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薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
帰り花……——カミング、ノベンバー
731/743

684.5手記36

雨沢宗一郎あまさわそういちろう。日本が最初に作ったブレイズレイダーの適合者だ」


 みっちゃんが、怒っていそうな気がした。


 星ヶ咲家(ほしがさきけ)は俺のアパートの上の階に住んでいる、俺のあねいもうとおとうと……もうひとつの家族だ。


 シュウジは時々、俺以上にさといところがあって、みっちゃんは母にどこか似ている。


 智恵子ちえこさんは血が繋がっていると錯覚するほどに懐かしくて、もう、失うのが怖かった。


 父さんの研究が世界的に認められた時、上の家族は泣いて喜んでくれた。

 私立中学に受かったばかりの俺は父と母を見送り、この家族となんら不自由なく、幸せに暮らす予定だった。

 高校生になったら、首都で一緒に住もう。父と母と、そう約束して。


 それが三年前。


 俺は、どこにも動けなくなった。


「上のお姉ちゃん、みっちゃん、シュウジ、おはよー」


 前と同じ声を出す……


「お茶碗……は割ったんだっけな」


 心配させるな……絶対に。


「うん、おいしいね」


 みっちゃんは、やっぱり怒ってる。


「みっちゃん、ご飯少しくれる?」


 でもみっちゃんに許されることに気づいている俺はずるいだろうか?


「みっちゃん?おわっ!」


 シュウジの重さが、懐かしかった。

 智恵子ちえこさんに会いたかった自分に気づく。

 猫、飼い出したのか……


宗一郎そういちろう君、来てくれてありがとう。お母さん、ミカ君、シュウジ君、雨沢宗一郎あまさわそういちろう君だ」


「……三島みしま、サブローさん、ディストレスってこれですよね」


「そうだ、全生物の急所のプログラムを追加したから、 HyLA(ハイラ)の円盤で倒せるはずだ……」


 またなぎのような時間が訪れて、俺の時間は止まるかもしれない。


 ……それでも緋色ひいろの、自分自身の声が俺の背を暖めている。

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