表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪代官サマ と ユカイな仲マたち  作者: 中田 春
【 アンゾルゴンのア大灯台 】 編
15/82

level.14  【アンゾルゴンのア大灯台】 29階の にぃ


 すると、そこに居るすべての〈マのモノ〉たち、一斉に私をガンミ!



「こいつァ、どこのモンじゃ」

「本社から寄越されたらしいで。わてらを監視するそうじゃ」

「なんやホンマかい? なにを考えてんねん本社は」

「応援ちゃうんか」

「ちゃうわアホンダラ! これっぽっちの応援があるか! なんの足しにもならへん。そこのワレェ……なんて言うたか……誰か覚えてへんか!」

「“ポチィ”やったで。たったの三文字で“ポチィ”や。自分、アタマ悪過ぎるやろ。さっき支店長が言うたやん」

「そうやポチィ、ポチィや。オイ、ポチィ、お前強いんか?」


 え。


「どうや。どんな呪文が使えるんじゃ? ええやん、教えろや」

「やっぱし本社勤務のエリートは、違うんじゃろうなあ」

「ダアホ。ワレの、そのアホンダラのスカスカな脳ミソちゃうで。当たり前。最初(ハナ)から勝負にならん」

「なんや《ジャジャホース(太刀馬)》! もういっぺん言うてみい!」

「ワレも《ジャジャホース(太刀馬)》じゃアホンダラ! 鏡見てこいや」

「わてら、なんも変わらへん。ドイツもコイツも《ジャジャホース(太刀馬)》」



 とにかく騒がしい。

 口はずっと動きっぱなし。ひとときもダマっておりません。

 気安く冗談を飛ばし合ったかと思えば

 腰に提げる大太刀(おおたち)をカチャカチャ鳴らし、

 なんの前触れもなく彼らは同じ顔で突然怒り出します。

 傷だらけのイカツイ長い顔に似合わない

 その会話のテンポの良さはピカイチ。

 ただのシロウトには乗れまへん。


「で」


 またもや一斉に視線を浴びる私。


「なにができるんじゃ自分」

「な、なんですかねえ……あはは。そう言われてみれば……?」

「なんや隠すんかい。わてらには絶対ナイショか。イイ性格しとるのう、本社のエリートさんは。ナイショナイショじゃ、ココでは生きていかれへんでニイチャン」

「オール・オープン精神や。ひとりクローズすんなや」

「ノリ悪いわ。ヒキコモリか自分。傷つけられたくないお年頃か」

「ナイーブやのう。本社はいつも平和か。騒がしいワレェ、本社じゃ仕事でけへんぞ」

「なんの心配じゃ。もうええわ」



 はっ。やっと終わった。



「ええかニイチャン。この支店に来たんは、ニイチャンにはよう分からん、ただの成り行きかもしれん。――が、ここにポツンと居るからには、わてらのルールに従ってもらわなアカンで。そっちのオジョーチャンと、向こうのケッタイな《スライム》もな。協力せな、楽しくやっていかれへんねん。分かるやろ?」

「おお。脳ミソスカスカのワレにしちゃ、珍しくエエこと言うた。ほいじゃ、久々にいくでぇ。自分らも口ずさんでもう一度キッチリ思い出せや!」



「――この【アンゾルゴンのア大灯台】支店のモットーは?」



 すう、と、

 二十九階(作戦会議室)に集まったすべての《ジャジャホース》と

 《フラワーエイプ》、その時だけ口を止めて大きく息を吸い込んで腹を

 いっぱいに膨らせますな。



  「『開かれたダンジョン』(ウキキキッ)じゃ!」



 決まった。

 一同、ドヤ顔しております。

 しかし、となりで《リトルウィッチ》がオオアクビ。


 と、そのオオアクビが止まります。

 そのまま大口をキープして、

 視線だけをそちらに向ける《リトルウィッチ》。

 突然の出来事に、かなりビックリしている彼女。



「し、し、支店長ォ、来ましたよ! 来ました来ましたァ、ようやくです! 偵察に出ていた《ホーンダック》部隊が――きゃあ!」



 どんがらがっしゃーん。



 向こうの階段から、すってんころりんサア大変。

 すると絵に描いたようにコノミさん、

 「ないないない」と、派手に散らばった書類の上で

 またもや魅力的なフトモモを露出させております。



「なんじゃコノミィ。おまんのコントはもうエエで。用件だけ言えや」

「うわぁ、ないわ。またや……なんで。ねえなんでなん! 勝手にどこいくん、ウチのメガネ? いっつもいっつも、ハラ立つわぁ」

「ボンドで顔にピッタリくっ付けろや。うるさいのう」

「そんなん風呂に入れへんやん! メガネ曇ってしゃーないわ。ホンマ、ジョーダンきついで支店長。ウチ、めっちゃ真剣に悩んでます。笑いごとやない」

「でェ、なんじゃ。《ホーンダック》部隊が帰って来たんか。それが上から見えたんか?」

「そうなんです」

 ズッ(こける私)。



「これで、ようやく動きそうじゃ皆の衆。守るにせい、攻めるにせい、ここで互いにボケ合っても、どうしようもなか。(はよ)ぅ終わらせたいもんじゃのォ。今は、心の底から笑えんわ」


 確かに無益ですなあ。

 聖域なき経営合理化を進める我が社としては、百害あって一利ナシ。

 まったく利益を生まない“ムダボケ”は、切り捨てる他ありません。



 次回、大活躍の予感(?)が。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