level.27 ようかい ぐんだん が あらわれた!!
【迷いのマの森】編 すたーと です!!!!!
よめ(?)が とうじょう するよ♪
どろどろどろどろどろどろどろどろ。
ひゅぅひゅぅ、ひゅぅぅぅぅ~。
なぜ、すべて『ひらがな』入力……なんとも不思議、かな。
それらしい雰囲気を醸すため、『かたかな』は使用いたしません。
これが今回の“お約束”にございます。
「こわくなーい、こわくない。私はなーにも、こわくなーい」
辺りは緑が鬱蒼と茂る『じゃんぐる』地帯……。
“ではなくて”、人跡未踏の密林地帯。
さらには高温多湿、付け加えるなら不快度指数は『まっくす』……。
“ではなくて”、記録的な数字を叩き出しております。
足元は始終ぬかるみ、歩行もままならぬ状況。
やはり疲労は『ぴーく』――とは申しません。
乳酸がこれ以上ないくらいに溜まっております。
不自由ですな。
しかし、これが私の選んだ道。
『かたかな』は意地でも使いません。
ざんざんざざん、ざざざざざざざざ。
「はっ。誰かの気配……?」
ざざっざざっざざっ。
「う、うしろっ?」
びゅうびゅう、びゅゅゅ~う。
「風……でしたか、ですよねぇ! だって私の他に、ここには誰も……」
誰もいないのでございます。
ざっざっざっ。
ざっ。ざっ。ざっざっざっ。
ざっざっざっざっざっざっ、ざざざざざざざざざざざざ!!!!!!
「いやあ近い近い! 音が近いっ! ぎゃああああ」
と、その時――深い木々の間から飛び出す、真っ白い“なにか”!
にゅるるっと《大首》。
「やあああああ。もう、やあああああ」
逃げ出す私。
しかし白くて長い首をさらに伸ばして、
にゅるにゅると気持ちの悪い動作で私を執拗に追う
《大首》。その首の下は一体どこ?
「はあはあはあ。ここまで来れば……むむっ!」
じろりっ。
“ぞくぞくぅ”~。
なんと私の後ろには恐ろしい《山姥》が。
研ぎ澄まされた鋭利な刃物を握りしめ、小柄な老婆は無言で
私の後ろに立っておりました……。
「ひいいいいい。《山姥》だーーー! 出たぁーーーー!」
すると声を聞きつけた《大首》、すたこら逃げる私を見つけます。
にょきりと角をおっ立てる《山姥》に続いて
にゅーるにゅると、伸びる伸び~る《大首》。
「あ、あれは」
明かりです!
やったぁ、場違いなほどに照りつける街灯を発見しましたぞっ!
でも、どうしてこんな場所にぽつりと街灯が……?
いやいやいや、今はそんなのどうでもいいっ!
本社から不眠不休で歩き続けて、はや“五日”。
なんと本日で“六日目”を迎えます。とにかく足が『ぎぶあっぷ』……
じゃなくて悲鳴を上げておりますので、とにかく休憩したい。
「ああよかった。おや? こりゃ失礼。先客がおりましたか。ふう、ここは化け物だらけでございますねえ。同じ〈まのもの〉とは思えない、あのおどろおどろしさ……では私も、ちょっと休ませていただきますよっと」
「へえっ」
その〈まのもの〉、背を向けたまま、
ちょこんと街灯の下で膝を折ってじいと一点を。
「いやあ実は私、本社からここまで歩いてまいりまして」
「へえっ」
こちらを見向きもしません。
「へえっ」
「……あのう、ところであなたは……?」
「へえっ。遠いところから、へえっ。ようこそ旦那、お初にお目にかかります。通りかかる者を、ひたすら黙って待ち続けるあっしは、こういう〈まのもの〉でござんす、へえっ!」
あれえ?
おかしいですね。目の錯覚でしょうか?
すごく大きなその巨体。
はて、いつの間に……?
