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薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
染、椿……——イルミネーションオニキス
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 11月も半ばになるけど、先週あたりからどこも、かしこも本格的に冬のイルミネーションが街を照らし始めていた。


 欲しい文房具があって大きい駅に来たけれど、高層ビルの隙間の星々が、アタシに元気も、切なさもくれる。


 大きい横断歩道で、たくさんの人にまぎれて、向こう側のバックライトサイネージをぼんやり見つめる。


 そういえば、あの辺りのバス停で、みんなで海に遠足に行った。


 ずっと、おしゃべりして、誰が持ってきたのか、クランチチョコを食べ過ぎて、散々だった。


 けど、洞窟の向こうに見える海が、切り取った絵みたいで綺麗だった……——


 ……——信号が変わる。


 駅の横のカフェは一杯で、アタシは冷たい大理石に寄りかかって買い物メモを確かめた。


 グレーのインクのボールペン

 猫のシール


 それは、なくても構わないものだけど。


 街路樹は、誰かの幸せを願うように、しんしんとした色で輝いている。


 赤や緑の装飾が流れていって、アタシは橋を渡る。


 吸い込まれそうな、紫がかった紺青あおいトンネルが、百貨店の入り口まで続いていた。


 もしかして宇宙そらを歩いたら、こんなふうかもしれなかった。


 月曜日だから、きっと混んではいないだろう……


 駅に向かう人たちを横目に、アタシはこの街を見つめた。

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