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二人の娘

作者: satomi

よろしくお願いします!

サクサク読んでください!

ご都合主義なのでおかしな感じするかもですが、そこはそれです。

うちに待望の赤子が生まれた。

なんて神々しい!…生母は儚くも亡くなってしまったが。

名前をアカネとしよう。

生母が望んでいた。生母が東方の国の人だった証になる。

空の色が赤い様子らしい。詳しいことはよくわからない。

東方の国はそういう風流さを好むようだ。


アカネの存在は秘匿しよう。出生届も出さない。一生塔に暮らさせよう。

私だけが彼女を愛でるんだ。



ほぼ同時刻に女の赤子が生まれた。

アカネほどではないが、まぁこの子もそれなりに整った顔立ちをしている。

ゆくゆくは名家に嫁がせて、姻戚関係を結びたいものだ。

「私は頑張ってこの子を産みました」

「おお、よくやった。この子の名は…」

「ビビアンでは?」

「そうだな!ビビアンにしよう(私は名付けが苦手だ)。ビビアン、元気に育つのだぞ!」




こうしてフィールデスト侯爵家に二人の女児が存在することとなった。

1人は塔に軟禁状態。

1人は自由気まま。といっても淑女教育はしっかりと受けさせている。


数年後

ビビアンがお茶会で耳にした。

「フィールデスト侯爵家には神々しい美しさの女性がいるという噂ですのよ?」

私しかいないじゃない。

「それって、私ですのね。神々しいなんて、恥ずかしいですわ」

なんだか周りの空気が「お前じゃねーよ」という感じだ。


ビビアンは帰宅後父に尋ねた。

「お父様、この邸には私以外には成人女性などお母様を除いていませんよね?」

「…」

「お父様!」

ついに発覚してしまった。

私だけが愛でて育てようと思っていたのに…まさかうちの使用人が口を滑らすとは。

「塔でお前と同じ日に生まれた女性がいる。名前はアカネ。出生届も出していないんだ。仲良くして欲しい」

(出生届も出す価値がなくて、今まで塔に軟禁していたような女でしょ?仲良くなんかできるもんですか)



ビビアンはアカネと対面した。

(何なの?噂の子ってこの子の事だったの?肌は日に当たってないからかしら?真っ白。中まで透けそう。目はパッチリした藍色。全てを見透かすみたいで怖いわ。そして、豊かなストレート金髪!)

「私はビビアン。よろしくね!」

(ふんっ。よろしくなんかできないわ。この子が社交界の脅威になる事は間違いないもの。今までは私がチヤホヤされていたのに…)

「よろしく…」

(声小さくない?お父様はこの子をちゃんと教育したのかしら?)


「お父様、アカネはきちんと淑女教育を受けています?」

「いや、受けていないんだ…」

(なによ。身綺麗な娼婦と同じじゃない!)

アカネはその後フィールデスト侯爵家屋敷で淑女教育を受ける事となった。その度に講師を男女構わず微笑みなどで骨抜きにした。



対して、ビビアンは社交界の事あるごとにアカネの評判を落とすような噂を流した。

「淑女教育がされていないから、見目はいいかもだけど令嬢としてはダメよ」

「色白っでいうか、白くてちょっと気持ち悪いわ」

等言っていると、話に尾ひれなどがつくもので、

「見目のみで中身がない」

「幽霊のように色白である」

のような噂がはびこった。


ビビアンは大満足!

父のフィールデスト侯爵閣下は憤慨した。

「うちのアカネは神々しい。淑女教育はされていないじゃなくて、していなかったんだ。私が悪い。今後は、淑女と呼ばれる素晴らしい女性となるだろう!」

と鼻息も荒く言いきった。

それを聞いたのは皇帝陛下、

「ほう、素晴らしい淑女となった折には是非とも会いたいものだ」

フィールデスト侯爵閣下としては、皇帝陛下にはビビアンを引き合わせたかった…。

こうなっては仕方ない。腹をくくるしかない。

「承知しました」



ビビアンは話を聞いてショックのあまり寝付いてしまった。ビビアンの生母は卒倒してしまった。

アカネはよく意味が理解できていないようだった。

淑女教育をあまりしていないから、皇帝陛下がどんな方かも理解していないのか?


