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悪代官サマ と ユカイな仲マたち  作者: 中田 春
【 迷いのマの森 】 編
31/82

level.30 “おやくそく” を かくにん しましょう。


 唯一にして絶対の主――

 我らが〈新悪代官様〉がおわします、本社へと至る道は

 たったの“二択”にございます。



 一方は『れべる』の高い〈まのもの〉が、うじゃうじゃします

 “毒舌なあのお方”の【無人のむの野】支店を突破する道。

 もしくは『もーりん』……“おりん支店長”が防衛指揮を執る

 この天然の要害【迷いのまの森】支店を突っ切るか……の二通り。




 しかし皆様の中には、そういったお約束に縛られない

 “自由な発想”をお持ちの方も、きっとおられることでしょう。




 空を飛んでいく――とか、

 船で接岸して山脈を登る――とか、

 そもそも完全攻略を諦めて支店を素通りしちゃう――とか……。

 そういった“楽しいご想像”を膨らませるのは結構なのでございますが、

 それを実際にやるとなると話は別。





   “倫理上、それは絶対に許されておりません。”





 ここで私が許しても、“世界は決して許しませんぞ”――と、

 壮大な釘をあらかじめ打たせていただきます。

 悪意は私にありません。

 あるとすれば、設定される難易度を激変させる“自由な発想”が

 次から次へと頭をよぎっちゃう、あなたの心の中にきっとございます。



 そんな訳で――〈にんげん〉どもの最終目的は、

 もちろん“我が社の完全解体”――“倒産”に追い込むことにございます。

 各大陸に散らばった支店を『ひかりもの』がいくら壊滅させたところで、

 “うちの代表取締役”を最後に仕留めないことには、

 その目的は遂げられません。



 やっとの思いで陥落させた支店も

 一定の時間が経過すれば「ふっかーーーつ!」となります。

 経験値を稼ぐために、その設定が都合よく使われる異常例もありますが、

 これが永久不変の、やはり“この世界のお約束”。




   しかし今――

    その“お約束”が崩れ始めているようです。




 ほら言わんこっちゃない。

 あらかじめ私が、柄にもなく壮大な釘を皆様の前で、

 がつんと打ち付けたのは、このためにございます。


 

 意地でも『ひらがな』表記を続ける私。

 それをあっさり破る『もーりんぐ』支店長。

 しかしこれは些細な違反なので、お咎めしません。



   彼女は特別、だから許す! 

   それのなにが悪いのかっ!!!!!!!!!! 



 なお、それについての釈明会見は一切予定しておりません。

 お察しください。



「掘れぇ、掘れ掘れぇ。おっかない〈魔物〉が来る前に掘りまくれぇ」



 この下品極まりない発言をする“彼ら”は――



「ひゃっほう! 万能資源『 POW 』だぁ!」

「金だっ、金だっ。これで俺はねんがんの、《水鑑の盾》を買うんだっ」

「じゃあ私はぁ、新しい鎧が欲しいかな。そろそろ秋の新作の時期だしぃ、買い換えるなら今だよねえ。この鎧、もう飽きちゃった」

「俺も俺もっ。この《革の胸当て》だと、もう寒くって」

「あんたは『びじゅある』的に『やばい』よね。季節感なさ過ぎ。上半身裸とか『まじ』あり得ない。ださっ」



 と、ざっくざく(くわ)を振り下ろしながら、のたうつ近隣の農民たち。

 どう見ても正規の『ぷれいやー』ではありませんな。



「いやあ。面白いように出るなあ、万能資源『 POW 』。一体どれだけの量が、この下にあるんだろ?」

「しかし……考えると恐ろしいな。おいっ、煙草の火は消せ。掘り出した万能資源『 POW 』に引火したら大変なことになる」

「余計なことを考えるな。とにかく今は手だ、手を動かせ。死にたくないならな」



「おうよ。いいかお前たち、チャンスは〈魔物〉の横ヤリが入る前だ。その前に、どれだけの万能資源『 POW 』を掘り出せるかで、人生が大きく変わる。だから掘れ、ひたすら掘れ掘れ、とにかく掘るんだァァァァァ!」




「さっすが。“経験者”は頼りになるぅ~」

 こういうことをさせるために『 POW 』を埋めたのではないのです。



 生き生きと働く〈にんげん〉どもの姿を草場の陰でこっそり伺う

 “おりんちゃん”と私。



 私の心臓ばっくばく。となりには憧れの“あの方”が。



 しかし、私たちの世界という訳には、やはりいきませんな。



 この世界は数えきれないほどの営みによって成立するのです。

 勝手は許されません。



「信じられないな。これが驚くほどの大金になるんだぜ」

「命を懸ける価値はあるだろ? 帰ったら、俺もお前もセレブだ」

「あーあ。これで〈魔物〉が存在しなかったら最高なんだけどな。誰か、さっさと討伐してくれよぉ。“噂の討伐隊”、はやく結成されないかな」



 聞くに堪えませんな。



 私のとなりで、おりんちゃん、無言で方々へ合図を送ります。

 配置完了。準備よし。

 ――こほん。

 

 

 では張り切って……おりんちゃん、どうぞっ!!!!




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