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悪代官サマ と ユカイな仲マたち  作者: 中田 春
【 アンゾルゴンのア大灯台 】 編
14/82

level.13  【アンゾルゴンのア大灯台】 29階


 二十九階(作戦会議室)。


「最後……これで最後なの? やった本当に? ダンジョン・クリアー!」

「うっし!」

「なにがクリアーじゃ。ここは最終階やない。最終階はもうひとつ上じゃ」


 うぷっ。いきなりそれをナマで聞いたら……あっ、ヤバ!



 ぐえええ(※編集してお届けします)。



「ちょ、ちょっとポチサマ、ポチサ――うわあ、きったなァ! やめてッ、ゼッタイ近寄らないで! もう、ヤダヤダヤダー!」

「あらあら。ヒットポイントが残り少ないようです。私、少しだけ席を外します。支店長、よろしいですか?」

「おう。匂いが中にこもるとかなわん。換気も同時にせいや」



 うっ。げろげろげろ~(※編集してお届けします)。



「これをお飲みなさい」

 な……なにそれ? 

 私をそっと抱き起す、あ、あなたサマは……?


「口をあーん。そう、そのまま。あーん。大丈夫です、あなたは助かります」


 ああ、なんて天使……

 じゃなくて、あなたはなんと“悪魔サマ”なのでしょう。

 それしか適当な表現が見つからないのがもどかしい。

 こんなにお優しい〈マのモノ〉を悪魔と呼ぶのは果たして

 本当に正しいのか?

 たぶん違う気がいたします。


 

 しかし今は、今だけは、私だけの『守護悪魔サマ』ですな。

 こりゃ間違いナシッ。



「舐めなさい」



 え? な、舐め――

「ゆっくりと。味わうように舌の上で転がしなさい」


 ッて、まさか!


「もしかしてコレ……あの『アメちゃん』ではッ!」

「はい。【アンゾルゴンのア大灯台】支店で開発した回復アイテムです」



 そうですか。これは回復アイテムでしたか。

 どうりで《リトル・ウィッチ》も《???》も

 ピンピンしているはずです。

 例えるなら、途中の水分補給地点で受け取るタイミングを

 不運にも逃してしまったランナーのよう。



「ううう」

「意識はどうですか? ハッキリしてますか?」

「“ウマー”! これが“ウマー”ですか。もう私、トロけてしまいそう」

「しっかりしてください。コノミです、お分かりになりますか?」



 ああやっぱり“コノミ”さん! 

 そうですよ、“コノミ”さん! 

 後頭部に当たる柔らかな感触は、まさにソレ! 



 ほわわわわーん(※編集してお届け)。



 まぶたの裏で、そりゃもう、バッチリ浮かんでおりました。

 あなたの最高に魅力的なフトモ――


「あとを頼みます。このキタナイモノをすぐに片してください。私は換気のため、最上階の扉を開いてまいります」



 そう言ってコノミさん、弱っている私をその場に放り出して、

 自分はサッサと向こうの階段ピョンピョン。

 またたく間に駆け上がっていきます。



「――ウキーッ! なにしてくれるんじゃニイチャン、こんなん困るでェ。誰かに『アメちゃん』もらわれへんかったんかい!」



 ごめんなさい。

 休憩所で会ったモノとは(当然ですが)別の、

 頭のてっぺんに若芽を生やすヤングな《フラワーエイブ》が

 私の体内にあったモノの前で怒りをあらわにします。



「なんか、ガッカリ。ポチサマって、もっとオトナだと思ってた」

「アレは、うん違うな。お前はコドモか?」

「これからは『アメちゃん』のひとつもポケットに忍ばせて仕事に励むんやな。デキル男は、みーんな持っとるでぇ。わても持っとる。足りてへんなあニイチャン。オトナちゃうやん」



 努力の成果ナシ。

 ゼロどころかマイナスを、我がベクトルは示しております。

 すごくナマイキになった紫色の《???》と

 頭のてっぺんの若芽をユラユラさせるヤングな《フラワーエイブ》が

 今はとにかく憎らしい。

 初期設定が極限状態だったことは全員スルーですか。



「おまん、ポチとか言うたな」



 ゴツゴツしい長方形の木製テーブル。

 そこに広げられた【アンゾルゴンのア大灯台】支店周辺の地図。

 そして、それらを取り囲むように覗く、傷だらけの〈マのモノ〉たち。



「おうポチ。ここは正真正銘の“戦場”じゃ。本社勤務のおまんらには、ちぃと荷が重い。ここはもっとも南の最前線――“天国にイチバン近い島”、じゃけェの」



 すると地図を覗き込んでいた傷だらけの彼らがッ! 

 ビ、ビックリ! 

 そして思わず唾をゴクッ! 

 ううイタタタタ、視線が痛い。またオエッってなりそう。



  「覚悟ォ……せいや」




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