level.10 【アンゾルゴンのア大灯台】 1階
「へえー、大きいねえ」
「でっか!」
大扉が音を立てて開きます。
自動です。いえ違います。
「あ……ヤバ」
なんと開いた大扉がそのまま、ぷらんぷらん。
「壊しちゃった」
よくある張りぼての、安い造りと思えば本物でした。
あれだけ質量のある鋼鉄の塊が、ほんの少し押しただけでこの通り。
なんでやねん!
「触るんやない。ウキッ」
慌てて大扉を戻そうとした《リトル・ウィッチ》を止めるのは
【アンゾルゴンのア大灯台】支店で勤務する
たくさんの《フラワーエイブ(花草猿)》たち。
「そのォ……ごめん、壊してごめん。ポチサマがあんなに強く押すから」
「ええッ! イヤイヤイヤ、ひとつも触ってませんけどォ! そもそも私を押しのけて、勝手に先頭を歩いていたのは《リトル・ウィッチ》殿ですッ」
「か、か弱いアタイが壊せるワケないじゃん! アタイじゃないもん!」
「弱いなら私も負けません! 〈マのモノ〉イチ弱いですぞッ」
「自慢にならないと思う」
冷静なツッコミを、さらりとブッ込む紫色の《???》。
「いや……『弱い』と素直に認めることが『強さ』なのか。じゃあアレは『弱い』と言っておきながら、実際は本当に『強い』のか」
しばらく見ないうちに腕を上げましたな。
もう意味が分かりません。
【アンゾルゴンのア大灯台】支店で勤務する《フラワーエイブ》が
七~八匹、我々の不毛なやり取りの間にウキキとやって来て、
ぷらんぷらんする大扉の修理に掛かります。
「自分ら気にせんでええ。この大扉は開いたが最後――元に戻すのは、えらい大変な作業なんや。シロウトやったら、まあ戻らんわ。ウキキ」
「それって、すごいメンドクサイと思うけど……フツウに戻したら?」
「“演出”っちゅうヤツや。支店長のコダワリやな。キキッ」
確かに。
あのキンニク、“演出”には必要以上の余計なコダワリがありそう。
そう言って、キッキっと修理する《フラワーエイブ》も花や草なんぞを
頭のてっぺんに、ナマイキにも生やしております。
こちらもコダワリですなあ。
オシャレ(?)です。
「『開かれたダンジョン』が、この支店のモットーや。来るモノ拒まず、去るモノ追わず。どや、ええカンジやろ? わてら、そういうトコ好きやねん! ウッキキキッ!」
ダンジョンは……開かれない方がイイ気がいたします。
ヒカリモノが来ると大変だし。
そんなシンプルなことを言っているワケではないんでしょうけど。
「ささ、もうエエで。あんたらは自分の仕事せぇや。ここは、わてらの仕事場や。お呼びでないで、どっか行き。ウキキーッ」
やんわりと《フラワーエイブ》は我々を追い払います。
つくづく職業モノですなあ。




