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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

枕営業地下30階アイドルに幼馴染がなった

作者: パミーン

これを書き始めたのが12月で完成したのが1月の上旬です。すぐに投稿しようと思いましたが色々世間が騒がしい中、出すのはどうかと思ってこの時期に投稿予約しました。


設定はざるなので寛容な心でお読みいただければと思います。

「はあ、なんでこうなっちゃったんだろう……」


 僕こと佐久間義政は今、失意の底にいる。それはなぜかと問われれば、幼馴染である新藤桜子がアイドルになってしまったからだ。


 普通、自分と親しい関係の者がアイドルになるなんて喜ばしいことだろう。「僕の幼馴染はアイドルなんだ!」って自慢したくなると思う。


 実際、桜子がアイドルになることは喜ばしいことなんだ。小さい頃から見てきた僕の目は節穴じゃない。アイドルになるような容姿をしているし、大きくなるにつれて成長したおっぱいなんかを凝視してしまうほどにスタイルも抜群だ。


 ただ、桜子がこれから所属するアイドルグループに問題があるんだ。「きらめきピンクナイト」という8人組のアイドルグループなんだけど、知名度ははっきり言ってない。ライブハウスなどでライブ活動を毎日行っている、俗にいう地下アイドルグループって奴だ。


 それも地下過ぎて地下30階くらいにあるんじゃないかってくらいの地下アイドルグループ。でもこのアイドルグループには熱狂的なファンが多くいる。かくいう僕もファンの一人だ。


 ファンであるアイドルグループに幼馴染が所属するなんて本来なら天にも昇るくらいハッピーなことだけど、このアイドルグループに熱狂的なファンがいる理由は「枕営業」があるからなんだ。


 「枕営業」と聞けば偉い人から仕事をもらうために体を差し出すというのをイメージするかと思うけど、このアイドルグループは違う。ファンに対して枕営業を行うんだ。


 普通のアイドルグループだとライブ活動終わりに握手会とかあったりするけど、握手会ではなく密室にて二人きりになれる「イチャイチャタイム」というのが行われる。


 そこでアイドルと恋に落ちて……という流れで、それはそれはもう口には出せないエッ…なことが展開されていく。


 イチャイチャタイムは1回のライブにつき抽選で選ばれる8人のみ。つまりアイドルの子全員が抽選に選ばれた誰か一人とワンナイトラブするということだ。


 抽選に選ばれた勇者はイチャイチャタイムに30万円を支払う。それがきらめきピンクナイトの売上になり、活動資金となるわけ。1日で240万円も売り上げるなんてとんでもない金額だ。


 そういうわけでライブチケットは無料だから誰でも参加できる。そして30万円を握りしめてライブに熱狂し、イチャイチャタイムの抽選に選ばれようと必死になる。数こそ少ないが熱狂的なファンが多いのはそういうことなんだ。


 アイドルの8人の中には未成年もいるし、こんなこと、はっきり言って違法だ。それにアイドル達はいやいや枕営業をやっているんじゃないかと思ったんだけど、ものすごい稼げるからとむしろ積極的だというのには驚いた。だからあえて知名度を上げようとせず、地下も地下、地下30階くらいの奥深くで活動している。


 僕がきらめきピンクナイトを知ったのは親友でアイドルオタクの山口学が紹介してくれたから。奴に「無料だから一緒にライブに行こう」と誘われて行ってみれば、もう何とも言い難い、桜子も霞んでしまうような美少女達に心を奪われてしまった。


 そしてライブが終わり、イチャイチャタイムの抽選会が始まる。そこで彼女達が枕営業をしていることを知った。


 僕は彼女たちとエッ…なことができるかもしれないことに胸が躍ったけど、あいにく高校2年生が払える金額ではない。毎回ライブに行く度に、お金がないというのが悔しくて仕方がなかった。


「くそーっ!僕にお金があれば!お金があればヤレるっていうのにー!」


 思わずそう叫んでしまった。桜子が僕の部屋に遊びに来ていた時に。


「何の話?やるって何を?」


 桜子は僕の部屋で黙々と漫画を読んでいたから存在を忘れていたんだ。桜子は気になることがあればとことん追求してくる性格をしているから誤魔化すことが難しい。彼女の執拗な追及に根負けしてきらめきピンクナイトのことを話してしまった。


