん。




