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「ほっしぃー?」
「えっショーコ??どしたの?」
こんなところで会えるなんて思わなくて、アタシは息を整えた。
「こんなところにいるなんて思わなかった」
同じことを言われたのがなぜか嬉しい。
黄色い落ち葉の中に、黒いスウェットは中学のジャージだろうか。景色の中に、その立ち姿が映えていた。
「アタシも」
ようやく息が整ってきて、アタシはショーコの隣で白い椿を見上げる。
綺麗に咲いたその花は、翳りなく朝日を浴びて、うっすら光っていた。
「ねぇ、これ、持ってかえろ」
しゃがみこんだショーコの隣にしゃがんで、手の中を見ると二つの椿。
「あ、幸子ちゃんも欲しがるかな……」
なんでわかるんだろう……たぶんそうだ。
「あっわかった!」
アタシはシャッターを切る。
モバイルが手の中に咲く白い椿と、後ろの積もったイチョウの葉を綺麗に切り取った。
「これ、待ち受けにするから、花はショーコと幸子、でどう?」
「いいねぇ」
ショーコは花をハンカチで包んで仕舞った。
アタシは綺麗に咲いた花を受け取ると、花びらがひんやりした。
アタシも同じように花を包んだ。
「ねぇ、もう冬になるね」
「そうね」
ただそれだけのことが、嬉しかった。
「歩く?」
「そうね」
サクサクと並ぶ靴音が、心を少し暖かくさせた。