「ふーん、義政ってそういうのに興味がないと思ってたけどやっぱり男の子なんだね」


 ジト目で「最低」と言わんばかりに睨んで桜子は帰って行った。それから彼女は僕の部屋に遊びに来ることがなくなった。僕の発言を聞いて嫌われちゃったのかなと落ち込んでいたんだけど、1ヵ月後、いきなり僕の部屋に遊びに来た桜子の第一声が


「義政喜んで!きらめきピンクナイトの9人目のメンバーに選ばれたよ!」


 だった。


「は!?え!?」


「これからダンスと歌のレッスンがあるから帰るね!デビューライブ絶対見に来てよね!」


 パニくった僕が思考が追いつく間もなく桜子は帰って行った。そして思考が追いついた今、冒頭に至るというわけだ。


 あいつは分かっているのか?自分の体が売り物になるということを。抽選された人とエッ…なことをしないといけないということを。


 もしかしたら単純に僕がきらめきピンクナイトのファンだから喜んでもらいたいってことだけだったとしたらと思うと、思わず叫んでしまったことは後悔でしかない。


 桜子があんなことやこんなことされると思うと自然と涙が零れた。なぜ涙が零れたのか、その理由に気づいた。そうか、僕は桜子のことが好きだったんだ。





 やるせない気持ちで日々を過ごし、桜子のデビューライブ当日となった。今日のライブに来ている人数は以前僕が行ったライブよりもはるかに多い。


 その理由はデビューを果たす桜子とのイチャイチャタイムがなんと無料だから。おいおい、そんな大盤振る舞いしてくれるなよ!僕が抽選で選ばれる確率が減るだろうが!


 僕はやるせない気持ちながらも桜子がデビューするまでに、放課後や土日に日払いのバイトを必死にやって30万円を稼いだ。桜子がきらめきピンクナイトのメンバーになってしまったんだったら、桜子に抽選で選ばれて俺が桜子の初めて(桜子が初めてかどうかは分からないけど)をいただくんだ!と決意したんだ。


 なのに無料とはどういうことだ!昨日、運営の公式アカウントが「桜子ちゃんデビュー記念!桜子ちゃんとのイチャイチャタイム無料!」なんてSNSで発表したもんだから必死になってバイトした意味って何だったんだ?ってくらいにショックを受けたよ!


「いやー、あの新藤さんとできるとなったら最高だなー」


 当然ながら山口もライブに来ている。いつもは「一緒に行こう」って誘ってくる癖に今日のライブは誘ってこなかった。選ばれる確率を上げたいからというのが見え見えだ!こいつと友達やめようかな。


 なんて思っていたらライブが始まった。僕は桜子のことしか見ていなかった。彼女の一挙手一投足を目に焼き付けた。いや、脳内に名前を付けて保存するくらいに焼き付けた。


 桜子のダンスはとても美しかった。そして歌もめちゃくちゃ上手になっていた。デビューまでに必死で練習したんだろうなと思うと込み上げてくるものがあった。


 あっという間にライブが終わり、ついにイチャイチャタイムの抽選会が始まった。僕が受付でもらった抽選券の番号は109。桜子以外のメンバーが順番に当選番号を発表していく。僕の番号は呼ばれることはなくほっとした。


 いつもはお金はないけど選ばれてー!なんて思っていたけど、今回は当たらないでくれー!と祈っていた。不思議なもんだね。


 そしてついに最後の9人目の桜子が当選番号を発表する番がやってきた。ライブ会場内をドラムロールが流れる。もうドキドキが止まらない。


「当選番号は109でーす!」


 嘘!?マジで!?当選番号が俺であってくれと思いながらもどこかで諦めていたのかもしれない。本当に選ばれるとは思ってなかった僕はしばらく放心状態だった。


「佐久間マジで羨ましいわ!っておい、おーい!しっかりしろー!」


 山口が俺の額にデコピンしたおかげで正気に戻ることができた。と同時にものすごい恥ずかしくなってきた。これからあの桜子と一夜を共にするのか……。どうしよう!


