level.13 【アンゾルゴンのア大灯台】 29階
二十九階(作戦会議室)。
「最後……これで最後なの? やった本当に? ダンジョン・クリアー!」
「うっし!」
「なにがクリアーじゃ。ここは最終階やない。最終階はもうひとつ上じゃ」
うぷっ。いきなりそれをナマで聞いたら……あっ、ヤバ!
ぐえええ(※編集してお届けします)。
「ちょ、ちょっとポチサマ、ポチサ――うわあ、きったなァ! やめてッ、ゼッタイ近寄らないで! もう、ヤダヤダヤダー!」
「あらあら。ヒットポイントが残り少ないようです。私、少しだけ席を外します。支店長、よろしいですか?」
「おう。匂いが中にこもるとかなわん。換気も同時にせいや」
うっ。げろげろげろ~(※編集してお届けします)。
「これをお飲みなさい」
な……なにそれ?
私をそっと抱き起す、あ、あなたサマは……?
「口をあーん。そう、そのまま。あーん。大丈夫です、あなたは助かります」
ああ、なんて天使……
じゃなくて、あなたはなんと“悪魔サマ”なのでしょう。
それしか適当な表現が見つからないのがもどかしい。
こんなにお優しい〈マのモノ〉を悪魔と呼ぶのは果たして
本当に正しいのか?
たぶん違う気がいたします。
しかし今は、今だけは、私だけの『守護悪魔サマ』ですな。
こりゃ間違いナシッ。
「舐めなさい」
え? な、舐め――
「ゆっくりと。味わうように舌の上で転がしなさい」
ッて、まさか!
「もしかしてコレ……あの『アメちゃん』ではッ!」
「はい。【アンゾルゴンのア大灯台】支店で開発した回復アイテムです」
そうですか。これは回復アイテムでしたか。
どうりで《リトル・ウィッチ》も《???》も
ピンピンしているはずです。
例えるなら、途中の水分補給地点で受け取るタイミングを
不運にも逃してしまったランナーのよう。
「ううう」
「意識はどうですか? ハッキリしてますか?」
「“ウマー”! これが“ウマー”ですか。もう私、トロけてしまいそう」
「しっかりしてください。コノミです、お分かりになりますか?」
ああやっぱり“コノミ”さん!
そうですよ、“コノミ”さん!
後頭部に当たる柔らかな感触は、まさにソレ!
ほわわわわーん(※編集してお届け)。
まぶたの裏で、そりゃもう、バッチリ浮かんでおりました。
あなたの最高に魅力的なフトモ――
「あとを頼みます。このキタナイモノをすぐに片してください。私は換気のため、最上階の扉を開いてまいります」
そう言ってコノミさん、弱っている私をその場に放り出して、
自分はサッサと向こうの階段ピョンピョン。
またたく間に駆け上がっていきます。
「――ウキーッ! なにしてくれるんじゃニイチャン、こんなん困るでェ。誰かに『アメちゃん』もらわれへんかったんかい!」
ごめんなさい。
休憩所で会ったモノとは(当然ですが)別の、
頭のてっぺんに若芽を生やすヤングな《フラワーエイブ》が
私の体内にあったモノの前で怒りをあらわにします。
「なんか、ガッカリ。ポチサマって、もっとオトナだと思ってた」
「アレは、うん違うな。お前はコドモか?」
「これからは『アメちゃん』のひとつもポケットに忍ばせて仕事に励むんやな。デキル男は、みーんな持っとるでぇ。わても持っとる。足りてへんなあニイチャン。オトナちゃうやん」
努力の成果ナシ。
ゼロどころかマイナスを、我がベクトルは示しております。
すごくナマイキになった紫色の《???》と
頭のてっぺんの若芽をユラユラさせるヤングな《フラワーエイブ》が
今はとにかく憎らしい。
初期設定が極限状態だったことは全員スルーですか。
「おまん、ポチとか言うたな」
ゴツゴツしい長方形の木製テーブル。
そこに広げられた【アンゾルゴンのア大灯台】支店周辺の地図。
そして、それらを取り囲むように覗く、傷だらけの〈マのモノ〉たち。
「おうポチ。ここは正真正銘の“戦場”じゃ。本社勤務のおまんらには、ちぃと荷が重い。ここはもっとも南の最前線――“天国にイチバン近い島”、じゃけェの」
すると地図を覗き込んでいた傷だらけの彼らがッ!
ビ、ビックリ!
そして思わず唾をゴクッ!
ううイタタタタ、視線が痛い。またオエッってなりそう。
「覚悟ォ……せいや」




