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ひきこもりくん、先生が来ましたよ  作者: 風呂上がりの熊


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授業21 メイドとご飯

「ふぅ」


 やりきったという風に額の汗を拭い、青姉は息を吐く。


「あひぃ」


 俺は青姉に背中を踏まれたまま情けない声を漏らし床に突っ伏していた。


「鈴、これで満足だよな?」

「はぐぅ」


 俺の背中をぐりぐりと足で刺激し青姉は冷たい声で聞いてくる。

 その態度はもはやメイドではなかった。


「ま、まだ全然だよ。言ったでしょ今日一日メイドになってって」


 刺激が強くてちょっと喘いじゃったけどこればっかりは譲れない。


「はぁ!? ここまでやられてなんで満足しないんだよ! 変態過ぎるだろ! ふざけんな!」


 すっかり終われると思っていたのか、不満そうに怒鳴った青姉は俺を罵倒する。


「なんで私が! 一日中も! 鈴のメイドに! ならないといけないんだよっ!」


 加えて言葉の区切りごとに力強く背中を踏みつけた。


「さすがに、ふぐっ! 痛いよ、ぐへ! 青姉、あぐ! やめて、うあっ!」


 いくらMに目覚めたとはいえ、何度も繰り返し背中を踏まれる痛みを全て快楽に変換することなど出来ず、俺は青姉に懇願する。


「痛くしてるんだよ! このバカ鈴!」


 だが青姉は大声で叫んで、また背中から足を離した。

 気配でわかる。これまでよりさらに強く踏む気だと!

 俺は危険を察知し床を転がる。

 同時に、ドン! という激しい音を立てて顔のすぐ隣に足が下ろされた。


「ひぃっ!」


 予想外の位置に足がきて、思わず悲鳴を上げてしまう。

 青姉は背中じゃなく頭を踏むつもりだったらしい。


「こ、殺されるぅ!」


 えげつないことをしようとする青姉が普通に怖くなった俺はすぐにその場を離れようとして……目の前に広がっていた光景を見て動きを止めた。

 黒いストッキングに包まれたふくらはぎとそれによりムチっと感が増した艶のある白い太もも。ストッキングからスカートの中へと延びるガーターベルト。

 そしてスカートの中の官能的な黒いレースの下着。

 瞳に映る全てが俺を魅了し、思考を停止させた。


「パンツ見てんじゃねぇよ!」

「ぶへぇ!」


 青姉は声を荒げ動きを止めた俺の顔を踏みつける。

 俺は床に激しく頭をぶつけてうめき、そのまま意識を失った。

 やっぱりエロには誰も勝てないよ。


 ●●●


「んんっ」


 俺はソファの上で目を覚ます。

 体を起こして部屋を見回すとメイド服姿の青姉が食卓に食事を並べていた。


「痛たたっ」


 動いたことで後頭部に軽い痛みを感じ、俺は短くうめく。


「あっ、鈴」


 うめき声で俺に気づいた青姉はばつが悪そうに目を逸らす。

 反応が面白かったので俺はわざと非難するようにじーっと青姉を見つめる。


「そ、そんな目で見ないでくれ。わ、私が悪かったから」


 青姉は手に持っていたお盆で顔を隠して言葉を紡ぐ。


「ふふっ」


 弱った青姉を見て思わず笑ってしまう。可愛い。


「笑うなよぉ」

「ごめんごめん。でも青姉の反省してる姿なんてあんまり見れないからつい」


 ソファから立ち上がって、食卓の方へ歩く。食卓には焼き魚と卵焼き、白ご飯に味噌汁が並べられていた。


「これお昼ご飯?」


 目覚めたばかりで時間がわからなかったので尋ねると、


「ああ、そうだぞ」


 と青姉は頷いた。

 そんなに長くは気絶していなかったようだ。


「そっか。じゃあ食べよっか」


 食卓の椅子を引き席に着く。


「そうだな」


 青姉も同じように向かいの席へ着いた。


「ねぇ青姉、まだメイドしてくれる?」

「べ、別にいいけど、言葉遣いはこのままでいいのか?」

「うん。そのままで大丈夫。でも出来ればご主人様って呼んで欲しいかな」

「わかった」


 青姉は首肯し手を合わせる。それを見て俺も手を合わせ、


「「いただきます」」


 と、二人で告げた。


「んっ」


 俺はまず焼き魚の身を箸で取り口へと運ぶ。身がふわふわしていておいしい。

 青姉は器を持って味噌汁をすすっていた。


「青姉、もう一つお願いしてもいい?」

「んあ? な、なんだって?」


 味噌汁を飲んでいる最中に俺から声をかけられ焦ったのか、青姉は戸惑った様子で器を机に戻す。

 俺はさっきと同じ言葉をもう一度伝える。


「もう一つお願いしてもいい?」

「い、いいけど、ご主人様だからって変なのは駄目だぞ」


 青姉は承諾しつつも注意を付け加えた。


「大丈夫。そんなに変なことではないと思う」

「それでそのお願いって?」


 青姉が卵焼きを摘まみながら聞いてくる。

 俺は箸を机に置いて真面目な顔で答えた。


「あーんしてくれない?」

「ぶふぅ!」


 俺の言葉を聞き、青姉は噛んでいた卵焼きを勢い良く吹き出す。

 口から飛び出した卵焼きの欠片達は宙を舞い、俺の顔面へと降り立った。


「あ、ありがとうございます」


 Mに目覚めた俺はついついお礼を言ってしまう。


「でも俺が求めていたあーんはこれじゃないかな」


 まぁ、これも悪くはないけど。


「ご、ごめん」


 青姉は謝罪しティッシュをケースごと渡してくる。

 それを受け取った俺はティッシュを何枚か出して顔についた卵焼きを拭った。


「お、お詫びと言ったらなんだけど、は、はいご主人様、あーん」


 俺が顔を拭き終わると、青姉は少し照れくさそうな顔をしながら、箸で卵焼きを掴んで俺の方へ差し出す。


「あむ」


 俺は顔を近付け出された卵焼きを食べる。


「甘くておいしい」

「そ、それは良かった。じゃ、じゃあ後は自分で食べろよ」


 青姉は言うと俺が口をつけた箸で焼き魚の身を取り、口へと運ぶ。

 それを見てさっきのも間接キスだったんだと気づいた俺は無性に恥ずかしくなり、顔が熱くなるのを感じながら黙って目の前の料理を黙々と食べ続ける。

 チラっと青姉の様子を窺ってみると、青姉の頬もほんのり赤く染まっていた。

 その後俺達は無言で互いの顔をチラチラと見合いながら食事を続け、二人とも米粒一つ残すことなく綺麗に完食。

 同時に青姉のメイドタイムも終わり、俺はご主人様から生徒へと戻った。

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