 抽選会が終わったのでぞろぞろと人が退場していく。山口も帰ってしまい、しばらくして9人の選ばれし勇者達だけが残った。


「それではこれからご案内しますのでついてきてくださーい!」


 男性スタッフが案内するのでついていく。着いた先はラブホだった。


「このラブホはうちで経営してるホテルなので無料でーす。それでは桜子ちゃん以外のメンバーに選ばれた方はお金をお願いしまーす!」


 僕を除く勇者達は30万円という大金を躊躇なく嬉しそうに差し出す。僕は必死こいて稼いだけど、この人達は簡単に出せるくらいのお金持ちなのだろうか?


 そんなことを考えていると男性スタッフが僕に話しかけてきた。


「それでは桜子ちゃんに選ばれたお兄さんは203号室へお願いしまーす!」


 203号室ということは2階か。階段を上がるにつれ、心音が大きくなっていく。


 203号室のドアの前に辿り着いた。このドアの向こうに桜子がいる……。入るのに日和っていると突然ドアが開き、桜子が僕の手を取って引きずり込んできた。


 部屋に入るなり桜子がドアをバン!と閉め僕に抱きついてきた。


「はあー、やっとこの時が来たね、義政!」


 僕は桜子の身長より僕の顔一個分高い。お腹の辺りに柔らかい物を感じる。こ、これはもしやおっぱいなのか!?


「ここまで来るのに本当に頑張ったんだからね!これで夢が叶うんだから私に感謝してよね!」


「ん?どういうことだ?」


「アイドルとエッチしたかったんでしょ?私よりもアイドルを取るなんて許さないんだから!これで既成事実もできるわけだし、ちゃんと責任取ってね!」


 言っちゃったよ……。エッチってはっきり言っちゃたよ!僕はエッ…で止めていたのに女の子がはっきり言っちゃだめでしょ!


 桜子は僕に抱きついた状態でベッドへと歩き出す。僕はされるがままにベッドまで連れていかれ押し倒された。


「ちょ、ちょっと待ってくれ!確かにあの時やりたいって叫んでしまったけど、本気だったわけじゃないんだ!」


「そんなことくらい分かってるよ。義政のことは私が一番知ってるんだから。でも一瞬でもアイドルに義政を取られたことが悔しくて。だったら私がアイドルになって、私だけを見てほしいの!」


 桜子が服を脱いでいく。待ってくれ!僕の心の準備がまだなんだ!


「今夜は寝かさないからね!明日の学校はさぼって一日中いっぱい愛し合おうね!」


 こうして僕は天に何度も召されることになりましたとさ。

後日談


 どうやら桜子は軽めのヤンデレというやつだった。僕のことが好きすぎてアイドルとヤリたいと叫んだことで相当嫉妬してしまったんだってさ。だからきらめきピンクナイトを利用して既成事実を作る計画を立てたらしい。


 僕が必死になってバイトしている姿を見ていたみたいで、それを見て僕が桜子のことを好きだと気づいたんだと確信したんだって。部屋に全く来なかったのも僕に桜子のことが好きだと気づかせるための作戦だったみたい。抽選番号も事前に知ってたみたいで僕は桜子の掌の上で踊らされてたってわけ。


 桜子はどうしているかって?そりゃもちろん既成事実を作ったわけだからすぐにアイドルを辞めたよ。今はベッドで僕の横で寝ているよ。ちゃんちゃん!




お読みいただきありがとうございました。感想をいただけると幸いです。

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― 新着の感想 ―
イチャイチャタイムは膝枕や頬にキス会で良かったかな。ヒロインの桜子は巨乳設定だからノクターン辺りで続き書いて欲しい。
まあバッドエンドでもないし、行動力のある彼女がグイグイいく感じで良いのではないですかね。 このクソ暑い最中、誰かが泣く話は胃に持たれて消化悪いので、読後感が良い話は歓迎。
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