「へえっ。へっ、へっ、へえっ!!」
さらに際限なく膨張していく巨体。
「あ、あなたっ! どこまで大きくなるのですか……は、破裂しそうじゃないですか! あぶっ、危なぁ! いきなり勝手は困りますぞっ」
膨らみ続ける風船のように
ひたすら“巨大化”――いえ“肥満化”の一途を
その『ま』は辿り続けます。
ぶくぶくぶく。
もうやめてっ!
「ひゃひゃひゃひゃ」
なんと“街灯だった物”が、楽しそうに上で笑います。
提灯が破けた箇所のあちこちから、ちろちろと火が噴かれます。
そうか……
これが《化提灯》……。
「うひゃひゃひゃ」
「旦那ぁ、こんなに膨らんでしまいやんした。うぷっ、もう吸い込めない」
大気を取り込んで可燃性の瓦斯を体内で発生させて
最大化した《木偶棒》。口を開くたび、
びゅうびゅう吹きかけられる、くっさい吐息がたまらない。
「おっと《化提灯》の旦那ぁ、あんまりお近付きになると、いけやせんぜ。あっしも旦那方も向こうへ行ってしまいやんす。どうかそれ以上はへえ!」
「うひゃひゃひゃひゃ」
笑いごとではありません。
提灯の破れた箇所から催促するように、ちろちろと噴かれる火。
その向こうへ行ってしまう前に、どこかへ自分が行きましょう。
かんかんかん。
かん、かん。
やがて古ぼけた建物が見えてまいります。
かんかんかん。かん、かん。
――がちっ!
聞こえてくるのは、“固いなにか”を打ち付ける音。
家……には見えません。それは儀式を行う祭壇のような?
がん、がん、がん、がん。
がちっ!
いやな予感。もはや何度目でしょうか。
「もぉーーーーー」
今……なにか言いました? ええ聞こえました間違いなく。
「もぉーーーーー」
やっぱり出ましたな。
実は、そろそろだと思っておりました。
只今の時刻は草木も眠りこける丑三つ時、
《丑之刻舞利》が踊っています。
両手に持つ火打ち石を、がんがん、がんがん鳴らしながら、
古い祭壇の前で、きゃつは、のりのりで踊っておりますぞっ!
「もぉーーーーー」
ある意味恐い。
無害なのですが長居は無用。すたこら逃げる私です。
その間に、闇がさらに深くなってまいります。
『第四の大陸』は、ただでさえ太陽が当たらないというのに、
本社から南西方向に位置する【迷いのまの森】は気味の悪い樹木が
一面を覆い尽くしておりますので。
「え?」
と!
ととっ、おっとっと。
後方確認、よし。化け物なし。
では『ばっく』いたしますぅ~。
“あれ”は……な……おおっ!
「あれは『黄金大甲虫』っ」
私、こう見えて昆虫が大好きです。
あの幻の甲虫は【迷いのまの森】でしか見ることができない
『まにあ』垂涎の希少昆虫。
そりゃもう、輝く宝石のように煌めいております!
あの揺るぎない王者の風格。
見間違えるはずありません。さっそく採集採集!
「うわぁ……本物ですぅ……さるとん博士に自慢しよ」
と、目の前の大木が突然ぐらぐら。
すると落ちてくるのは大量の『黄金大甲虫』。
「うひゃあ、ひゃあ! これぞ“宝”の山、まったく信じられません! うしゃしゃ採集採集っ! うひょひょひょ~。さるとん博士に売りつけよっ」
と、大木と不意に“目”が合います。
「おらに食わせろ」
飢えた獣のように鋭い眼光を放つ、それは【迷いのまの森】支店の名物社員
《食人木》。
「く、く、食わせろっ。なんでもいいから、おらに食わせろっ」
「なにをっ! ぜったい食わせるものかっ、この『黄金大甲虫』は誰にも絶対に渡しませんぞっ!」
と、予想外に《食人木》は口を広げて私をがぶり。
そうだった……頭に血が昇っておりました。
これは当然の結果にございます。
いくら強がったところで私は草食系。
“おらおら”の肉食系にはかないません。
次第に『ぶらっくあうと』していく自分。
たかが昆虫を守り、深い眠りに就く自分。
欲張ると、ろくな目に遭いませんな。