アカネは淑女教育を終了させた。

「本当に私が皇帝陛下に?」

「ああ、会ってみたいと言っていた。それで、日程を調整して今日という事になったんだ」

「わりと突然ですね。皇帝陛下にお会いするのに、このようなドレスでいいのでしょうか?」

ドレスが本体(アカネ自身)に負けている。‘ドレスに着られる’とかは分かるけど、アカネが強い。この場合は…?


「「お任せください!」」

何やら現れた侍女軍団がアカネをドレスアップさせていく。手腕がものすごい。

アカネの神々しさが2倍近く上がった。


「さぁ、皇帝陛下にお会いしに行こうか?馬車へ。エスコートはこんなオジサンで悪いなぁ。もっと若い男ならいいんだろうけど…」

「お父様は何を言い出すのですか?お父様だからいいのです!」

「なんて優しい娘なんだ!もう、嫁にやらん!」

私の決意は数時間後に崩れるとこの時は知らなかった。


「皇帝陛下、こちら私の娘のアカネでございます」

「フィールデスト侯爵家が長女アカネにございます。以後お見知りおきを」

「いやぁ、お見知りおきってこんな美女。忘れないだろう。皆の者、下がれ」

フィールデスト侯爵家の二人と皇帝陛下だけになった。

「まさか、こんなに麗しいとはなぁ。ウワサなど当てにならないものだ」

「性格もよく、先ほど私侯爵は嫁にやらんと決意をしました」

「侯爵、悪いなぁ。娘を嫁に欲しいんだが?」

「「は?」」

侯爵家の二人が揃って返事をしてしまった。

「麗しいじゃないか。私は浮気はしないぞ。アカネ嬢はその瞳・肌・髪全てが美しい!」

「有難きお言葉」

「しかし、陛下。嫁とは…」

「私も独身だと外交に支障が結構出るのだよ。そこで、伴侶がいてくれると助かるのだ。アカネ嬢なら、賢く淑女教育も数か月で終わらせたというではないか。では皇妃教育だって半年もあれば終わるだろう?」

私は悩みに悩んだ。…が、拒否権が侯爵にないことに気付いた。

「アカネは嫌じゃないか?今なら拒否権を与えよう」

とはいえ、皇帝陛下は今まで帝国を引っ張て来ている頭脳の持ち主であり、見た目は眉目秀麗。剣技にも優れていると聞く。狩りもできるというし、天はこの皇帝陛下にいったいいくつ与えたんだろう?


「喜んで、皇帝陛下の元へ嫁ぎたいと思います」

「だそうだ。侯爵、悪いな。アカネは私がもらった。というか、侯爵がお義父様だな。私は知っての通り、父を亡くしているし新しい父としてなんだか嬉しいぞ。侯爵も優秀だし、宰相のポストをやろう。そういえば今まで空っぽだったんだよな。誰も突っ込まなかったし」

皇帝陛下に誰がツッコミいれるんですか!



こうして、アカネが皇帝陛下の元に嫁入りすることとなった。

この事が気に入らないのはビビアン。何度も皇帝陛下に直訴しようと試みたり、最悪アカネに毒を盛ろうとする。

この毒と言うのは媚薬で、金で雇った男と関係を持たせよう。そしてそれを噂で流そうとするもの。

事前にこの事を聞いた侯爵は流石に怒ってビビアン(母娘)を王都から離れた別荘に隔離するような措置をとった。

毒を盛ろうとしても皇帝陛下と婚約が決まった時点で影が警護しているから、無駄なのだが…。



皇帝陛下の元に嫁入りしたアカネは才色兼備の皇妃として各国の知るところとなったが、皇帝陛下が、独占欲がなかなか強く箝口令のようなものを出して無駄にアカネの情報が出ないようにした。

皇帝陛下に愛されぬかれたアカネは2男2女を産んだ。

女の子についてはアカネに似ていたので皇帝陛下と侯爵閣下(今は宰相)揃って、「嫁にやらん!」と叫んでいたそうな。




読了ありがとうございます‼

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