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悪代官サマ と ユカイな仲マたち  作者: 中田 春
【 アンゾルゴンのア大灯台 】 編
11/82

level.10  【アンゾルゴンのア大灯台】 1階



「へえー、大きいねえ」

「でっか!」


 大扉が音を立てて開きます。

 自動です。いえ違います。


「あ……ヤバ」


 なんと開いた大扉がそのまま、ぷらんぷらん。


「壊しちゃった」


 よくある張りぼての、安い造りと思えば本物でした。

 あれだけ質量のある鋼鉄の塊が、ほんの少し押しただけでこの通り。

 なんでやねん!



「触るんやない。ウキッ」



 慌てて大扉を戻そうとした《リトル・ウィッチ》を止めるのは

 【アンゾルゴンのア大灯台】支店で勤務する

 たくさんの《フラワーエイブ(花草猿)》たち。



「そのォ……ごめん、壊してごめん。ポチサマがあんなに強く押すから」

「ええッ! イヤイヤイヤ、ひとつも触ってませんけどォ! そもそも私を押しのけて、勝手に先頭を歩いていたのは《リトル・ウィッチ》殿ですッ」

「か、か弱いアタイが壊せるワケないじゃん! アタイじゃないもん!」

「弱いなら私も負けません! 〈マのモノ〉イチ弱いですぞッ」



「自慢にならないと思う」

 冷静なツッコミを、さらりとブッ込む紫色の《???》。



「いや……『弱い』と素直に認めることが『強さ』なのか。じゃあアレは『弱い』と言っておきながら、実際は本当に『強い』のか」



 しばらく見ないうちに腕を上げましたな。

 もう意味が分かりません。


 

 【アンゾルゴンのア大灯台】支店で勤務する《フラワーエイブ》が

 七~八匹、我々の不毛なやり取りの間にウキキとやって来て、

 ぷらんぷらんする大扉の修理に掛かります。



「自分ら気にせんでええ。この大扉は開いたが最後――元に戻すのは、えらい大変な作業なんや。シロウトやったら、まあ戻らんわ。ウキキ」

「それって、すごいメンドクサイと思うけど……フツウに戻したら?」

「“演出”っちゅうヤツや。支店長のコダワリやな。キキッ」


 確かに。

 あのキンニク、“演出”には必要以上の余計なコダワリがありそう。

 そう言って、キッキっと修理する《フラワーエイブ》も花や草なんぞを

 頭のてっぺんに、ナマイキにも生やしております。

 こちらもコダワリですなあ。

 オシャレ(?)です。


「『開かれたダンジョン』が、この支店のモットーや。来るモノ拒まず、去るモノ追わず。どや、ええカンジやろ? わてら、そういうトコ好きやねん! ウッキキキッ!」


 ダンジョンは……開かれない方がイイ気がいたします。

 ヒカリモノが来ると大変だし。

 そんなシンプルなことを言っているワケではないんでしょうけど。


「ささ、もうエエで。あんたらは自分の仕事せぇや。ここは、わてらの仕事場や。お呼びでないで、どっか行き。ウキキーッ」



 やんわりと《フラワーエイブ》は我々を追い払います。

 つくづく職業モノですなあ。




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