ぷろろーぐ。
〈マのモノ〉は、がんばるモノが大好きです。
「ググググゥ……」
それきり、静寂に包まれた。
ぷすぷすと不快な音が、
果てなどないように思える、この広大な空間を満たしている。
強烈な腐臭――立ち昇る大量の蒸気――
まるでそれらが、死肉を求める《グール(幽鬼)》の群れのように
〈闇のモノ〉の全身を蝕んでいく。
すっかり動きを止めた巨大な肉塊からは、
あの恐怖のどん底にまで世界を落とし入れた、かつての〈闇のモノ〉が放つ、
まがまがしいほどの絶望のオーラは感じられない。
「見事だ……〈光のモノ〉よ……天によって選ばれし勇敢なる子らよ……我らはこの敗北で消滅するのではない……お前たち愚かな人間どもの邪悪な心が……この世からなくならない限り……我は何度でも蘇ってみせよう……」
聖なる方向へと世界を導いた彼らの目の前で、
その弱々しい生の鼓動が、今――
「グフッ」
途絶えた。
まるで地獄から響いてくるような断末魔は
その〈闇のモノ〉を苦心の果てに打ち倒した〈光のモノ〉らの心の奥底に
言い知れない不安の種子を落とし込んだのだった。
この輝かしい栄光の勝利によって、彼らの長い旅は終焉を迎える。
そして――
世界が光で満ちた。