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このお休みが、ずっと続けばいいのに。
全てが、どこか夢のようにも思った。
ご飯もお刺身も、全部おいしくて、みんながまったりゆったり、全部が嬉しくて楽しい。
7並べなんて久しぶりにやって、ごろごろしながらテレビを見たら、幸子が少し歌って、感動した。
花火やりたい!
……なんて売店を見に行ったけど売ってなくて、でも皆んなで見上げた星が綺麗だった。
完璧な夜。
全部が綺麗。
この日はきっと、特別な日になる。そういう日と出会えることは、奇跡だ。
いつまで起きていたい。だけど心地良く眠い。
そういう夜だった。
誰からともなく、少しひんやりしたふかふかの布団に入り込むと、たくさんの感動が浮かんで来る。
笛の音が聴こえる。
微かに。風が心地良く窓を鳴らす音に混じって。
ピー、ピー、ピー……
かわいらしい音。
天使の笛のような……規則的な、音。
ピー、ピー、ピー……
「ミカ……」
うす目を開けて、幸子を見ると、布団の上で何かを見ている。
「これ……」
違う……
「ピー、ピー、ピー、ピー、……!」
天使の笛じゃない!!!
「ミカ、幸子ちゃん!」
既にHyLAのジャケットを羽織った母が、ホログラムモバイルを立ち上げていた。
「緊急招集じゃなくて、普通の依頼みたい。だから母だけで大丈夫だから」
「行きます!」
逡巡せずに幸子が言い放った。
◯◯◯ (……トランプの後に幸子が歌った歌)
蛍の歌
蛍の灯りは 闇に揺れる
記憶は 懐かしく
涙のように
身を季を流れし
縁の契り 祈り
別れも 思いも
遂の星
-Words by happilarmcess(鑑原幸子)
(月夜の恋は20時迄。主題歌「Snow Cheer⭐︎」 カップリング曲)




