じゃあ、君が相手してよ
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
非常に生々しい恋愛です。R15です。
苦手な方はご注意下さい。
隣に住む幼馴染とは長い付き合いで、全ての秘密を共有する勢いで、何もかもを晒していた。初恋の相手も、愛欲を感じた相手も、床を共にした相手も何もかも。
そうしてそいつと夜を共にした。戸惑う俺を差し置いて、無理矢理唇を奪った。俺を横たえて、好き勝手に体に触れ回り、蜜の溶けたどろどろな声で煽るのだった。
――君が大好きなグラドル、私よりもスタイル良いけれど、此処を良くしてくれないよ。
――君が大好きなセクシー女優、私より美人だったけど、実際に搾り取ってはくれないよ。
部屋の片隅で見つけた、グラビアとAVを今になってほじくり返して、嫉妬する。けれどもお前だって人の事は言えないだろうに。生々しく、変態的な官能小説を無数に持っている。親に隠れてひっそりと楽しんでいる。それを知っている。知っているんだ。
其れからそのままベッドの中で一つになった。何もかも溶け合った。時折こうなるのは、本人曰く、定期的な発情期が原因らしい。
足腰が立たなくなるまでしっかりと搾られた後、隣でそっぽを向く女を一瞥する。華奢な背中から浮き出た骨が妙に色欲的で、けれども脆くて、結局何も出来ずに手を引っ込めてしまう。
代わりに上から見下ろす事にした。繊細な壁を乗り越えて顔を拝むと、憂いを帯びた女の顔が目に入る。手先に持っているのは、携帯端末だった。
「……昨夜寝た相手が真横にいるのに、よくそんなポルノ見れるな」
そこに映されているのは、思わず目を見張る様な生々しい性描写。猥褻な漫画。此奴が兼ねてより色情狂である事は重々に承知しているが、配慮に欠けているのでは無かろうか。
女は体を反転させて、此方を振り返る。虚無な目がそこにあった。
「……もう一回戦。もう一回戦したいけど、目覚めてたら君、寝てたから、これで我慢してるの。自慰してたの。起こしちゃいけないと思って。……男の人、毎日は嫌だって聞いたから」
普段の此奴は割と感情よりも理性を優先する。感情論を肯定しない。けれども色狂いの今は、全くの別人。ただの獣に成り下がって、欲の発散を優先する。
自分が悪いと思ってないような生意気な目が俺を下から睨めつける。『文句言うならお前が相手をしろ』と訴えている。
「……俺はお前が大好きな官能小説の劣化じゃない。代わりでもない」
「知ってるよ。現ナマが一番だもん」
そう言って、また互いにキスをした。二回戦が始まる。二回戦が始まった。
この幼馴染み、何でも言い合う仲です。
男になった日も、女になった日も、素知らぬ顔で言い合える様な、歪な関係です。
だから互いの生々しい話も重々に承知してます。
ポルノを見ても互いに何も言わないのは、『あれは別物。現実じゃない』と互いが互いに思ってるから。
でも嫉妬しない訳ではないんですよ。
其れは台詞からもお分かり。彼の行動からもお分かり。
彼女は夜の話で、彼は今朝方、不機嫌に感じてます。
たまに書くと楽しんですよ。生々しい恋愛小説。
彼氏、彼女居るのに、平気で卑猥な俗物に触れる。
そんなのが妙に現実的で。