18話
絶賛体調不良につき、投稿が遅れました・・・
急遽、喉元を中心に再度治癒魔術を施し、更に魔術で白湯を作ってクリスティーナに飲ませるよう指示を出す。クリスティンが手を貸しながらゆっくりとコップ一杯を飲み終えた。
「わたし・・・どうして・・・」
「ずっと眠っていたんだ。ユリシーズ様が助けてくれたんだよ」
やっと話せるまで回復し、発せられた声は細く静かなものだった。
「ユリシーズ様・・・もしかして、お兄様が尊敬してやまない、あの大賢者様・・・?」
「そう。こちらにいらっしゃる方だよ」
そう言って、ルカの姿が見えるように体の位置をずらしたクリスティンに肩を竦める。寝起きの姿なんて年頃の女性は見られたくないだろうと気を使って後ろに下がっていたんだけどな、と簡単に頭を下げて礼の形を取る。
「ご挨拶が遅れて申し訳ない、皇女殿下。私はルカ・ライデン=ユリシーズ。この子はルル・シエラ=ヘリオトロープ。以後お見知りおきを」
「・・・クリス殿下。無暗に寝間着姿の女性の姿を初対面の相手に晒すものじゃない。皇女殿下が恥ずかしい思いをするし、師匠も気まずいではないか」
「あ・・・申し訳ない。そこまで気が回らなかった。・・・ルエラの気遣いが大人のそれなんだよな」
「そちらが気を遣わなすぎるのだ」
「ルエラが気が付きすぎる気もするけどね。同じ女性だからかな?」
「・・・齢十歳相手に何を言うか、お前は」
「・・・皆さん、随分と仲が宜しいのですね・・・?」
とんとん拍子に交わされる会話に、クリスティーナが微笑む。
関係性を今話す必要もないし、それに関しては後々フェリクスに説明してもらうとしよう。魔術のこと以外は不精な性格のルカは説明を丸々押し付けることにした。
「さて、皇女殿下。寝覚めて早々申し訳ないのですが、あまりクリス殿下がオノールを長時間留守にするとばれる危険性があるため単刀直入、簡潔に質問にお答え頂きたい」
「あ、はい。わたくしでお答えできることなら・・・?」
彼の高名な大賢者ユリシーズ相手だと、口調を改めつつも疑問符を飛ばす妹に、クリスティンは展開が速すぎてついていけないよな、と同情する。
「まず、・・・そうですね。皇女殿下は長いこと眠っていたのですが、その際、何か夢は見ましたか?」
「あ・・・はい。わたくしの記憶にはない場所だったので、何処なのかはお答え出来ませんが・・・」
「構わない。それを解析するのは、私がやるからね」
にっこりと笑うルカに、クリスティーナはこくりと頷いた。
ー--薄暗い部屋。辛うじて月明りと数本の蠟燭の火で視界が見える程度。おそらく白い壁に、古い家具。壁に設置された本棚には読めない異国の本。机の上には十字架を模した置物があることから聖職者の部屋だと察した。
その机に手をついて項垂れる一人の男。何かわめいているようだが、言語が理解出来ない。当然だ。クリスティーナは未来に関わる出来事、それを解決するための策を干渉して視ることしか出来ず、言語に関しては自分が知らなければ理解が出来ないのだ。
男の手が十字架を払い落とす。聖職者にあるまじき行為だが、男は尚暴れ、今度は机を両の拳で何度も叩き、髪をぐしゃぐしゃに掻く。苛立ちを隠しもせず、男は咆哮する。
ー--それが望みなら、永遠をもって叶えてやろう
男とは違う、別の声が、不気味に響いた。




