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薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
AId、出現…… ——抗え、純白のノエル
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実華みか……!!!」


「ごめん遅くなった!」


「いいよ!見て!!!!!」


 ハイドロレイダーのモニターに、見慣れた新大久保の夜空が映る。


 うすグレーの空。


 地下基地の中じゃない、本物の空。


 灰色のコンクリート、ところどころに木造風の古いアパート。


 向こうにはアタシたちの小学校が見えた。


「何、あれ……」


 学校の後ろから、何かが湧き出して来ていた。


「巨大猿の大群!?っていうかみんなは!?」


 クラスのみんなは!?ご近所さんや先生たちは!?


「大丈夫!シェルターに入ってる!」


「っていうか……」


 アタシは背中が冷えていくのを感じた。


 巨大猿サルの群れの向こう、新宿駅の方向……おびただしい程の真っ白な花のつぼみが延々と蔓延はびこっている……——それは雪にも見えた。


「……あれを守ってたんだ……巨大猿さるたちは」


 モニターのAI分析テロップに、シクラメンと浮かんでいる。エリア新宿の至るところに蔓延はびこり、大切な灰色の町を雪のように埋め尽くそうとする光景が美しく不気味に見えた。


「あ……はは……結構凄い状況」


「だね。——アローーーーー!!!!!!」


「爪の間狙うじゃん!!!!!」


 瞬時に水素針すいそしんを射出したシュウジに合わせて、アタシも巨大猿さるたちに照準を合わせる。


 ——……切りが無い!!!


「あ……あのさぁ、シュウジ、もしも、もしも今日が最後だったらさ……」


あね!!!」


「——ごめん」


 辛いことには終わりが来るって誰かが言った。


「アロー!!!」


 でもそれは本当なの?


「アロー!!!!!!」


 朽ちて終えるだけ……そんなことって無いって言える?


 新大久保駅のいくつかの小さなスーパーに、冬のイルミネーションが輝いている。


 終わる……かもしれない。ただ……歴史の片隅で。

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